内航船員用 海洋汚染等・海上災害防止の手びき−未来に残そう美しい海−


978-4-425-29091-8
著者名:(社)日本海難防止協会海洋汚染等・海上災害防止研究会 編著/日本内航海運組合総連合会 発行
ISBN:978-4-425-29091-8
発行年月日:2010/3/28
サイズ/頁数:A4判 202頁
在庫状況:品切れ
価格¥3,300円(税込)
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海洋汚染防止法に基づく規制や事故発生時の対応をまとめたもの。実務的な運用方法をカラーで解説。

◆こんな方にオススメです!◆ 内航船員、廃油処理業者、油防除機材販売会社

【はじめに】より  内航海運は長距離・大量輸送に適した輸送手段として、国内貨物輸送量全体の40%(トン・キロベース)以上のシェアを担ってきた。内航海運は輸送に必要なエネルギーがトン・キロベースで自家用トラックの約18分の1、営業用トラックの約5分の1、さらに二酸化炭素の排出量が自家用トラックの約60分の1と言われ、省エネ効果に優れ、環境にもやさしい輸送手段である。しかし、我が国は機動性や利便性に優れたトラック輸送を中心としてきた結果、道路混雑や騒音などの交通問題、大気汚染などの環境問題を深刻化させるに至った。
 そのため、我が国は交通・環境に関する社会的課題に対応した物流システム構築のための具体策として、トラック輸送の一部を海上輸送や鉄道輸送に振り替える、いわゆる「モーダルシフト」の推進を目指しているところである。しかし、こうした期待とは裏腹に、船員不足や燃料重油価格の高騰など内航海運を取り巻く諸環境は年々厳しさを増している。
 法規制もその1つである。特に船舶に対する環境規制は年々増え続け、かつ、厳しさを増している。一切の負担を伴わずに実施可能な方策は希有である。たいていの場合、船首の経済的負担や船員の労務負担を伴ってくる。もちろん、地球環境保全の必要性は国民の誰もが揃って認識している重要事項である。内航海運もそれを十分認識したうえで、企業としての社会的責任を果たすべく、法令遵守の徹底や自主的な取組みなど、地球環境保全のため必要な対応を進めてきた。
 かけがえのない海を、美しい姿のまま子孫へ継承していくこと、それは我々人類に課せられた重要な責務であり、世界の国々が一致協力した取組みを進めている。船舶が原因となる海洋汚染の防止等については、「MARPOL73/78条約」によって、世界規模での統一規制が行われ、我が国では「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」に取り入れられている。
 しかしながら、残念なことに、これらの条約や法律の内容が原文を読むだけでは理解しにくいという声をしばしば耳にする。理解不足によって自分なりの解釈をしてしまった場合、正しいと思っている平素の作業が、実は重大な法令違反であったこなどの失敗も十分起こりうる話である。理解不足問題を解決するうえでも、法律の内容等を簡潔に示した手引書が必要となろう。
 本書は内航船で働く諸氏を対象に、船舶に対する環境保全を目的とした諸規制について解説した手引書である。本書が諸氏の座右の書となり、法規制等の理解促進にお役に立てることを願ってやまない。

平成22年3月
日本内航海運組合総連合会
環境安全委員会

【目次】
第1章 海洋汚染の現状と監視・取締り

は じ め に
 1.1 海洋汚染の現状
  1.1.1 海洋汚染の発生確認状況
  1.1.2 廃油ボールの漂流・漂着
  1.1.3 ごみによる汚染
  1.1.4 海洋汚染の処罰
 1.2 監視・取締りの状況
  1.2.1 海洋環境保全のための監視・取締り
  1.2.2 法令別の送致件数
  1.2.3 海洋汚染防止法違反による送致
  1.2.4 外国船舶に対する監視取締り
  1.3 海洋汚染をなくすために

第2章 海洋汚染・海上災害防止関係法令の解説
 2.1 海洋汚染・海上災害防止関係法令の概要
 2.2 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の解説
  2.2.1 目的(法1)
  2.2.2 用語の定義(法3)
  2.2.3 船舶からの油の排出の規則(法第2 章)
  2.2.4 船舶からの有害液体物質等の排出の規制等(法第2 章の2)
  2.2.5 船舶からの廃棄物の排出の規制(法第3 章)
  2.2.6 海洋施設及び航空機からの油、有害液体物質及び廃棄物
      の排出の規制(法第4章)
  2.2.7 油、有害液体物質等及び廃棄物の海底下廃棄の規制
      (法第4章の2)
  2.2.8 船舶からの排出ガスの放出の規制(法第4章の3)
  2.2.9 船舶の海洋汚染防止設備等及び海洋汚染防止緊急措置手引
    書等並びに大気汚染防止検査対象設備の検査等(法第4章の5)
  2.2.10 廃油処置事業等(法第5章)
  2.2.11 海洋の汚染及び海上災害の防止措置(法第6章)
  2.2.12 海上災害防止センター(法第6章2)
  2.2.13 雑 則(法第7章)
  2.2.14 罰則等(法第8章、9章)
   施行令「別表第一」有害液体物質
   施行令「別表第一の二」無害液体物質
   施行令「別表第一の三」オゾン層破壊物質
   施行令「別表第一の四」危険物
   海上災害防止センターの排出油等の防災措置業務の概要
   海上災害防止センターの機材業務の概要

第3章 海洋環境保全に係る国際条約
 3.1 我が国の対応
 3.2 ロンドン条約
 3.3 MARPOL73/78 条約
 3.4 OPRC 条約
 3.5 バラスト水管理条約

第4章 汚染防止の手立て
 4.1 油の排出防止
  4.1.1 事故を防ぐための基本的対策
  4.1.2 作業上の一般的な注意
  4.1.3 全船舶に共通した留意事項
  4.1.4 タンカーの貨物油取扱い作業上の注意
  4.1.5 白物タンカーにおけるクリーンバラストの確保
 4.2 有害液体物質の排出防止
  4.2.1 排出防止のための基本的対応
  4.2.2 有害液体汚染防止管理者
  4.2.3 有害液体物質の不適正な排出の防止のためにとるべき措置
  4.2.4 事故による有害液体物質の排出への対応
  4.2.5 有害液体物質排出防止設備等の点検・整備
 4.3 廃棄物の管理
  4.3.1 廃棄物の発生量を抑える措置
  4.3.2 廃棄物の処理と保管
  4.3.3 廃棄物の船内処理設備
 4.4 流出油の防除
  4.4.1 防除義務
  4.4.2 防除対策
  4.4.3 流出の状況
  4.4.4 防除方法
  4.4.5 油処理剤及び油ゲル化剤の使用規制
 4.5 廃油処理施設の適切な利用
  4.5.1 廃油処理施設の役割
  4.5.2 船内で発生する廃油
  4.5.3 廃油処理施設利用上の注意事項
  4.5.4 廃油処理施設のある港

●コラム●
 ナホトカ号重油流出災害
 移送中の過失排出の判例
 ビルジの故意流出の判例 その1
 給油作業中の過失排出の判例
 ビルジの故意流出の判例 その2
 日本最大の流出油災害とは?
 流出油事故の処理費用
 自然環境被害のバロメーターとは?
 ボランティア活動とナホトカ号
 海洋汚染の定義とは?
 ケミカルタンカーの海上災害事例
 廃棄物の故意排出の判例 その1
 謎の虫かごの正体とは
 廃棄物の故意排出の判例 その2
 ジュリアナ海難の教訓
 東京湾で発生した原油流出事故
 薬剤の不正使用の判例
 未許可廃油処理施設の利用
 中華街の航海の神様とは?

参考資料
 1.全国廃油処理施設一覧(石油精製業者等)
 2.防除資機材製造販売業者

(海事図書)



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