水中考古学への招待 【改訂版】−海底からのメッセージ−


978-4-425-91102-8
著者名:水中考古学者 井上たかひこ 著
ISBN:978-4-425-91102-8
発行年月日:2002/9/28
サイズ/頁数:四六判 256頁
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海底に眠るツタンカーメンの秘宝、廃墟と化した海底都市への探検など、水中考古学者の著者が若人たちに贈るアドベンチャー物語の数々。

【はじめに】より
水中に眠るたくさんの古代遺跡のうち、かけ値なしの「世紀の大発見」といえば、1996年にエジプトのアレクサンドリア港内の海底で発見された古代エジプトの女王・クレオパトラの宮殿でしょう。「もしも彼女の鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」といわれた“絶世の美女”クレオパトラは、どんな宮殿に住み、どんな生活をしていたのでしょうか。過去を振り返ってもこれに匹敵するのは、トロイアの遺跡やツタンカーメン王墓の発見ぐらいのものですから、考古学者ならずとも胸がワクワクしてきます。
それに伴って、彼女との恋に落ちたローマの戦士・アントニウスの住居跡や世界七不思議の一つとされるファロスの灯台など超A級の遺跡が見つかったのですから、それこそ今世界がひっくり返るほどの大騒ぎをしています。
一方、メキシコ湾をのぞむ米国テキサス州のマタゴーダ湾では、富と栄光を求めて新大陸を目指した17世紀のフランスの探検家、ラ・サールの乗った帆船「ベル号」が発見され、ついえた夢に今ふたたび光が当たりはじめています。遭難したラ・サールの無念さはさておいて、300余年の時を経て、呪われた航海の謎が今、解き明かされようとしています。
そのほかにも、1912年に大西洋上で氷山と衝突し悲劇のヒロインとなったイギリスの豪華客船「タイタニック号」の引き揚げのニュースや、東洋でも、約500年前に巨額の財宝を満載しマラッカ海峡で難破したポルトガルの帆船、「フロール・デ・ラ・マール号」の引き揚げが「マラッカの宝船」として話題を呼んでいます。
この本は、そのような難破船や海底都市への探検に、作者が実際に参加し体験した海の冒険の物語です。その内容も地中海、カリブ海、インド洋などを舞台にくり広げられるツタンカーメン船へのダイビングや痛快なカリブの海賊の活躍ぶりなど、盛りだくさんです。
でも、ここに登場する人たちは、金もうけをたくらんでいるのではありません。たまには海底で目もくらむような宝の山を発見することもありますが、自分たちが長者になるつもりもありません。それよりもっと大切なもの、はるかに貴重なものを探しているのです。
不安な旅や過酷な無人島でのキャンプ生活の間の、激しい暑さ、風や雨、害虫など、絶え間なくおそってくる困難や苦しさにも笑って堪えしのびます。窮屈な潜水服を身にまとい、暗く限りない深海の危険と闘いながら進みます。
わたしたちのやらかす冒険も、その発見する物と同じようにさまざまです。時には博物館が満ちあふれるほどの幸運な宝物にめぐまれることもあるでしょう。人々に忘れ去られてしまった昔の埋もれた文明を、いきいきと今によみがえらせる、それがわたしたちの仕事なのです。
すばらしい冒険がしたい人、自分だけの旅を見つけたい人、海をこよなく愛する人、潮の香りを嗅ぎたい人、マリンスポーツやアウトドア志向の人、古代や歴史に興味を持つ人、古代遺跡の謎解きをしたい人たちに、ぜひこの本を読んで欲しいと思います。それらのキーがこの本にはたくさん隠されています。
読者がこの本の中で出会うことになる、夢やロマンや冒険心は子供の頃なら誰でも持っていただろう母なる海への憬れです。それではさっそく、水中深く黙して語らない「失われた世界」への旅にとご案内しましょう。
なお、今回の改訂に当って、新しい資料をもとに、一部修正を加えました。


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カテゴリー:海事一般 
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