水産資源の増殖と保全


978-4-425-88441-4
著者名:北田修一・帰山雅秀・浜崎活幸・谷口順彦 編著
ISBN:978-4-425-88441-4
発行年月日:2008/10/18
サイズ/頁数:A5判 252頁
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価格¥3,960円(税込)
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 世界人口の増加にともなう食料、動物タンパクの不足やBSE問題によって、水産物の需要はますます高まりつつあります。しかし、ほとんどの海では水産資源は枯渇・乱獲状況にあり、養殖は環境・化学物質等の生態濃縮のほか飼料という根本的な問題があります。
 水産増殖は荒廃した天然資源を補うために、種苗放流を行い、増産を目指すものでシロサケの放流が代表例です。これまでは天然資源に与える影響や、生育する環境、漁獲規制等を真摯に考えてはいなかった増殖事業ですが、本書では、今後は遺伝的に偏る影響や魚が住める限度、人類が破壊した自然環境の修復等を考慮した新しい漁業のあり方「保全増殖学」を提唱しています。効果の上がらない放流事業はどこかが間違っているのかもしれません。ぜひご一読を。

●遺伝的多様性を確保するには
●環境収容力に見合った放流数は?
●破壊された自然生態系の修復と再生
●環境収容力に見合った放流数は?
●適正な漁獲規制とは
●血統調査を踏まえた移植放流

【目次】
第1章 生態系をベースとした水産資源増殖のあり方

 1.1 はじめに
 1.2 資源管理と増殖との違いは何か?
 1.3 水産生物資源の現状と生態系ベース型持続的資源管理のあり方
 1.4 サケ類の環境収容力と地球温暖化
  1.4.1 サケ類の環境収容力
  1.4.2 地球温暖化がサケ類に及ぼす影響
 1.5 水産食資源の持続性と海洋生態系
 1.6 サケ類のアクションプラン

第2章 サケ類の生態系保全と再生−北海道のサクラマスを事例として−
 2.1 はじめに
 2.2 サクラマスの生活史
 2.3 サクラマスと自然生態系
  2.3.1 親魚の遡上・産卵と河川環境
  2.3.2 稚魚と河川環境
  2.3.3 幼魚と河川環境
 2.4 自然生態系の修復と再生
  2.4.1 再生の考え方
  2.4.2 修復と再生の事例
 2.5 今後の方向

第3章 種苗放流効果と資源増殖−北海道のサクラマスを事例として−
 3.1 はじめに
 3.2 サクラマスの種苗放流
 3.3 サクラマスの放流効果
  3.3.1 放流効果調査の歴史
  3.3.2 サクラマスの季節的な回遊と沿岸漁獲
  3.3.3 放流サクラマスの回収率
  3.3.4 放流事業の漁業への貢献度
 3.4 今後の方向

第4章 環境収容力と種苗放流−瀬戸内海東部海域におけるサワラの例−
 4.1 はじめに
 4.2 瀬戸内海におけるサワラの回遊生態と漁業
 4.3 サワラの資源状況と資源回復計画
  4.3.1 資源状況
  4.3.2 資源回復計画
 4.4 サワラの種苗生産と種苗放流の現状
  4.4.1 種苗生産技術の開発
  4.4.2 種苗放流
 4.5 種苗の放流効果
  4.5.1 標識
  4.5.2 移動回遊
  4.5.3 成長
  4.5.4 混獲率
  4.5.5 放流方法の比較
  4.5.6 種苗放流の事業評価
 4.6 種苗放流とサワラ資源回復の課題
  4.6.1 種苗放流による資源への上積みの考え方
  4.6.2 種苗放流によるサワラ加入量の上積み量の試算
  4.6.3 種苗放流と天然魚の加入機構の関係

第5章 環境変動と資源増殖−アワビ類を事例として−
 5.1 はじめに
 5.2 全国のアワビ類の漁獲量と種苗放流量の推移
 5.3 アワビ類の種苗放流効果
  5.3.1 地域レベルでの効果
  5.3.2 大海区レベルでの貢献度
 5.4 アワビ類の漁獲量変動とその要因
  5.4.1 大海区レベルでの漁獲量の変動要因
  5.4.2 地域レベルで推察された漁獲量の変動要因
  5.4.3 アワビ類漁獲量の変動要因
 5.5 環境変動の影響を受けたアワビ類資源の増殖管理方策
  5.5.1 余剰生産力と種苗放流
  5.5.2 今後の種苗放流のあり方

第6章 DNA分析で見えてきた内水面移殖の新たな問題
 6.1 はじめに
 6.2 ワカサギ−見えてきた地域固有の遺伝構造と移殖の実態
  6.2.1 日本沿岸におけるワカサギ個体群の遺伝的分化
  6.2.2 日本産と中国産の遺伝的関係
  6.2.3 今後のワカサギ移殖と管理について
 6.3 ダム湖のアユ個体群−湖内で維持される雑種個体−
  6.3.1 野村ダムにおけるアユ個体群の遺伝的特徴
  6.3.2 起源となった鶴田ダム個体群の特徴
  6.3.3 雑種個体群の成立要因と増殖事業における位置付け 6.4 まとめ

第7章 アワビの集団構造と放流種苗の再生産
 7.1 はじめに
 7.2 Haliotis discus(エゾアワビとクロアワビ)の集団構造
  7.2.1 集団構造解明の重要性
  7.2.2 標本(産地)間の遺伝的組成の違い
  7.2.3 標本間の遺伝距離
  7.2.4 標本間の遺伝的類縁関係
 7.3 放流種苗の再生産
  7.3.1 放流種苗の再生産調査の重要性
  7.3.2 人工種苗の特徴
  7.3.3 北海道忍路湾における放流種苗の再生産調査
 7.4 保全遺伝学的観点からのアワビ放流

第8章 集団構造の統計的推測
 8.1 はじめに
 8.2 遺伝情報から集団の違いを探る
 8.3 遺伝情報から集団の混合の様子を探る
 8.4 遺伝情報から個体の由来を探る
  8.4.1 基準となる集団の情報が得られる場合
  8.4.2 基準となる繁殖集団の情報がない場合
 8.5 遺伝情報から遺伝子の由来を探る
  8.5.1 Mixtureとadmixture
  8.5.2 太平洋ニシンの解析
 8.6 混合率推定とアサインメントの課題

第9章 有効集団サイズとその推測
 9.1 はじめに
 9.2 有効集団サイズの定義
 9.3 有効集団サイズに関わる生態学的特徴
  9.3.1 性比
  9.3.2 集団構造
  9.3.3 世代の重複(齢構造)
  9.3.4 サイズ変動とボトルネック
 9.4 有効集団サイズの推定方法
  9.4.1 直接的方法
  9.4.2 間接的方法
  9.4.3 Temporal法によるNeの推定
  9.4.4 連鎖不平衝に基づくNeの推定
 9.5 資源の増殖保全とNeの推定

第10章 種苗放流の遺伝的影響
 10.1 はじめに
 10.2 放流効果と集団遺伝のモニタリング
  10.2.1 鹿児島湾のマダイ
  10.2.2 北海道及び本州のニシン
 10.3 種苗放流の遺伝的影響評価
  10.3.1 ボトルネックテクスト
  10.3.2 希少リアルの消失
  10.3.3 遺伝的分化
  10.3.4 有効集団サイズ
  10.3.5 天然資源のフィットネス
 10.4 結論と展望

第11章 人工種苗の生産と親魚集団の遺伝的管理
 11.1 遺伝的多様性保全の意義
 11.2 責任ある増養殖事業
  11.2.1 リスク評価と管理
  11.2.2 栽培漁業の場合の親魚管理指針
  11.2.3 養殖漁業の場合の育種管理指針
 11.3 遺伝的多様性評価ツール
  11.3.1 マーカーとその感度
  11.3.2 マイクロサテライトDNAマーカー
  11.3.3 非遺伝子領域にある高感度DNAマーカーによる判ること
  11.3.4 集団の遺伝的多様性の評価
 11.4 野生集団の遺伝的多様性
  11.4.1 海産魚では
  11.4.2 絶滅危惧種では
  11.4.3 個体レベルの系統判別
  11.4.4 系統間差の意味
 11.5 人工種苗における遺伝的多様性低下と近交度上昇
  11.5.1 対立遺伝子数とヘテロ接合体率
  11.5.2 近交係数
 11.6 親子鑑定と人工種苗の有効な集団の大きさ
 11.7 放流魚の追跡調査
 11.8 人工種苗の遺伝的多様性と親魚集団の遺伝的管理
  11.8.1 遺伝マーカーによるモニター体制
  11.8.2 種苗生産用親魚の遺伝的管理方針の策定

カテゴリー:水産 
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