新・中国税関実務マニュアル【改訂増補版】


978-4-425-93064-7
著者名:岩見辰彦 著
ISBN:978-4-425-93064-7
発行年月日:2013/4/2
サイズ/頁数:A5判 292頁
在庫状況:在庫有り
価格¥3,850円(税込)
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中国における税関実務を豊富な書式サンプルを用いて具体的に解説。これから中国進出を考えている企業担当者の実務に役立つ必読書。

改定増補版では全面的に最新の内容にアップデートし、
●24時間ルール
●化学品の規制
●バイヤーズコンソリデーション
●非居住在庫管理(VMI)
●加工貿易半製品の保税転売方法
等について、説明を加えました。

【改訂増補版】によせて  最近の中国関係は、政治のみならず経済にも大きな影響を与えており、中国脱出論が叫ばれている。しかし、ここまで深まった経済関係は、簡単に変えられる状況ではなく、また、中国もはや生産基地のみではなく、世界で有数の消費市場となっている。ベトナム、ミャンマー等は、労働コストの面から見れば確かに有望な地域ではある。しかし、中国でこれまで築き上げられてきた、川上から川下までのサプライチェーン・ネットワークをそれらの国で構築するには、5年以上は必要と見なければならない。しかも、それから先の消費市場としての魅力は大きくはないと筆者は考える。本書が発刊されるまでに、日中韓の難問が解決されていることを切に望むものである。
 さて、平成14年にこの「中国税関実務マニュアル」を成山堂書店の後押しで発刊してから、はやくも10年が経過している。まことに“光陰矢のごとし”である。その間、版を重ね、平成21年からは「新中国税関実務マニュアル」として皆様にご愛読をいただいてきたが、中国は、法律を走りながら交えて行く国であることから、わずか4年近くの間にもさまざまな変更があり、これを機に、改訂増補版を発刊させていただくこととなった。
 中国貿易の基幹である加工貿易では特に広東エリアで労働集約型産業で変革が進んでおり、労働問題を引き起こしていた“形成期的来料加工”を中心に正式な外資企業へと構造改革が行われ、一方で政府の方針で労働集約型産業は内陸部への移転が進み、このことが地方からの出稼ぎ労働力に大きく影響し、沿海部の労働力が不足し、労働賃金は、個々数年、2桁の上昇を続けている。
 また、外為関係では、輸出面で事務の簡素化が進み、いわゆる“核銷単”が廃止され、人民元による直接決済も全国ベースで可能になりつつあり、一見、自由化が進んでいるように思われるが、一方で、AEO制度ばかりでなく企業を格付けして、優良企業にはより簡素化し、D類企業にはより厳しくするという差別化が税関業務以外にも拡大されている。同時に、電子化も各方面で進んでおり、いわゆる“人治主義”を少なくするという面から見ると大きな効果があったと考えるが、一方で、日本側のマネージメントから見ると、業務の流れ、問題点等が不透明となり、『何が問題なのかが分からないことが問題』と言う悩みも少なくない。その点から、本書では電子化の流れを押さえつつ、従来の書式も残しながら少しでも実態が見えるように心がけたつもりである。
 今回は、24時間ルール、化学品の規制を新たに加え、保税制度の具体的な利用方法であるバイヤーズコンソリデーション、非居住者在庫管理(VMI)、加工貿易半製品の保税転売方法などの保税制度の利用法についても、さらに説明を加えたほか、各書式のサンプルについてもリニューアルあるいは新たに追加し、読者諸兄姉の便宜を図ったつもりである。
 平成24年は1972年9月の日中国交回復から40年の節目の年と言われていたが、日中間の貿易は、これに先立ち1962年のLT貿易がその本格化のスタートであると言える。LT貿易は政治と切り離した民間ベースの形態を採っていた。“L”は、中国の廖承志氏、“T\は、日本側の高碕達之助氏の頭文字をとったものである。その後、国交正常化が行われた後も、1973年まで続けられ、まさに日中貿易の基礎を造ったのものである。
 もっとも、それ以前には1958年に国旗事件が発生し、日中間貿易が全面的に中止された時期であった。
 この面から見れば、日中間の貿易関係は紆余曲折があったものの50年の歴史を経て、今日の密接な関係が築かれており、これが損なわれることは日中双方にとって良い結果をもたらすものではないことは明らかである。
 税関業務は、貿易の最前線であり政治の影響もまた受けやすい業務である。法律に沿っているとはいえ、何かと不合理な面も否定できないが、法律をベースにしなければならないことはいうまでもない。その点から引き続き本書が皆様の役に立てることを願い、合わせて日中間の貿易が今後とも発展してくことを祈らずにはいられない。

平成25年1月
筆者識

【目次】 第1編 基 礎
 第1章 人治主義は解消されたか?
 第2章 中国の物流について   一 中国は広い、ということ
  二 未だ三国志の世界
  三 国際物流における中国の地位拡大
   1.取扱量世界一の原動力としての上海洋山港
   2.その他の国際物流への取り組み
  四 中国の国内物流の状況
   1.全体
   2.鉄道輸送
    2-1 鉄道輸送の全体像
    2-2 五定列車
   3.トラック輸送
   4.沿岸輸送、長江輸送
   5.国内航空貨物

 第3章 貿易取引の形態
  一 「貿易」と「対外貿易経営者」
  二 対外貿易方式の形態にはどのようなものがあるか?
   1.対外貿易方式の分類
   2.加工貿易の分類
   3.その他の貿易方式
    サンプル1

 第4章 現行の貿易管理制度及びその他の法令との関係   一 貿易管理制度の全体像
  二 輸出入許可制度の概要
  三 輸出貿易管理制度
   1.輸出許可証の適用法と管理機関
   2.輸出許可証の発給及び有効期間
   3.輸出許可証の発給に必要な書類
   4.輸出許可証管理の内容
   5.一部化学品の輸出貿易管理
  四 輸入貿易管理制度
   1.輸入許可証の適用法と管理機関
   2.輸入許可証の発給及び有効期間
   3.輸入許可証の発給に必要な書類
   4.輸入許可証管理の内容
   5.機電産品の輸入管理
   6.中古機電産品の輸入
   7.輸入関税割当許可管理
  五 輸出入商品検査制度について
   1.検査の対象
   2.企業登録
   3.輸出に関する検査
   4.輸入に関する検査
   5.有効期間
   6.輸出食品に検査検疫(CIQ)マーク
  六 食品の輸出入に関する制度
  七 製品の品質管理
  八 動植物検疫制度
  九 3.11による影響
  十 木材梱包の検疫制度
   1.制度の変化と現状
   2.今後、予想し得る変更
  十一 知的財産権
  十二 安全認証制度(CCC認証制度)
   1.CCC認証制度の紹介
   2.CCCの認証を必要としない商品
   3.CCCの認証が免除される商品
   4.CCC認証の手順
   5.例外規定
  十三 廃物の輸入管理
   1.スクラップ(廃物)の輸入問題
   2.廃物の輸入管理の原則
   3.廃物を輸入する資格等
   4.輸入通関
   5.輸出者への規制
   6.輸入車への規制強化
  十四 中国版RoHS
  十五 化学品類に関するその他の規定
  十六 その他の管理制度
    サンプル2〜17

第2編 中国税関の制度  第1章 中国税関の監督管理制度の概要   一 保税の定義
  二 保税制度の概要
  三 税関の企業に対する監督管理方式
   1.事前管理
   2.具体的な事前管理
    2-1 一般輸出入企業の登録
    2-2 通関企業の登録
   3.中間検査
   4.事後に行われる管理
   5.税関管理に対する関連規定の抜粋
    サンプル18〜21

 第2章 報関員   一 報関員(通関士)制度とはどのようなものか?
   1.報関員の権利
   2.報関員の義務
  二 報関員(通関士)の差別化
   1.適用の対象
   2.報関員に要求される業務
   3.職業等級の設定
   4.報関員の教育程度
    サンプル22

 第3章 外資系企業の輸入生産設備に対する免税措置
  一 機械設備免除措置の変遷
  二 手続の方法
   1.事前登録手続
   2.税関への登録記録手続
   3.税関への免税申請
   4.輸入通関
   5.免税輸入機械は税関の監督管理下にある
    サンプル23〜29

 第4章 加工貿易〜その現状と変化   一 税関の管理規定
  二 加工貿易に対する規制の強化
   1.加工貿易禁止品目の拡大
   2.加工貿易制限品目について
   3.内陸部移転がもたらす影響
   4.広東地区における来料加工企業の転換

 第5章 加工貿易について   一 加工貿易の種類
   1.進料加工
   2.来料加工
  二 加工貿易の企業構造
  三 加工貿易の流れ
   1.進料加工業務の流れ
   2.来料加工業務の流れ
  四 日本側の留意事項
  五 単耗
   1.単耗の概念
   2.単耗の問題
  六 加工貿易手册のEDI化の歩み
  七 加工貿易はペーパーレス化へ
   1.EDI化のメリット
   2.EDI化の業務フロー
   3.データ送信の方法
   4.電子帳冊について
   5.電子口岸に加入するには?
  八 加工貿易の報核員制度
  九 加工貿易の保証金台帳制度
   1.概説
   2.具体的な手順
   3.保証金の「実転」と「空転」
   4.例外規定
  十 加工貿易における「核銷」(照合抹消)
   1.核銷の概要
   2.核銷の範囲
   3.核銷の原則
   4.核銷の主な内容
   5.核銷の手順

 第6章 結転制度
   1.結転の定義
   2.その手順
   3.結転のペーパーレス化
   4.結転の“欠点”

 第7章 企業の分類管理制度〜AEO管理制度
  一 新「企業分類管理方法」の概要
  二 輸出入企業の分類管理
  三 通関企業の分類管理
  四 企業分類昇格の申請
  五 輸出入企業と通関企業管理類別不一致の処理
  六 降格企業の再昇格
    サンプル43〜45

 第8章 保税制度とその利用方法   一 保税倉庫
   1.保税倉庫とは何か?
   2.保税倉庫の利用方法
   3.保税倉庫の入出庫
   4.保税倉庫の入出庫に必要な書類
  二 輸出監管倉庫
   1.輸出監管倉庫の種類とその利用方法
   2.輸出監管倉庫の入出庫方法
  三 保税区
  四 保税物流園区と保税物流中心
   1.海外非居住者在庫システム
   2.バイヤー・コンソリデーションについて
   3.加工貿易保税転売(結転)への活用
  五 保税工場
   1.保税工場とは何か?
   2.保税工場のメリット
   3.申請の方法
   4.実際の貨物の輸出入
  六 輸出加工区
   1.輸出加工区の概要
   2.輸出加工区の税関手続
   3.輸出加工区から保税転売するには?
   4.輸出加工区の機能アップ
  七 保税港区
  八 統合保税区
  九 保税輸送制度
   1.保税輸送制度とは何か?
   2.保税輸送手続の種類
   3.輸入貨物保税輸送の申請方法
   4.輸出貨物保税輸送の申請方法
   5.保税輸送のその他の条件
   6.運送人の指定
    サンプル46〜50

 第9章 税関査察制度
  一 税関査察とは何か?
  二 対象となる企業
  三 査察の対象となる業務
  四 査察の実施方法

第3編 輸出入実務  第1章 輸出入実務全般   一 概説
  二 中国電子口岸について
  三 税関検査に関する問題
    サンプル52・53

 第2章 HS番号の重要性
  一 HS番号とは何か
  二 HS番号判断のポイント
  三 HS番号と税関の監督管理との関係
  四 HS番号の事前教示制度
    サンプル54・55

 第3章 輸入業務   一 輸入業務の流れ
  二 輸入通関のシステム
  三 輸入貨物の検査とHS番号
  四 輸入税関
  五 増値税
  六 消費税
  七 輸入原産地の確定
  八 納税
  九 法定減免税
  十 一時輸出入貨物
   1.一時輸出入貨物の定義
   2.利用方法
   3.展覧品の輸入通関
  十一 特殊な輸入通関
   1.クーリエ貨物の通関
   2.引越荷物の通関
    サンプル56・57

 第4章 輸出入貨物申告書作成要領   一 通関書類に対する日本側の留意事項
  二 輸出入通関申告書の種類
  三 実際の作成要領
    サンプル63(1・2)

 第5章 輸出実務
  一 輸出業務の流れ
  二 輸出通関のシステム
  三 輸出報告書(核銷単)
  四 原産池証明書
   1.概説
   2.事前手続
   3.受領申請の方法
   4.原産地としての認定
  五 輸出関税
    サンプル64

 第6章 その他の通関制度   一 ペーパーレス通関制度
   1.資格を有する企業の条件
   2.申請の方法
   3.実際の業務フロー
  二 事前申告制度
   1.前提条件
   2.事前申告の時期
   3.事前申告の手順
  三 集中通関制度
   1.集中通関をできる輸出入貨物
   2.集中通関の事後処理
  四 所在地申告・口岸(輸出入地)検査許可制度
   1.申請に必要とする書類
   2.輸出入申告及び検査許可
  五 その他の通関制度
   1.急速通関(中文:加急報関)制度
   2.担保による検査引渡許可
    サンプル65〜67

 第7章 香港・深?間の通関   一 香港の通関制度
  二 深?境界通過のための香港側のシステム
   1.概要
   2.必要書類
  三 深?境界通貨のための中国側のシステム
   1.輸出入通関手続
   2.統一積載貨物明細書
   3.輸送トラックの認可
   4.香港より深?(輸入)の輸送に必要な書類
   5.深?より(輸出)香港への輸送に必要な書類
   6.集中通関を利用しない場合
    サンプル68〜70

 第8章 香港・マカオ・台湾優遇政策   一 具体的な優遇政策
   1.CEPAについて
   2. ECFAについて
  二 CEPAのゼロ関税適用をどのように受けるか
  三 ECFAの軽減税率適用をどのように受けるか
   1.概要
   2.運輸条件
    サンプル71・72

 第9章 CEPA
第4編 その他  第1章 難解な増値税   一 増値税とは何か
  二 輸出入への適用〜特に輸出時の還付について
   1.輸入
   2.輸出
   3.輸出増値税還付の基本構造
   4.還付申請に必要とする書類
   5.還付の形式
   6.税務当局への手続
   7.退税単に関する問題

 第2章 24時間ルール    1.米国の24時間ルール
   2.中国版24時間ルール

 付 録:中国語参考貿易関係用語


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カテゴリー:物流 
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