氷海に閉ざされた1296時間−第12次南極越冬隊の記録− 極地研ライブラリー


978-4-425-57051-5
著者名:山田知充 編
ISBN:978-4-425-57051-5
発行年月日:2012/8/2
サイズ/頁数:四六判 224頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,420円(税込)
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第12次隊を乗せた観測船「ふじ」は、往路40日間、復路14日間にわたり、氷海に閉じ込められた状態・ビセットを経験。これは、歴代の南極観測隊の中で最も長い時間、氷海に閉じ込められた記録となっており、それによって昭和基地に滞在できた日数は1年にも満たなかった。また、氷情が悪く「ふじ」は昭和基地沿岸まで辿り着けず、接岸することができなかったため、大型の観測機器等を輸送することができず、隊員たちは最低限の物資で基地の建設や観測、調査を行わなければならなかった。本書は、このような特異な体験をした第12次観測隊の越冬記録である。

【序文】 12次隊はこれまで50数回に及ぶ南極観測隊の中で、恐らく最も特異な隊だと言えるであろう。観測船「ふじ」が、就航以来初めて、昭和基地到着前に40日間(1971年1月1日から2月10日まで)、帰路でも14日間、海氷に閉じ込められて身動きできない状態に陥った。そのため、1970年(昭和45年)11月に日本を出てから1972年4月22日に帰国するまでの日数は、歴代観測隊で最も長かった。一方、昭和基地に滞在した日数は、最も短くて1年にも満たなかった(越冬成立は1971年3月17日、越冬終了は1972年2月10日)。
往路、氷情が悪くて昭和基地に近づけず、ロケット・ドームなど大物物資の輸送ができなかった。そのため。オーロラ観測に打ち上げるロケットの保温に、あり合わせの材料でビニール製の保温ケースを作るなどで現地で工夫しなければならなかった。輸送と越冬会誌の遅れから、内陸基地への輸送と基地の建設を、南極が極寒にあるミッドウィンター前後の真冬に2か月間をかけて実施しなくてはならなくなった。越冬を始めようという矢先、越冬隊員が一人健康上の理由で帰国したり、ロケとの組立調整室の床下で火事が起こったり、日本隊として初めて内陸基地に長期間滞在して、深さ75メートルまで氷床コアを掘り出したり、とりわけその打ち止めとして、帰国後の越冬報告書が、前後の隊の本印刷に比べて、何ともみすぼらしいガリ版刷りのようなわら半紙だったり、話題が豊富だったという点でも特筆に価する。あれやこれやで目の回るような忙しい越冬であった。
この密度の濃い12次隊の越冬生活は、若い隊員諸君に強烈な印象を残したのではないかと思われる。恐らくそのために、「12次隊の会」は現在に至るまで毎年開かれ、多くの隊員が楽しみにしている。会のたびに、もう40年も昔になるいろいろな話が、昨日のことのように生き生きと語られる。
私は初めて越冬した3次隊の越冬記録を出版した。その後、考えてみたら、もう一つここに記録に残すべき越冬隊があると思うに至った。毎度の「12次隊の会」で語られるさまざまな話題をまとめたら、それだけで楽しい越冬記ができ上がるのではないかとの思いから、原稿を集めることにした。12次隊出航38年目に当たる2008年11月末の「12次隊の会」の後のことであった。
隊員のおのおのから思い出すままに、越冬中のあれこれを書いてもらって編集したのが本書である。若かった12次隊の、多くの隊員の青春の一断面を凝縮したものと言っていいであろう。

【目次】
第1章 昭和基地を目指して
 1.1 晴海出港。直後、作家・三島由紀夫の事件が・・・
 1.2 12次隊が活動した頃の日本社会
 1.3 赤道際
 1.4 フリマントルへ
 1.5 暴風圏突入

第2章 試練の12次隊  2.1 観測船「ふじ」
 2.2 ビセット
 2.3 ロッキード「ラサ」を飛ばす
 2.4 ビセットの中で
 2.5 ビセットからの解放
 2.6 昭和基地へ

第3章 昭和基地  3.1 基地の概要
 3.2 ブリザード対策
 3.3 ブリザード
 3.4 柴野の日記から
 3.5 大忙しの通信
 3.6 肥満棟飲み会
 3.7 ミッドウィンター
 3.8 誕生会
 3.9 バー「くろねこ」
 3.10 昭和映画劇場
 3.11 オーロラ写真撮影会
 3.12 エコの試みー風力発電ー
 3.13 サンライズ
 3.14 通信隊員の大仕事

第4章 昭和基地における観測活動  4.1 定常観測
 4.2 研究観測

第5章 ロケットによるオーロラ観測  5.1 ロケットの輸送
 5.2 ロケット関連施設工事
 5.3 海中アース
 5.4 屋内作業
 5.5 ロケットの保温ケース
 5.6 小型ロケットSー160JAの打ち上げ
 5.7 ロケット打ち上げの概要
 5.8 打ち上げ待機の長い夜
 5.9 初めてのSー210JAの打ち上げ?緊迫の時?
 5.10 ハーマネルソン熱風送風機の焼失
 5.11 ロケットの保温手段の模索
 5.12 夜のロケット打ち上げ
 5.13 昼のロケット打ち上げ
 5.14 ロケットはどのように飛ぶのか
 5.15 オーロラを探る

第6章 冬季内陸旅行  6.1 エンダービーランド計画
 6.2 12次隊の雪氷計画
 6.3 雪上車の回収作業
 6.4 内陸テスト旅行
 6.5 PSE、QSP中継をお願いします
 6.6 雪上車の整備と出発準備
 6.7 冬季の内陸旅行
 6.8 寒さの恐怖
 6.9 たった1度の天測

第7章 内陸基地  7.1 暗夜の内陸基地建設
 7.2 春の内陸基地の整備
 7.3 内陸基地の生活
 7.4 内陸基地における観測
 7.5 内陸引き継ぎ旅行

第8章 越冬の終わり 帰国に向けて  8.1 レーダー・ドームとコントロールセンターの移設工事
 8.2 機械設備の管理システムの改善
 8.3 オングル東西線の建設
 8.4 基地の魚釣
 8.5 氷上ソフトボール大会
 8.6 ソ連機飛来騒動
 8.7 砂まき
 8.8 南極は夏の真っ盛り
 8.9 越冬終了
 8.10 試練は続く
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