流れ星の文化誌 気象ブックス003


978-4-425-55021-0
著者名:渡辺美和・長沢 工 共著
ISBN:978-4-425-55021-0
発行年月日:2000/3/18
サイズ/頁数:四六判 140頁
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人々の身近な存在でありながら、今まで天文学でしか語られなかった流れ星を、歴史的・文化的視点から観測し、知られざるその素顔に迫る。

【はじめに】より
 初めて流れ星が近代科学の対象として観測されたのは、1798年11月のことだ。それから100年たった1899年、日本では現代に通じる流れ星の観測は初めて行われた。
 でも、もちろん、それらが初めて流れ星を見た記録ではない。流れ星はそれまでもずっと私たちの頭上に現れていたのである。
 流れ星の数が、もっともっと多かったなら、それなりに天文学の発展に違った影響を与えたかもしれないが、残念ながら、流れ星はその数も適度であった。太陽、月、惑星などの規則的な現象を撹乱するにはあまりに微力であり、その結果、流れ星はそれ自身の解明が進むまでは、占いの対象とされたりして脇役に甘んじてきたのである。
 この流れ星にまつわる文化(文化というほど大袈裟なものでなく、イメージとでもいうべきであろうか)については、これまであまり気にもされなかった。ちょうど流れ星が天文学の中で長い間傍流的なものであったり、流れ星が私たちの日常と大きな関わりを持っていなかったように、主題として取り上げられることも少なかった。現在の日本で広く知られている「流れ星が消えないうちに願い事を三度唱えると、その願い事がかなう」という言い伝えも、その成立に不明な点が多かったのである。
 文献資料集めにくさが大きな原因であり、それほどに流れ星は記録に残されにくく、あまりに当たり前の存在にすぎなかったのであろう。だが、文献や刊行された記録にだけではなく、実は私たちの現在の生活のそこかしこに、流れ星の文化は残されていたのである。
 流れ星は今でも多くの人を魅了している。その流星の魅力は何か。筆者は、流れ星と私たちの関わりを整理し、流れ星の文化を振り返ってみることに挑戦してみた。もとより、筆者はあまりに非力であるが、日本の例を中心とし、必要に応じて諸外国(特に欧米と中国に限定される)の例や影響を加味しながら、流れ星とおの文化の構造を検討してみようと思う。危惧しているのは、結果として、おもちゃ箱をただひっくり返したような例示のみに終わるかもしれない点である。
 本書では、まず第一章で、流れ星のアウトラインについて概観する。第二章では、流れ星がどのように記録されていたかを、日本の例を中心として歴史を通して振り返る。第三章は、流れ星に関わる伝説の背景を考慮しつつその継承を分析する。ここではヨーロッパ世界の流星認識についても言及する。続く第四章では科学の挑戦を扱った。流れ星の断面について自然科学がどのように相対してきたかを見ながら、流れ星の文化を回顧する。そして終章で、流れ星の印象を分析総合化し、伝説と流れ星の文化をまとめてみたい。
 なお、「流れ星」を「流星」と呼ぶことも一般的である。本書では、なるべく「流れ星」を用い、熟語や文献での表記などの場合「流星」を使用した。しかし指し示す内容は同じであり、混在して用いている場合もある。なお、年号日付などは原則として西暦と私たちが現在使っている暦日で示しているが、日本の江戸時代以前の事項については必要に応じて当時の暦日を使用している。

渡辺美和
長沢 工

【目次】
第一章 流れ星への招待
 一 流れ星を見て
 二 流れ星とは何だろう
  流れ星は星か
  流れ星はどこに
  流れ星とみかけの現象
 三 流れ星は群れたがる
  流れ星の群とほうき星
  いろいろな流星群
  群れたがらない流れ星
 四 流れ星の雨アラレ
 五 とても明るい流れ星

第二章 流れ星の記憶
 一 枕草子の流れ星
 二 流れ星は何と呼ばれたか
  呼称のいろいろ
  光のもとは何だ
  夜這い星
  中国では何と呼んだか
 三 描かれた流れ星
 四 流れ星はどのように語られたか
  流れ星を歌う
  流れ星を演じる
  流れ星を話す

第三章 流れ星への願い
 一 世界の流れ星伝説
  流れ星を何と捉えたか
  キリスト教と流れ星
 二 日本の流れ星伝説
  災いの元?江戸時代
  流れ星を見ると
  再び江戸時代との関連

第四章 流れ星の観測史
 一 空に現れる光
 二 疑問を持った人々
  流れ星はどこから
  江戸時代の天文学者
 三 一九世紀の事件
  1833年のしし座流星群
  1860年代の流星界
  1862年の日本での事件
  1899年?再びしし座流星群への期待
 四 流れ星へのアプローチ
  流星群の発見
  はかない一瞬の撮影
  一瞬を測る
  なぜきれいなのか
  びっくりさせる現象

第五章 流れ星と私たち
 一 流れ星のイメージ
  歌と流れ星
  飛行機と流れ星
  文学の流れ星
  テレビ・映画そして漫画と流れ星
 二 イメージの体系化
  イメージは関連している
  遊びと文化の深い関係
  偶然の遊びと流れ星
  流れ星の美しさ
 三 流れ星をとりまく環境
  私たちの流れ星環境
  宇宙が身近になった
 四 新たな流れ星文化

(気象図書)


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