読んで効くタウリンのはなし


978-4-425-89011-8
著者名:村上茂 監修・国際タウリン研究会日本部会 編著
ISBN:978-4-425-89011-8
発行年月日:2016/11/8
サイズ/頁数:A5判 194頁
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価格¥1,980円(税込)
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栄養ドリンクのCMで名前だけはお馴染みの「タウリン」。生命の進化に関わったこと、肌の保湿や生活習慣病の改善などに役立つこと、ご存知でした?
そんな名前だけは知っているけど、効果は知られていないタウリンの歴史から最先端の情報までを第一線の研究者、総勢11名が詳しく解説。

【はじめに】より テレビコマーシャルの影響で、日本ではタウリンという名前はよく知られています。タウリンってなんとなく体によさそう、というイメージをお持ちの方もおられるでしょう。タウリンはわれわれの体の中に60gほど存在していますが、タウリンがどのような物質であるのか、一般にはあまり知られていません。実はタウリンは、生命の誕生・進化と密接に関係している物質であり、細胞や臓器が正常に機能するように、機械の潤滑油のような働きをしている物質と考えられています。
生物の約38億年の歴史の中で、体の正常な機能(恒常性)を維持するために利用されてきたのがタウリンであるといえます。タウリンの作用は穏やかですが、少なくとも実験動物を用いた試験では高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症、動脈硬化、脂肪肝、認知症(脳機能)などの生活習慣病をはじめとし、実に多くの病気に対して、予防や進展抑制作用が認められています。ただし、それらの効果がタウリンの持つどのような作用によるものか、いわゆるタウリンの作用メカニズムは未だ十分に解明されていないのが現状です。また、動物や培養細胞を用いた研究に比べ、タウリンをヒトに投与した研究は少なく、動物で見られるタウリンの作用がヒトでも同様に見られるかどうか、今後確認していく必要があります。
タウリンに関する国際学会(International Taurine Meeting)は1975年以降、約2年おきに世界各国で開催され、2016年の大会が第20回大会となります。
日本はタウリン研究が盛んな国ですが、これまでタウリン研究者が集まって成果を発表し、議論する場がありませんでした。日本のタウリン研究の第一人者であった東純一教授(大阪大学名誉教授・兵庫医療大学名誉教授)からの提案で、2014年8月に念願であった国際タウリン研究会を設立しました。残念ながら東先生はその年に他界されましたが、東先生の遺志を引き継ぎ、2015年2月に第1回の日本部会を神戸で開催することができました。国際タウリン研究会ではタウリン研究の促進だけでなく、一般の方々にタウリンの真の姿を知っていただくための活動にも力を入れていきたいと考えています。また、2016年5月に韓国のソウルで開催された第20回International Taurine Meeting にて、タウリン研究の国際的な組織としてInternational Taurine Society の設立が決定しました。米国・南アラバマ大学のDr. Schaffer が会長となり、ニューヨーク市立大学のDr. Idrissi、コペンハーゲン大学のDr. Mortensen、福井県立大学の村上の3名がそれぞれ、米国、欧州、アジアの代表理事として、研究会を推進していくことになりました。このように、日本および世界でのタウリン研究の組織が整備されたことで、今後、国際レベルでタウリン研究がますます盛んになり、タウリンの作用の解明と産業利用が進んでいくことが期待されます。
日本で第1回のタウリン研究会を開催した頃、成山堂書店から、一般の人を対象にタウリンを解説した書籍の出版のお話をいただきました。現在、タウリンの作用を解説した書籍は販売されておりません。本書ではタウリンにはどのような作用があるのか、またタウリンの生理作用がどこまで明らかになっているのか、正確な情報をできるだけわかりやすく提供したいと考えています。本書は国際タウリン研究会が中心となり、それぞれの領域におけるタウリン研究の第一人者の先生方に執筆をお願いしました。やや専門的な記載もありますが、タウリン発見の歴史から最先端のデータまで、現在わかっているタウリンに関するほぼすべての情報を網羅してあります。
タウリンは魚介類や海藻などの海の幸に多く含まれ、われわれ日本人は和食の食材としてこれらの海産物を長年利用してきました。タウリンは日本人の健康や長寿を支えてきた食成分である可能性があります。タウリンの本質的な作用を理解していただき、タウリンを豊富に含むこれらの食材を日々の食事で上手に活用することにより、健康維持や病気の予防に役立てていただければ幸いです。

2016年10月
村上 茂

【目次】
第1章 タウリンとは
 1.タウリンってどんな物質?
 2.タウリンは生命の誕生・進化と密接に関連した物質だった
 2.胎児や乳幼児にとって必要不可欠なタウリン
 4.ネコがネズミや魚を好んで食べるわけ
 5.まとめ

第2章 健康維持に必要なタウリン  1.スポーツ:筋肉におけるタウリン
 2.美容:皮膚におけるタウリン
 3.アンチエイジング:老化におけるタウリン
 4.生活習慣病:メタボリックシンドロームとタウリン
 5.お酒:アルコール代謝におけるタウリン

第3章 生命を支えるタウリン  1.魚とタウリン
 2.胎児・乳幼児とタウリン
 3.心臓とタウリン
 4.肝臓とタウリン
 5.脳とタウリン
 6.ミトコンドリアとタウリン(ミトコンドリア病の改善薬としてのタウリン)

第4章 タウリンをもっと身近に  1.食はいのち、わかってきた健康効果
 2.タウリンで脳卒中が予防できる
 3.世界調査でわかったタウリンの力
 4.何を食べるとタウリンが摂れる?
 5.タウリンたっぷりお勧め料理

コラム1 肝臓の機能とチトクロームP450
コラム2 生物餌料
コラム3 人工種苗生産
コラム4 胆汁酸の新たな働き


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