現代海上保険


978-4-425-36181-6
著者名:Barrie G.Jervis著 大谷孝一・中出 哲 監訳
ISBN:978-4-425-36181-6
発行年月日:2013/11/11
サイズ/頁数:A5判 376頁
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価格¥4,180円(税込)
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貿易、海運、物流、海洋工事などにおける危険に対処する保険として、企業のグローバルビジネスを支える重要な制度である海上保険について、その歴史や原理をわかりやすく解説するとともに、船舶保険、貨物保険、P&I保険などの内容を詳細に検討し、さらに保険金請求や再保険についても網羅的に解説した格好の海上保険入門書。

【監訳者序文】  本書は、ロイズの正会員、Barrie G. Jervis氏による“Reeds Marine Insurance”(2005年)の全訳(ただし、付録資料の一部を除く)である。原著のタイトルの“Reeds\は、世界の港の潮汐表をはじめとする各種の海事関係図書のブランドで、原著はReeds Professionalシリーズの1冊として刊行されたものである。
 Jervis氏は、長年にわたりロイズにおいて保険実務を担当し、イギリスの特許保険協会の資格試験委員、同協会の保険大学の講師、大学での海事法や海上保険の講師、大学での海事法や海上保険の講師なども歴任され、40年以上にわたり保険の実務家の育成に携わってこられた実務専門家である。同氏は、海上保険があまりにも精緻で、きわめて特殊な専門領域になっていること、そして海上保険の制度や実務の全体を俯瞰できる手頃な文献がないことから、マリンビジネスに携わる人はもとより、海事や保険に馴染みの少ない学生にも海上保険の世界を知ってもらえるようにと考えて執筆されたのが原著である。原著は、Jervis氏の長年にわたる実務教育の経験を結晶化させたもので、ロンドンにおける海上保険の理論と実務を示す貴重な図書となっている。
 さて、海上保険は、貿易、海運、物流、海洋工事などにおける危険に対処する保険として、企業のグローバルビジネスを支える重要な制度である。海上保険は14世紀後半にイタリアで生まれ、各種保険の中でも最も長い歴史を有し、今日の様々な保険の理論や法制度の基礎ともなっている。わが国における保険産業は、明治時代に海上保険から始まった。その後、国の成長とともに海上保険事業も発展し、同時に、海上保険に関する研究・教育も大きく進んだ。とりわけ、わが国の海上保険契約法や歴史研究は、世界第一級といえる優れた研究を多く生み出した。しかしながら、個人分野の保険料収入が飛躍的に増大し、損害保険料収入全体に占める海上保険の割合が減少するなかで、現在、海上保険に関する研究・教育も弱くなってきている。しかしながら、海上保険は、保険料の嵩だけでは測れない重要性を有する保険であることは疑いなく、その研究・教育を将来にわたって継承させていくことは、わが国が貿易立国として今後も成長していくうえでも重要である。
 わが国の海上保険に関する教育は、これまでは、海上保険法と約款に関するものが中心であった。確かに、海上保険の中身は海上保険契約の内容が中核となるが、海上保険は、貿易や海運、各種の海事制度と密接・不可分の関係があり、海上保険実務を進めるうえでは、海事関係の各種制度について理解しておく必要がある。しかしながら、こうした周辺制度を含めて全体像を示す手頃な図書は、これまでほとんどなかったといってよい。実務の現場においても、また、大学教育においても、こうした図書が望まれてはいたが、多くの専門領域にまたがることもあって、これまでほとんど刊行されてこなかった。海上保険の実務においては、ロンドンが世界標準として重要な地位を占めていることから、海事関係の各種制度を俯瞰したうえでイギリスの実務を示している、Jervis氏の原著は、わが国の実務においても、まさに待望のの図書といえるものである。
 翻訳は、東京会場日動火災保険株式会社における海上保険の専門家と中央大学商学部平澤 敦准教授が行い、大谷と中出が一語ずつ確認しながら全体を監訳した。校正と字句の調整には早稲田大学博士課程松下千紗君、同修士課程小原光博君、同門司亮輔君に多くの時間を割いてお手伝いをいただいた。ご協力いただいた各位に厚くお礼を申し上げたい。
 本書のような専門書を出版できるようになったのは、ひとえに成山堂書店の小川實会長、小川典子社長の格別のご厚意の賜物である。同社は、採算度外視で、本書の刊行を快く引き受けてくださるとともに、版元との翻訳権の交渉を含む一切の事務を引き受けていただいた。ここに記して感謝の意を表したい。
 本書を通じて、海上保険の教育や発展にいささかなりでも役に立つことができれば、望外の幸せである。
 原著の翻訳を勧めていただいた故木村榮一先生に、本書を捧げます。

2013年10月
大谷孝一
中出 晢

【目次】
第1章 海上保険の歴史
 1.船舶抵当冒険貸借および積荷抵当冒険貸借
 2.イギリスにおける海上保険の起源
 3.他の諸国における初期の海上保険
 4.初期の保険証券の用語法
 5.ロイズ保険証券様式
 6.他の会社によって使用される様式
 7.海上保険に関する法規整
 8.第二次世界大戦以降の発展

第2章 海上保険の原理  1.善意と最大善意の相違点
 2.「リスク」とはいったい何を意味するのか
 3.海上保険の機能
 4.保険証券の解釈規則
 5.最大善意
 6.保険仲介者

第3章 イギリスと国際的海上保険  1.ロイズの保険業者
 2.保険ブローカー
 3.ロンドンの市場
 4.リスクのプレーシング

第4章 船舶保険  1.船舶保険契約の種類
 2.船舶保険のアンダーライティング
 3.1995年協会期間約款(船舶)の分析
 4.協会航海約款

第5章 貨物保険  1.インコタームズとは何か
 2.貨物として保険に付けられるものは何か
 3.免責事由
 4.協会トレード・クローズ

第6章 船主責任保険組合(P&Iクラブ)  1.相互保険組合
 2.クラブの歴史
 3.クラブの組織
 4.クラブの管理
 5.カバーの終了
 6.クラブによって与えられるカバー
 7.国際P&Iグループ

第7章 救助と共同海損  1.救助
 2.共同海損
 3.1994年ヨーク・アントワープ規則

第8章 保険金請求  1.近因
 2.てん補される損害および免責される損害
 3.追加危険担保約款
 4.不正保険金請求
 5.一部保険
 6.交叉責任
 7.責任制限

第9章 油濁損害  1.条約とは何か
 2.TOVALOP
 3.CRISTAL
 4.国際タンカー船主汚染防止連盟(ITOPF)
 5.汚染賠償責任と立法
 6.海洋投棄
 7.汚染の制御と防止
 8.アメリカ合衆国における汚染

第10章 戦争およびストライキ危険  1.ウォーターボーン・アグリーメント
 2.戦争免責
 3.戦争保険
 4.協会ストライキ約款(貨物)

第11章 再保険  1.直接の契約関係
 2.再保険の種類
 3.再保険取引の方法
 4.保険者の保有
 5.ソルベンシー・マージン
 6.戦争とリスクと再保険
 7.その他の携帯の海上再保険
 8.リスク・リテンション・グループ
(海事図書)


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カテゴリー:海運・港湾 
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