水族館発! みんなが知りたい釣り魚の生態ー釣りのヒントは水族館にあった!?


978-4-425-95551-0
著者名:海野徹也・馬場宏治 編著
ISBN:978-4-425-95551-0
発行年月日:2015/4/22
サイズ/頁数:B5判 160頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,200円(税込)
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釣りが大好きな全国の水族館のスタッフたちが、釣り魚の生態を徹底紹介!

釣りをしている人には水面下の魚は見えません。水面下の魚の行動は想像の世界です。しかし、水族館の飼育員たちは、毎日、いろんな角度から魚を観察しています。顔を見ただけで個体が見分けられて、エサ食いでご機嫌がわかるほど、愛情を持って飼育しています。そんな水族館飼育員が釣り好きだったら、どんな視点で魚を眺めているのでしょう。
本書は、飼育のプロとしての観察眼を持つ全国21の水族館から29名の“アングラー飼育員”がこれまでにない視点で魚の生態を紹介しています。アオリイカは盲目で黒が嫌い! タチウオは底のエサも食べる! 音は摂餌スイッチ! タコのエサにらっきょうはあり! 究極のエサ作り! などなど……アングラー飼育員それぞれの目線と思考で、日常業務のなかで見た、試した、実践した釣り魚の情報が満載です。

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【はじめに】より 「水槽で飼われている水族館の魚って自然じゃない!」という人がいました。それが本当なら、この本で書いている釣り魚の生態は参考にならないということになりかねません。それは困るので、検証してみましょう。
もし、魚が心地良い環境にいたなら、エサを良く食べる! どんどん成長する! 病気にかからない! 長生きする!……一つ、忘れてはいけないことがあります。それは、卵を産むことです。エサを食べ成長する最終目的は、子孫繁栄なのです。じゃあ、水族館の魚は卵を産んでいるでしょうか? もちろん産んでいます!
最初に産卵が確認されたのは1967 年、鳴門自然水族館で飼育されていたマダイが卵を産んだのです。今ではマグロをはじめ、魚の完全養殖は飼育水槽(網イケス)で親魚を飼育して卵を産ませています。こうした自然採卵法が主流になったきっかけは飼育のプロ集団がいる水族館なのです。
そうだ! もう一つ大切なことがあります。それは、水族館の魚は天然ものだということです。ごく一部の魚を除けば、網で採られたり、釣られたりした魚なのです。いくら水族館の魚がエサに慣れていると言っても、「三つ子の魂百まで!」です。水族館の魚は自然に近い環境で、野生の本能を忘れずに生きているのです。
さて、そろそろ本書の“はじめに”をスタートさせましょう。平成24 年10 月に神戸市立須磨海浜水族園の特別展で「科学から見たあなたの釣り〜魚のキモチ教えます〜」が開催されました。水族館スタッフが釣り魚の行動、生態、生理を科学の目線から追究した展示を行ったのです。アングラーには水面下の釣り魚は見えません。水面下の釣り魚の行動は想像の世界です。ただし、釣り魚を、毎日、眺めているのが水族館の飼育員です。
しかも、彼らが釣り好きだったら、どんな視点で釣り魚を眺めているんでしょう。一般のアングラーが知らない釣り魚の秘密を知っていると思いませんか? 豊富な知識、経験、観察眼を持つ釣り好き水族館の飼育員はある意味、最強のアングラーだと思います。
イベント開催中の平成25年2月には特別展のイベントの一つとして、「お魚博士VS フィッシングナビゲーター釣り対談 釣りの常識、ウソ、ホント?」も開催されました。釣り番組のフィッシングナビゲーターである伊丹章氏、須磨・平磯海釣り公園の高田玲欧氏、須磨水族園の馬場、東口、そして海野が登壇し、観客を交えた対談が行われたのです。実は、このイベントがきっかけで本書が誕生しました。イベントの後の“アングラー飼育員”の馬場と“釣りバカ、時々、研究者”の海野との雑談を披露して“はじめに”とさせていただきます。

【目次】 #01 魚が見える!魚も見える!
   渓流魚の視野とエササイズ(古賀 崇 おたる水族館)
#02 ピラニア釣りから学ぶ
   音は捕食スイッチをON にする!(安藤孝聡 栃木県なかがわ水遊園)
#03 水族館の周辺生物情報で釣りをランクアップ
    干潟の生物環境から考える東京湾のスズキ(佐藤 薫 東京都恩賜上野動物園)
  column オウサマペンギンの羽でフライ(梶 明広 島根県立しまね海洋館アクアス)
  column 陸を好む魚、トビハゼ(濱崎佐和子 広島大学)
#04 深海魚、キンメダイの秘密!
    輝く眼、垂直移動、向こうアワセ(重 秀和 横浜・八景島シーパラダイス)
#05 長竿&本流で狙う渓流魚
    大物はニオイに敏感で居食いが基本(中井 武 京急油壷マリンパーク)
  column ロマンを運んだ「戻りヤマメ」(海野徹也 広島大学)
  column 採集は飼育員の財産だ(土田洋之 いおワールドかごしま水族館)
#06 シーバスの素顔
    テクニカルならマル、男の釣りならヒラ(浅川 弘 下田海中水族館)
#07 尺メバルへの流儀
    早巻き釣法とシャローエリアで周年ターゲット(藤原克則 下田海中水族館)
  column 減圧は大敵 (宇井晋介 串本海中公園水族館)
  column メバルたちの帰巣性 (津行篤士・海野徹也 広島大学)
#08 オトリアユも水族館の魚も元気が一番
    輸送のノウハウをオトリ缶に応用!(松田 乾 名古屋港水族館)
#09 知って得する“まち海”の環境
    釣りエサからポイント選びまで(中嶋清徳 名古屋港水族館)
#10 タコにラッキョウを検証する
    知的なタコは好奇心も豊か(森 昌範 名古屋港水族館)
  column タッチで味見するタコ(笘野哲史・海野徹也 広島大学)
  column クロマグロと水族館(吉田 剛 串本海中公園水族館)
#11 水族館発!新感覚エギング
    アワセからスレ対策まで(辻 晴仁 鳥羽水族館)
#12 メジナ釣りの魅力
    エサへのアプローチと感覚器の世界(神村健一郎 志摩マリンランド)
#13 アオリイカ飼育日誌
    飼育してわかった若イカの不思議(井村洋之 新潟市水族館マリンピア日本海)
#14  釣りから学んだ飼育術、飼育から学んだ釣り
    憧れのライギョ、ザリガニを食べるコイ(田村広野 新潟市水族館マリンピア日本海)
#15 飼育員になって釣りの楽しさ倍増!
    みんなが知らない釣り魚の素顔(笹井清二 越前松島水族館)
#16 女性アングラーからみた釣りのキモ
    食べ方からポイントまで、勝算は観察にあり? (佐藤亜紀 京都水族館)
#17 飼育からわかったタチウオ
    暗いのが嫌い、共食い大好き!おもしろ生態学 (北谷佳万 海遊館)
  column コイのルーツ(東口信行 神戸市立須磨海浜水族園)
  column タチウオ採集に秘密のエサ(御薬袋 聡 宮島水族館)
#18 複眼スタッフからみた釣り魚
    メバルのスレ、時合い、ベイト回遊を解く(馬場宏治 神戸市立須磨海浜水族園)
  column 「顔」で仲間を識別する魚がいた! (幸田正典 大阪市立大学)
#19 ニオイと味の世界
    究極のエサはこれだ!(東口信行 神戸市立須磨海浜水族園)
#20 アカメに魅せられた飼育員
    フィールドとガラス越しの生態(寺園裕一郎 神戸市立須磨海浜水族園)
#21 これがブラックバス
    嗜好性と学習能力が高い (野路晃秀 神戸市立須磨海浜水族園)
#22 釣り上手、釣られ上手な魚の素顔
    好奇心旺盛なメジナ、武士道を貫くヒラスズキ(宇井晋介 串本海中公園水族館)
#23 水族館で知った魚の意外性
    針を吐きだす? 食欲の秋? コロダイ・ルアー?(吉田 剛 串本海中公園水族館) 
#24 フライと色の世界
    水中環境と視覚で色は変化する(梶 明広 島根県立しまね海洋館アクアス)
#25 タチウオ!食わないときはヨコウオ!
    幽霊魚、ジグキラーなワケ (御薬袋 聡 宮島水族館)
#26 アオリイカの“ハテナ”に挑む
    ベイトと水温から摂餌活性を検証(鈴木泰也 マリンワールド・海の中道)
  column イカの視覚(宮崎多恵子 三重大学)
#27 オキゴンベとワームバトル
    学んだのはエサのマッチングと警戒心の解除
    (澤田達雄 大分マリーンパレス水族館「うみたまご」)
#28 食わない魚にエサを食わせる
    捕食音は摂餌をオン、警戒をオフに?(土田洋之 いおワールドかごしま水族館)
#29 美ら海の釣り魚生態
    モンスターでイメージトレーニング(山城 篤 沖縄美ら海水族館)
  column 魚が仲間に危険を知らせる“警報物質” (吉田将之 広島大学)


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