最新 燃料油と潤滑油の実務 【3訂版】


978-4-425-66033-9
著者名:冨田正久・磯山醇二・佐藤宗雄 共著
ISBN:978-4-425-66033-9
発行年月日:1997/3/28
サイズ/頁数:A5判 370頁
在庫状況:品切れ
価格¥4,840円(税込)
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燃料油と潤滑油について、石油の成因から製品に至るまでと、その応用技術について最近のデータを採り入れ、体系的にわかりやすく説明。

【まえがき】より  本書の前身である「実用燃料油と潤滑油」が初めて上梓されたのは昭和41年のことで、以来二十数年の経過の間に、世情の激しい変化の中で、幾度かの改訂を行ってきた。さらに、昭和58年には、内容を全面的に見直すと同時に、書名も「燃料油と潤滑油の実務」と改めた。こうしたことにより、多くの読者のご要請に応え得る対応と改革を積み重ねてこられたと確信している。
 昭和48年の第一次石油ショック、昭和53年のイラン革命を引き金とした第二次石油危機の衝撃は、国際的な政情不安を引き起こし、エネルギ問題はより一層日本の国民経済への影響を大きなものとした。
 それに加えて、昭和30年初頭から始まった船舶における技術革新の波は、50年代に入ってからは船員制度の近代化に及び、昭和58年には船員法及び船舶職員法の画期的な改正が行われるに至った。その結果、船舶乗組員は急速に少人数化され、職員、部員共に航機両用体制となって、現在では多くの船舶が運航士、船舶技士の新職制の下に運航されつつある。
 こういう状勢の下で、船舶の運航に大きなウエイトを持つ運航技術の向上、信頼性、安全性の意義はより大きくなっている。なかでも運航エネルギ源となっている燃料油及び潤滑油に関する諸問題―その取扱い、品質及び燃料管理は、運航経済の上からのみでなく、運航の安全性確保の上からも優先される多くの課題を抱えている。
 本書はこれらの点を踏まえて、油に関する基礎知識から実務的な応用面に至るまでを、陸上、海上を問わず、実務者のためになるように編集した。また海技免状受験者にとって参考となる国家試験問題を最近のものまで収録した(なお、昭和63年の日本工業規格の改正により、従来使用されていた「比重」という呼称は「密度」と表記されることとなり、本書においてもすべて表記を改めたが、過去に出題された海技試験問題の中で使用されているものについては、そのままとした)。
 本書は発刊当初の趣旨はもとより、必要不可欠な事項を採り入れ、読者各位のご叱正を頂いて今後ともますます内容の充実をはかり、時代の要請に応え得るより良いものにしていきたい。

平成元年3月
著者

【目次】
第1編 原油
第1章 石油
 第1節 石油の成因
 第2節 無機説と生物説
 第3節 石油の利用
 第4節 石油の産出
  1.石油の自主開発
  2.世界の原油確認埋蔵量と可採年数及び生産量
 第5節 石油の探鉱
 第6節 油井の堀り方
 第7節 原油の輸送
 第8節 原油の貯蔵
 第9節 国際石油情勢
 第10節 石油の備蓄

第2章 石油の化学  第1節 石油の組成
 第2節 炭化水素の種類
  1.鎖状炭化水素
  2.環状炭化水素
 第3節 炭化水素の化学的性質
  1.鎖状炭化水素
  2.環状炭化水素
 第4節 各原油の比較
  1.各基油別産地
  2.主要輸入原油の性状表

第3章 製油  第1節 蒸留
  1.常圧蒸留
  2.減圧蒸留
 第2節 分解
  1.熱分解
  2.ビスブレーキング
  3.接触分解
  4.水素化分解
 第3節 溶剤精製
  1.フルフラール抽出
  2.プロパン脱アスファルト
  3.溶剤脱ろう
 第4節 水素化精製
  1.燃料油の水素化処理
  2.潤滑油の水素化処理
 第5節 製油所

第2編 燃料油 第1章 燃焼  第1節 燃焼という現象
 第2節 燃料の発熱量
 第3節 噴霧燃焼
 第4節 理論サイクル
  1.オットーサイクル
  2.ディーゼルサイクル
  3.混合サイクル
  4.ガスタービンサイクル
 第5節 ディーゼルエンジンの燃焼

第2章 ガス  第1節 LNG、NGL、LPG
 第2節 液化石油ガス(LPガス)の規格
  1.適用範囲
  2.用語の意味
  3.種類
  4.品質

第3章 ガソリン  第1節 ガソリンの分類
  1.用途による分類
  2.製造法による分類
 第2節 自動車ガソリン
  1.種類
  2.品質
 第3節 工業ガソリン
  1.種類
  2.品質
 第4節 ガソリンの精製とその性状
  1.ガソリンの精製
  2.ガソリンの一般性状
  3.ガソリンの特異性状

第4章 灯油  第1節 灯油の規格
  1.種類
  2.品質
  3.灯油の発熱量
  4.灯油の用途

第5章 軽油(Gas Oil〉  第1節 軽油の規格
  1.種類
  2.品質
 第2節 ディーゼル燃料の要求性状
  1.着火性
  2.粘度
  3.蒸留性状
  4.硫黄分
  5.流動性
  6.水分及び不純物
 第3節 着火性(セタン価)
  1.セタン価測定法
  2.セタン価と物理化学特性との関係
 第4節 軽油の試験方法

第6章 重油(Fuel oil)  第1節 重油の規格
  1.種類
  2.品質
 第2節 重油の調整
  1.重油の基材と混合
  2.重油の組成と安定性
  3.混合安定性
  4.熱安定性
  5.重油の粘度と温度の関係
  6.粘度表示
 第3節 漁船用燃料油
  1.種類
  2.必要性状
  3.B重油
  4.A/Cブレンド油
 第4節 重油の試験方法

第7章 舶用燃料油  第1節 舶用燃料油の低質化
  1.低質化の背景
  2.石油需給と規格の改訂
 第2節 船舶の使用燃料油
  1.使用燃料油の現状
  2.C重油の性状推移
 第3節 燃料油障害の傾向と対策
  1.障害発生の推移
  2.障害の内容
  3.障害対策
 第4節 将来燃料油
  1.軽油、A重油
  2.C重油
  3.FCCスラリー油

第8章 燃料油の貯蔵と取扱い  第1節 燃料油の貯蔵
  1.燃料油タンク
  2.燃料油タンクの点検
 第2節 燃料油の取扱い
  1.燃料油の補給
  2.燃料油の計量
  3.燃料油受け入れ時の注意事項
  4.燃料油の加熱
 第3節 こし器
  1.金網式こし器
  2.積層板式こし器
  3.ノッチワイヤ式こし器
  4.焼結金属式こし器
  5.その他
 第4節 遠心分離機
  1.筒型遠心分離機
  2.ディスク型遠心分離機
  3.デカンタ形遠心分離機
 第5節 遠心分離機の原理と機構
  1.遠心沈降と重力沈降
  2.清澄作業
  3.分離作業
  4.リングダムの調整
  5.円筒形遠心清浄機
  6.分離板形遠心清浄機
 第6節 機械的燃料処理装置
  1.スーパーデカンタ
  2.機械的ホモジナイザ
  3.超音波ホモジナイザ
 第7節 低質重油の清浄処理
  1.処理油の粘度限界
  2.処理油の密度限界
  3.灰分の清浄処理
  4.水分の清浄処理
  5.硫黄分の処理
  6.水洗清浄法
 第8節 触媒粒子対策
  1.静電フィルタ
  2.精密フィルタによる除去
  3.遠心分離機による除去
  4.旋回フィルタ
 第9節 トラブルの調査と報告
 第10節 燃料油関係クレーム
  1.カーボンフラワ
  2.海水混入、スラッジ析出
  3.燃料油のトラブル対策
 第11節 燃料添加剤
  1.燃料添加剤の種類
  2.燃焼触媒型添加剤
  3.乳化剤・水分離剤

第3編 潤滑油 第1章 潤滑概論  第1節 摩擦・摩耗と潤滑
  1.摩擦力とクローンの法則
  2.物質の表面と表面張力
  3.固体表面の摩擦
  4.潤滑した固体表面の摩擦
  5.摩擦
  6.流体潤滑理論
 第2節 潤滑剤の分類
  1.潤滑剤の形態による分類
  2.潤滑油の組成による分類
  3.基油による分類
 第3節 潤滑油の種類と粘度
  1.粘度の表示法
  2.用途分類と粘度
  3.エンジン油の粘度による分類
  4.ギヤー油の粘度による分類
  5.粘度温度特性
  6.粘度指数の算出方法
  7.粘度圧力特性

第2章 エンジン油  第1節 エンジン油の規格
  1.内燃機関用潤滑油
  2.陸用エンジン油
  3.舶用エンジン油
 第2節 使用箇所と品質分類
  1.エンジン油の使用箇所
  2.エンジン油の品質分類
 第3節 潤滑油のエンジン試験
  1.エンジン試験の目的
  2.キャタピラーエンジン試験法
  3.CLRエンジンによる試験法
  4.MSシークエンステスト
  5.MILエンジン油試験法
  6.ボルネスエンジン試験法
  7.エンジン試験の評価項目と合格基準値
 第4節 舶用ディーゼル油
  1.舶用ディーゼル油の問題点
  2.高アルカリシリンダ油
  3.システム油
  4.システム・シリンダ油
 第5節 エンジン油の要求性能
  1.エンジン油の役割
  2.エンジン油に必要な性質
 第6節 潤滑油添加剤
  1.酸化防止剤及び腐食防止剤
  2.清浄分散剤
  3.粘度指数向上剤
  4.流度点降下剤
  5.油性向上剤
  6.極圧剤
  7.消泡剤
  8.合成潤滑油

第3章 各種潤滑油  第1節 タービン油
  1.タービン油の規格
  2.タービン油の特長
 第2節 ギヤー油
  1.ギヤー油の規格
  2.ギヤー油の種類と特性
 第3節 油圧作動油
  1.油圧装置
  2.各種ポンプの比較
  3.油圧作動油の種類と特性
 第4節 冷凍機油
  1.冷凍装置
  2.冷凍機油の規格と特性
 第5節 圧縮機油その他
  1.圧縮機油
  2.船尾管油

第4章 グリース  第1節 グリースの組成
  1.グリースの一般性状
  2.グリース用の基油
  3.増ちょう剤
  4.添加剤
 第2節 グリースの種類と用途
  1.一般用グリース
  2.転がり軸受用グリース
  3.自動車用シャシーグリース
  4.自動車用ホイールベアリンググリース
  5.集中給油用グリース
  6.高荷重用グリース
  7.ギヤーコンパウンド
 第3節 グリースの性状
  1.ちょう度
  2.点滴又は融点
  3.銅板腐食
  4.蒸発量試験
  5.酸化安定度試験
  6.離油度
  7.水洗耐水度
  8.その他
 第4節 グリースの選定
  1.使用温度に対する選び方
  2.給油方法に対する選び方
 第5節 グリースの給油法
  1.ちょう度との関係
  2.手で詰める方法
  3.グリースカップ
  4.刷毛ぬり法
  5.グリースガン
  6.給油上の一般注意事項

第5章 固体潤滑剤  第1節 固体潤滑剤の適用条件
 第2節 固体潤滑油の種類
 第3節 製品形態と特長
  1.ハウだー(粉末)
  2.ペースト
  3.乾性皮膜
  4.グリース
  5.ディスパーション(分散)
 第4節 固体潤滑剤軸受
  1.埋込型固体潤滑剤軸受
  2.分散型固体潤滑剤軸受
  3.裏金付プラスチック軸受

第6章 潤滑技術  第1節 潤滑技術の基本
  1.基本的考え方
  2.故障と潤滑技術
 第2節 故障防止と潤滑法
  1.潤滑の目的と役割
  2.適正給油量
  3.給油上の注意点
  4.選択適用の注意点
 第3節 潤滑方式
  1.潤滑方式の種類
  2.全損式
  3.反覆使用式

第7章 潤滑関係の事故防止対策  第1節 ディーゼル機関
  1.クランク軸
  2.主軸受
  3.シリンダライナ
  4.ピストンロッド・パッキン箱
  5.ピストンリング
  6.ピストンクラウン内の堆積物
  7.ピストンピン
  8.吸排気孔
  9.吸排気弁
  10.排気ターボ過給器
 第2節 蒸気タービン
  1.主減速歯車
  2.軸受
  3.各部の発錆
 第3節 潤滑油の劣化防止
  1.異物混入
  2.冷却器と水分混入
  3.油管の配置
  4.潤滑油ポンプ
 第4節 クレームと対策
  1.石油製品のクレーム
  2.潤滑油関係クレーム

第8章 フラッシング  第1節 蒸気タービンのフラッシング
  1.フラッシングの要領
  2.潤滑油の循環
  3.フラッシングの時期
 第2節 ディーゼル機関のフラッシング

第9章 潤滑油の取扱い管理  第1節 適油の選定
  1.潤滑管理
  2.敵油の条件
  3.エンジン油の選定
  4.船舶の適油
 第2節 エンジン油の取扱い方法
  1.保管方法
  2.給油方法
  3.船での取扱い上の注意
 第3節 エンジン油の劣化と汚損
  1.劣化と汚損のメカニズム
  2.エンジン油の汚損劣化と添加剤
 第4節 潤滑油の性状項目
  1.密度
  2.粘度
  3.粘度指数
  4.引火点
  5.残留炭素
  6.灰分
  7.流動点
  8.アルカリ価
  9.銅板腐食
  10.不溶分
 第5節 分析結果の見方
  1.分析の目的
  2.試料採取上の注意
  3.使用油の分析項目
  4.分析結果の見方
 第6節 エンジン油
  1.エンジン油の試験項目
  2.エンジン油の使用限度
 第7節 タービン油
  1.タービン油の試験項目
  2.タービン油の使用限度
 第8節 油圧作動油
  1.油圧作動油の劣化と交換時期
  2.油圧作動油の汚染度
  3.油圧作動油の水分
 第9節 赤外吸収スペクトル
  1.補償法
  2.酸化度
 第10節 スポットテスト

第10章 試験法  1.反応試験
 2.蒸留試験
 3.引火点試験
 4.動粘度試験
 5.残留炭素分試験
 6.灰分試験
 7.水分試験
 8.曇り点試験
 9.流動点試験
 10.中和価試験
 11.銅板腐食試験
 12.硫黄分試験
 13.潤滑油熱安定度試験
 14.潤滑油酸化安定度試験
 15.石油製品アニリン点及び混合アニリン試験
 16.色試験
 17.摩擦試験
 18.パネル・コーキング・テスト
 19.内燃機関油酸化安定度試験

付表  1.石油JIS規格と類似の外国規格の略号
 2.石油にかかる税金
 3.国際単位系(SI)及びその使い方
 4.SI単位への切替えで問題になる単位の換算率表
 5.工業用潤滑油粘度分類
 6.マシン油
 7.軸受油
 8.電気絶縁油
 9.グリース規格
 10.粘度/温度チャート

(海事図書)


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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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