商船設計の基礎知識【改訂版】


978-4-425-71164-2
著者名:造船テキスト研究会 著
ISBN:978-4-425-71164-2
発行年月日:2009/4/18
サイズ/頁数:A5判 392頁
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価格¥6,160円(税込)
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基本用語から法規にいたる概要、基本計画、船殻・船体艤装設計について、設計の実務者がわかりやすくまとめた入門書。

【まえがき】より  本書は昭和59年9月に初版を出版し、また平成7年に改訂した「商船設計の概要」の全面改訂版である。改訂に当たっては、新しい技術の進歩や関連する規則を取り入れて見直しを行ったほか、一層分かりやすい記述や各編の整合性にも充分な配慮を心掛けた。また書名もこの機会に「商船設計の基礎知識」に改めることにした。
 本書の意図するところは、これから商船の設計を勉強しようと思っておられる学生や技術者に、実際に役立つ基礎知識を出来るだけ分かりやすく説明することにある。また設計のベテランの方々にも知識の整理に充分役に立つと考える。更に船舶に関係しておられる技術者以外の方々でも、商船に対する理解を深めて頂くのに参考になると思われる。このような著者等の意図が受け入れられて、今まで多くの方々に前著を読んで頂き、また大学の教科書等にも採用して頂いた。多くの方々のご支援に対して深く感謝する次第である。
 本書の内容は設計の実務に従事している著者等が、この程度は最小限の知識として必要であると考えたものから取捨選択したが、頁数の関係から説明は主としてばら積貨物船を対象とし、これに原油タンカー(ダブルハル構造)とコンテナ船の説明を一部加えた。更に詳細を勉強される方は付録4参考図書および付録7関連機関のホームページを参照されるようお願いする。
 本書はその内容を次のように第1編から第4編までに分けて解説しているが、各編の概要と特徴は次の通りである。

「第1編 概説」では基本用語、船の種類、推進装置、推進性能、法規等船全般に係る基礎知識を説明した。この他船の省エネルギー、主機関の排出ガス規制等最近の話題についても解説した。またCADについても簡単な説明を書き加えた。
「第2編 基本計画」では船の基本設計で最も重要と考えられる主要寸法、主機関の出力の決め方等について説明した。本編で述べた主要目の決定方法は著者等によるひとつの方法であるが、誰にとっても分かりやすく、また合理的な方法であると考えている。さらに理解を深めるため、DW40,000tばら積貨物船について具体的な計算例を示した。
「第3編 船殻設計」では船殻の構造、強度、振動、鋼材について説明した。説明は複雑な理論より実際の設計に役立つように、よりプラクティカルなものとしている。なお、縦強度や振動の実例については第2編のDW40,000tばら積貨物船を例にとって示した。
「第4編 船体艤装設計」では船体艤装について、その概要と一部の機器については要目の決め方等を説明した。この分野では絶えず新技術、新製品が生まれているので、個々の装置の詳細を記述するよりも、基本的な考え方、設計思想に重点を置き、設計者が変化に対応できる基礎知識を身につけられるよう配慮した。
 また船の設計は各種の国際規則と密接な関係があり、これら国際規則の基礎知識がなくては設計を進める事が出来ない。本文中にも必要最小限の事項は述べたが、更に詳しくは付録6国際規則の概要を参照されたい。
 なお、今回の改訂に際しては原則としてSI単位に書き換えた。しかし現在使用されている各種の設計図表、例えばプロペラ設計図表等はまだ従来通りの単位が使用されているものが多い。従って本書でも出力単位としてkWとすべきところを馬力としているところがある。また重さに関する用語もすべて「質量」と呼ばれていないものもあるので、本書では載貨重量、軽荷重量、船殻重量などの慣用語は従来通り「重量」とした。このように用語が完全にSI単位に切り替わっていないところも一部あるが、現在はまだ過渡期ということでご了解願いたい。
 本書の改訂に当たっては、多くの方々から有益なご助言を頂いた。この場を借りて暑くお礼を申し上げる次第である。

平成13年7月
造船テキスト研究会

【目次】第1編 概説  第1章 基本用語の解説   1.1 主要目表
  1.2
 船型
  1.3 長さ
  1.4 型幅
  1.5 型深さ
  1.6 型喫水
  1.7 満載排水量
  1.8 肥瘠係数
  1.9 載貨重量、軽荷重量
  1.10 
 貨物倉容積、貨油槽容積
  1.11 トン数
  1.12 主機出力
  1.13 速力

 第2章 商船の種類と概要   2.1 商船の種類
  2.2 主な商船の概要

 第3章 推進装置の種類と概要   3.1 主機関の種類
  3.2 燃料油
  3.3 燃料消費率
  3.4 ディーゼル機関の型式、構造
  3.5 発電装置
  3.6 軸系とプロペラ

 第4章 船の抵抗と推進性能   4.1 概要
  4.2 船の抵抗
  4.3 抵抗理論の船型設計への応用
  4.4 推進性能
  4.5 推進出力の推定
  4.6 船の省エネルギーと抵抗、推進性能

 第5章 設計と法規   5.1 船舶の設計と法規の関係
  5.2 IMOとILO
  5.3 国際条約
  5.4 各国の規則
  5.5 船級協会規則
  5.6 証書の取得

 第6章 船舶の乗組員   6.1 船舶職員制度の概要
  6.2 船員制度の近代化

 第7章 設計作業の概要   7.1 見積設計と基本設計
  7.2 詳細設計

 第8章 CADの概要   8.1 線図
  8.2 一般配置図
  8.3 船殻構造図

 第9章 船の採算計算   9.1 経済性の指標
  9.2 採算計算の方法

第2編 基本計画  第1章 概要
  1.1 主要目決定の尺度
  1.2 設計条件
  1.3 国際規則、船級協会の規則等から要求される諸条件

 第2章 主要目の決定   2.1 主要目と概略一般配置図の決定手順
  2.2 満載排水量の推定
  2.3 主要目と推進性能の関係
  2.4 貨物倉容積と船の深さの推定
  2.5 軽荷重量の推定
  2.6 所要出力の推定
  2.7 乾舷計算

 第3章 概略一般配置の検討   3.1 機関室及び船首隔壁の配置
  3.2 ばら積貨物線の概略配置
  3.3 タンカーの貨油槽区画の配置
  3.4 一般配置に関する性能計算

第3編 船殻設計  第1章 概要
 第2章 船殻の構造
  2.1 中央部(ホールド部)の構造
  2.2 機関室構造
  2.3 舵、スターンフレーム

 第3章 船体強度   3.1 縦強度
  3.2 横強度
  3.3 局部強度

 第4章 船体振動   4.1 船体振動の起振源
  4.2 主船体の節振動
  4.3 上部構造の振動
  4.4 防振対策
  4.5 振動許容限界

 第5章 構造用鋼材   5.1 鋼材
  5.2 形鋼
  5.3 鋼材使用実績

第4編 船体艤装設計  第1章 概要
 第2章 操舵装置
  2.1 操舵装置の要件
  2.2 操舵装置の概要
  2.3 舵面積および操舵機の力量

 第3章 係船装置   3.1 係船装置の概要
  3.2 艤装数と錨、錨鎖、係船索
  3.3 係船装置の計画

 第4章 荷役装置   4.1 デッキクレーン
  4.2 コンテナ積装置

 第5章 鋼製ハッチカバー   5.1 鋼製ハッチカバーの種類
  5.2 鋼製ハッチカバーの駆動および締付装置

 第6章 救命設備   6.1 概要
  6.2 救命艇およびボートダビット
  6.3 救助艇およびダビット
  6.4 膨張式救命筏
  6.5 その他の救命器具と配置

 第7章 その他の外艤装置   7.1 梯子
  7.2 扉
  7.3 ハッチおよびマンホール
  7.4 手摺
  7.5 乗船装置
  7.6 採光装置

 第8章 通風装置および空気調和装置   8.1 通風機の種類と力量の決定法
  8.2 貨物倉の通風
  8.3 居住区の通風と空気調和装置

 第9章 消火装置   9.1 概要
  9.2 海水消火装置
  9.3 炭酸ガス消火装置
  9.4 泡消火装置
  9.5 機関室の局所消火装置
  9.6 持運び式消火器
  9.7 火災探知警報装置

 第10章 諸管装置   10.1 諸管装置一般
  10.2 貨物船の諸管装置
  10.3 タンカーの諸管装置
  10.4 管系の遠隔制御装置

 第11章 糧食用冷蔵庫   11.1 冷蔵庫の容積
  11.2 冷蔵庫の配置
  11.3 冷蔵庫の冷却方式
  11.4 冷蔵庫の計画条件
  11.5 冷凍機容量の決定法
  11.6 防熱構造

 第12章 居住区艤装   12.1 居住区艤装一般
  12.2 内装材
  12.3 居住区の諸設備
  12.4 居住区の防火構造
  12.5 諸室配置図

 第13章 船舶の騒音と対策   13.1 騒音一般
  13.2 騒音源
  13.3 船内騒音予測
  13.4 騒音対策

 第14章 塗装と防食   14.1 塗料
  14.2 電気防食

付録  主要目の決定例
 所要出力の計算例
 トリム計算の例
 参考図書
 単位
 国際規則の概要
 SOLAS、MARPOL等の発効時期と主な概要
 INTERNATIONAL CODEの概要
 ABBREVIATION(略称)
 関連機関のホームページ一覧

(海事図書)


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