著者名: | 独立行政法人 海技教育機構 編著 |
ISBN: | 978-4-425-41442-0 |
発行年月日: | 2018/12/8 |
サイズ/頁数: | B5判 120頁 |
在庫状況: | 在庫有り |
価格 | ¥1,980円(税込) |
三級・四級海技士の習得に必要な力学、工学、電気などの理工系分野の知識を、現役の機関士が実務経験を踏まえて、初学者向けに解説。
【はしがき】
船舶機関士の仕事内容は幅広く、機関プラントにおける機器の運転状態の把握、機器の運転操作の習熟、機器の構造の理解、プラント配管の調査、計画的な保守整備、機器の故障及び不具合箇所の修理等、更には機関室外も含めた諸設備の維持管理能力が求められる。
これら全てを理解するためには、力学、流体力学、熱力学、材料力学等の基礎的な知識が必要となる。これらの知識のほとんどは、多数の書籍や資料を用いて習得されるものであるが、様々な機器を取り扱うためには、船内に備えられた各機器の取扱説明書等による理解も不可欠である。
機関士を目指す実習生が機器の構造等を確認する、あるいは座学で学んだ知識を復習する際に、専門書籍等を活用することは可能ではあるが、実習訓練の場で多岐にわたる多くの情報を短時間に手に入れるのは極めて困難である。
本書は、機関士として機関プラントを理解する上で最低限習得しておくべき基礎知識を、容易に調べることのできるテキストとしてまとめたものである。2013年の初版以来、増刷を重ねてきたが、現用のディーゼル機関の設備と合わなくなってきた部分もあったことから、改訂版として内容を見直すにあたって、初版にはなかっ
た「油圧装置」の章を新たに加えるとともに、電気推進についての内容を充実させた。
舶用ディーゼル機関メーカーの開発により従来の液体燃料(重油、軽油等)による駆動に加え、ガス燃料(液化天然ガス等)による駆動が可能となり、二元燃料とする機関プラントも広く採用されている。また、機関と軸系を直接または減速装置を介して結合し、プロペラを駆動する基本的な推進プラント構成に加え、様々な電気推進プラントが一般商船にも採用されるようになった。
舶用機関に関係する技術的進歩、環境問題等への対応が急がれる中、それらに係る国際的規則が新たに制定されてきている。機関士として理解しておかなければならないこと、遵守しなければならないことは多岐にわたる。
船舶を取り巻く様々な情勢は時々刻々と変化しているが、機関士にとって基礎知識は技術者として礎となるものである。
練習船で機関科の実習訓練を行う実習生に、船舶機関士を目指し勉強に励む学生・生徒に、更には、日夜現場で奮闘されている初任船舶機関士にも本書を常に手元に置き活用していただきたい。そして、本書で学んだ確かな理論に基づき、多くの実経験を積みながら応用力を駆使して、将来、優秀な船舶機関士に育っていくことを希望する。
2018年11月
独立行政法人 海技教育機構
【目次】
1 基礎知識
1.1 単位の基礎
1.2 力学の基礎
1.3 流体力学
1.4 熱力学
1.5 材料力学
1.6 機関用材料
2 ディーゼル機関
2.1 ディーゼル機関の歴史
2.2 ディーゼル機関(圧縮着火機関)とガソリン機関(火花点火機関)
2.3 ディーゼル機関の基本熱サイクル
2.4 ディーゼル機関の分類
2.5 ディーゼル機関の性能
2.6 軸系ねじり振動と危険回転速度
2.7 シリンダ内の燃焼とガス交換
3 ガスタービン
3.1 概要
3.2 ガスタービンの種類
3.3 構成要素
3.4 ガスタービンの熱サイクル
3.5 ガスタービンの特徴
4 蒸気タービン
4.1 水及び上記の基本的性質
4.2 作動原理
4.3 蒸気プラント
4.4 性能
5 プロペラ
5.1 推進器の種類
5.2 プロペラの材料
5.3 プロペラ羽根断面形状及びキャビテーション
5.4 プロペラの腐食
5.5 プロペラの型式
5.6 プロペラの各部名称と用語
5.7 伴流及びスリップ
5.8 プロペラの効率
6 ポンプ
6.1 ポンプの種類
6.2 ポンプの性能
6.3 渦巻ポンプ(Centrifugal Pump)
6.4 往復動ポンプ
6.5 回転ポンプ(Rotary Pump)
6.6 その他のポンプ
7 冷凍機
7.1 冷凍機とヒートポンプ
7.2 蒸気圧縮冷凍サイクルとp-h線図
7.3 冷媒の種類とその性質
7.4 ガス圧縮式冷凍機
8 電気
8.1 電流と磁気
8.2 電磁力と電磁誘導
9 電気
9.1 電流と磁気
9.2 電磁力と電磁誘導
9.3 交流
(海事図書)
【読者からの声】
●I様 16歳
専門的な内容を図でわかりやすく解説してあり、講義を聞いて理解することができました。実習のときに実践できるのでとても役に立ちます。
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