登山者のための地図とコンパスの使い方−あなたの方法は間違っている−


978-4-425-98121-2
著者名:横山雄三 著
ISBN:978-4-425-98121-2
発行年月日:2003/12/18
サイズ/頁数:A5判 186頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,200円(税込)
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登山者必携!いざという時に役立つ、地図とコンパスの正しい使い方を紹介。地図の読み方から練習方法、応用まで知識と理論満載の1冊。

◆著者からこの本を読まれる方へ(「はしがき」より)◆ 『登山に地図とコンパスは必携です。』
そういわれて大切に持って行くのに、滅多に使ったことがない。たまに使うことがあっても、山座同定に用いるだけで、今日の登山に役立つものとは思えない。
これでは地図とコンパスは不要ではないか、という気持ちになってくると思います。そこで、山の専門家にこの疑問を尋ねてみると、
『「いざ」という時に必要である。』
という答えが返ってきます。
しかし、「いざ」使う方法を知らないなら、使わないものを大切に持っているだけです。これでは「お守り」と同じです。「お守り」は信心の上で役に立ちますが、地図やコンパスは測定機器です、道具として使われるべきでしょう。
以前、私が作った登山用のテキストを読んだ方の中で地図とコンパスもまだ理解できていない人に、「難しすぎる。知識をひけらかせても仕方がない。」と非難されたことがありました。この方は初心者だったのですが、ある山の会の会長をしている人から、全く同じ批判をされました。その時には、初心者の方の意見とは意味が違うのだろうと思っていました。しかし、どうやらベテランでありながらビギナーと同じ考えであったようです。
かなりの経験者でありながら、コンパスを中途半端に理解していて、読図だけで充分であると考えている人が大勢いることや、登山書を出している専門家にも、正しい方法をよくわかっていない人達がいることが分かってきました。こういう人達に登山を習ってしまうと、初心者がコンパスや地図の正しい使い方が分からなくなるのは当然です。実は習う側の能力よりも、教える側の能力不足や誤った理解が、コンパスの機能を充分に活用できない人たちを増やしている最大の原因だったのです。
ところで、初心者と異なり、教える立場の人に正しい使い方を説明するには、誤った方法との違いを、きちんと明確にする必要があります。しかし、人は誤りを指摘されると、知らなかったことを教えられるよりも、反感を持ってしまいます。そのため、私の手製のテキストが「知識をひけらかせている」ように見られたのではないかと思います。よかれと思ってしたのですが、少し気配りが足りなかったのかも知れません。
一方、初心者には、詳しすぎる説明をすると、かえって分かりにくくなります。そのために、本書の入門の章では、詳しい説明を避けて、取りあえず必要と思われることを、かなり大まかな説明で済ませています。厳密には正確さを欠いた表現をしているところもあり、詳細説明の部分と異なる場合もあります。
地図、コンパス、そして、それらを組み合わせた使用方法について、個々に章を作り、詳しく説明しています。地図とコンパスの仕様は複合的な作業なので、理論と実行の順序がすんなり並ぶとは限りません。説明順序の反転などを無くすように努めましたが、完全ではありません。また、重複する部分もありますが、理解の正確を期するためにあえて繰り返したところもあります。
本書は、当然ながら類書と同じ内容を多く含んでいます。また、他の分野の方法を初めて登山に応用したものもあり、その中には独善的なものもあるかと思います。これらの大半は、私の属ししている会で実際に試してみて、その効果や適性かどうかを確認しています。
コンパスを使って位置を測定していると、感心されたり、誉められたりすることがあるようです。コンパスを用いて地図を使うことは、登山を楽しみにしている誰もが、身に着けたいと思う技術です。しかし、なかなか覚えることが出来ないのが現実です。この憧れのテクニックをぜひともマスターしてください。
なお、最近、地形図様式が大幅に改正され、測地系が変更されました。発行元の国土地理院も、早急に全ての地形図を発行出来ません。書店や地図専門店の店頭には旧版が並んでいて、新版はまだごく一部に限られ、A1判にいたっては、ほとんど発行されていません。測地系が変更されても、GPSなどを使わず、経緯度に関わり無く普通に地図を使う場合には、改正は関係ありませんので、わざわざ旧版を廃棄することはありません。各種の版が混在していますので、本書で述べる地図の使い方は、どの版にも対応できるように配慮しております。

2003年11月
著者

目次 第1章 入門  1.1 地図とコンパスの役目
 1.2 地図の準備をしましょう
  1.2.1 地図の種類
  1.2.2 地形図の入手方法
 1.3 地形図への手入れ
  1.3.1 真北線の記入
  1.3.2 偏差タンゼント表
  1.3.3 磁北線の記入
  1.3.4 地図への手入れ
  1.3.5 地形図の折り畳み
 1.4 地図を使う基本
  1.4.1 縮尺
  1.4.2 地形図記号
  1.4.3 等高線
  1.4.4 読図
  1.4.5 方位
 1.5 地図の配置?(標定式)
  1.5.1 地形図がわかるようになるには
 1.6 磁気コンパス
  1.6.1 コンパスの準備
  1.6.2 OLコンパスの構造
  1.6.3 OLコンパスの使用方法
  1.6.4 コンパス操作
  1.6.5 目標物の方位の獲得と進行方向
  1.6.6 地図操作
  1.6.7 逆順のコンパスのセット
 1.7 位置の線
 1.8 目標物の確認と現在地の確定
  1.8.1 目標物の確認
  1.8.2 現在地の確定
 1.9 進行方向の決定と確認

第2章 練習  2.1 練習場所の選択
 2.2 練習登山のメンバーの選択
 2.3 練習の計画
 2.4 練習の実施
  2.4.1 練習課題1「向いているのはどっち?」
             「東はどちらになりますか?」
  2.4.2 練習課題2 「あれな何度ですか?」
  2.4.3 練習課題3 「あれはなんですか?」
  2.4.4 練習課題4 「どこを通ってきましたか?」
  2.4.5 練習課題5 「地図の上で、今どこですか?」
  2.4.6 練習課題6 「どこを通りましょうか?」
  2.4.7 練習課題7 「そのルートならどちらに進めばいいか?」
  コラム1 クロスベアリングの室内練習法

第3章 地図の詳細  3.1 地形図の範囲
 3.2 世界測地系(WGS-84座標系)と日本測地系
 3.3 地形図図式
  3.3.1 地図記号
  3.3.2 等高線
  3.3.3 道路等
  3.3.4 湖、池、河川
 3.4 地形図の選択
 3.5 概念図
  3.5.1 平面図式概念図:地性線図
  3.5.2 断面図式概念図
 3.6 方位
  3.6.1 方位の種類の詳細
  3.6.2 角度の単位
  3.6.3 方位の印
 3.7 磁北の偏差
  3.7.1 磁北線
  3.7.2 磁場変動
  3.7.3 地方磁気異常
 3.8 地図の配置?(北上式)
  3.8.1 標定式の詳細と批判
  3.8.2 地図は常時北を上にして見る(北上式)
  コラム2 視地平距離

第4章 コンパスの詳細  4.1 OLコンパス以外のコンパス
  4.1.1 丸型コンパス
  4.1.2 レンザチック コンパス
  4.1.3 コンパスグラス
  4.1.4 クリノメーター
  4.1.5 代用コンパス
 4.2 各種OLコンパス操作の比較
  4.2.1 正面式
  4.2.2 照準式
  4.2.3 傾斜式
  4.2.4 ミラー式
  4.2.5 垂下式
  4.2.6 早撃ち式(練習方法)
 4.3 各種コンパスや操作についての測定精度の比較
 4.4 短針式指南法
  4.4.1 短針式指南法の詳細
  4.4.2 簡略指南法
  4.4.3 短針式指南法の誤差
 4.5 コンパス測定の誤差
  4.5.1 地球磁場変動による誤差
  4.5.2 地方磁場異常による誤差
  4.5.3 自差による誤差
  4.5.4 OLコンパスの測定操作ミスによる誤差
 4.6 コンパスの用途による要求精度の相違
  4.6.1 進行方向測定の要求精度
  4.6.2 地図の配置「標定式」の要求精度
  4.6.3 目標の方位測定の要求精度
 4.7 コンパスが使えない理由
  4.7.1 指導者層の責任
  4.7.2 コンパスが使えない理由の詳細
  コラム3 パソコンによる方位表

第5章 コンパスと地図を使う  5.1 コンパスを用いて地図を使う作業手順
  5.1.1 登山でのコンパスと地図の作業内容
  5.1.2 従来の方法の批判
  5.1.3 現在地の確定作業の手順
 5.2 概略位置の推定(歩測による)
  5.2.1 移動距離の測定
  5.2.2 移動方向の測定
  5.2.3 距離と方向による現在地の推定(推測航法)
  5.2.4 概略距離と簡易指南法による現在地推定
 5.3 目標物の確認
  5.3.1 点状物
  5.3.2 線状物
  5.3.3 測定による目標物の確認
  5.3.4 山座同定
  5.3.5 目標物の確認に関係する見解について
 5.4 現在地の確定
  5.4.1 確認された目標物から現在地確定へのフロー
  5.4.2 位置の線
  5.4.3 クロスベヤリング
  5.4.4 方位測定による位置の線
  5.4.5 段階的精度の向上
  5.4.6 見通し線による位置の線−重視法−
  5.4.7 等高線による位置の線
  5.4.8 夾各による位置の線
 5.5 GPSの利用
  5.5.1 GPSの作動原理
  5.5.2 携帯型GPS受信機の機能と使用上の処置
 5.6 山行計画
  5.6.1 計画立案−目的地とルートの選択
  5.6.2 登山計画書の作成
  5.6.3 当日現場での計画・設定

【読者からの声】 ●Fさん 22歳
「コンパス一つでも使い方がいろいろとあり参考となった。ただの紹介ではなく、筆者の意見も書いてありよかった」


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