南極で隕石をさがす 極地研ライブラリー


978-4-425-57001-0
著者名:小島秀康 著
ISBN:978-4-425-57001-0
発行年月日:2011/3/29
サイズ/頁数:四六判 210頁
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日本は世界一、二を争う南極隕石の保有大国であり、そのほとんどを国立極地研究所が保管している。本書は、極地研の隕石担当責任者、言うなれば日本を代表する隕石研究者が、自分の同行した南極観測を中心に隕石探査活動の記録をまとめている。

【はじめに】より
 日本の南極観測隊が南極で発見した隕石の数は、これまでにおよそ1万6800個である。米国、中国など外国隊の成果を合わせると、南極で発見された隕石の数は、4万8000個に及ぶ。これらを南極隕石と呼ぶ。南極以外の場所で発見された隕石数が約1万2000個であることを考えると、いかに多くの隕石が南極で発見され、惑星科学の発展に貢献していたかがわかる。しかも南極以外で発見された1万2000個の隕石のうち1万個近くが、砂漠で発見されている。これは南極でたくさんの隕石が発見され、そのわけを考察し、それを砂漠に当てはめて探査が行われた結果を反映している。
 そのように考えれば、南極隕石が全世界の隕石の8割を占めるばかりではなく、更に大きな意味がある。隕石が地球外物質で、太陽系創成期の物質であることを考えれば、多量の南極隕石の発見は、まさに20世紀の地球科学における大きな発見の一つといっても過言ではないだろう。
 本書では日本隊の隕石の発見の歩み、そして隕石発見から見出された「なぜ南極でたくさんの隕石が発見されるのか」に答え、南極のどんなところで隕石が発見されるかを、私が隕石探査に加わった観測隊を中心に紹介する。また、隕石探査隊の母体とも言える、南極観測についても紹介する。さらには日本に持ち帰られた隕石はどのように処理されて研究に役立てられているかについて紹介する。

2011年2月
小島秀康

【目次】
大量の南極隕石発見の緒端
大量発見以前に南極で発見された隕石
1969年のこと
日本国内の隕石発見状況
南極以外の世界の隕石
落下か発見か
隕石の名前の付け方
第15次隊による探査
南極観測隊の編成から南極への出発準備まで
日本の南極観測船
昭和基地までの旅行と輸送
夏季の活動と夏作業
夏の沿岸観測と調査旅行
越冬隊
越冬隊の食料
日本の基地
世界各国の基地
なぜたくさんの隕石が発見されるのか
どこで見つかるのか
やまと山脈
ベルジカ山脈
セールロンダーネ山地
組織的な隕石探査
日米共同探査
組織的隕石探査を行った観測隊
越冬から夏隊へ
世界各国の南極における隕石探査
南極隕石からのフィードバック
南極隕石発見以前の日本における隕石研究状況
南極隕石発見がもたらした影響
輸送
南極隕石のキュレーション
 (1)隕石の採集
 (2)南極隕石の保管
 (3)初期処理
 (4)チッピング
 (5)薄片作成
 (6)隕石情報の公表
 (7)隕石配分
隕石の種類
どんな隕石が見つかるのか

極地研ライブラリーについて
 「極地研」は、「国立極地研究所」の略称で、極地に関する科学の総合研究と極地観測の推進を目的に1973年に設置されて以来、大学共同利用機関として、また南極観測事業の中核的実施機関としての役割を担ってきました。
 「極地研ライブラリー」は、理解が進んだ極地の自然について、その観測や研究の成果を、第一線の研究者が科学的に分かりやすく解説するとともに、極地での調査や活動、さらにはその歴史を紹介するシリーズです。


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