新版 電波航法


978-4-425-41325-6
著者名:今津隼馬・榧野 純 共著
ISBN:978-4-425-41325-6
発行年月日:2003/3/7
サイズ/頁数:A5判 160頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,860円(税込)
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現状の電波航法や関連技術の基本原理からE-Navigation等、今後展開される新システムの理解まで、基礎から応用へと橋渡しをする基本テキスト。

【はしがき】  近年、GPS等の電波航法の発達により、時々刻々の自船位置を正確にとらえることが可能となりました。また、AIS等の通信技術の発達により各船の位置情報を船内はもちろん、他船や陸上でも共有することが可能となりました。
 本書は現在の船舶航行に使用されている電波航法を中心に、現場ですぐに役立つだけでなく、次世代のシステム展開に応用できるよう、基本原理についてできるだけわかりやすく、そしてこのシステムによりどのような問題が解決され、どのような問題が残っているのかがわかるように解説することを心がけました。
 また、電波航法で得られる位置情報を船舶航行に積極的に活用するために開発された、電子海図やAIS等についてもここに掲載しました。
 電波航法による自船位置情報は、乗揚げ回避や衝突防止に活用できることから、こうした海難防止のためのシステムが電波航法の発達にあわせて開発され、また改良されています。
 最近のIMO(国際海事機関)では、電波航法や情報通信技術の進展を踏まえ、船舶の航行とそれに関連した業務の質の向上を目的として、船舶航行に役立つ情報を収集、統合、交換、表示、分析する、e-Navigationと呼ばれるシステムの開発について討議しています。ここに述べた電波航法や関連技術について理解していただければ、これから開発されるe-Navigationについても容易に理解され、さらには、今後の新しいシステムの開発にも役立てていただけるものと確信しています。ただし、本書は教科テキストを目指した書であることから、詳細な解説は省いていますので、この点はご容赦願います。

平成24年2月
今津隼馬

【目次】
第1章 電波の分類と伝播
 1.1 伝波通路による電波伝播の分類
 1.2 各電波通路における電波伝播
  1.2.1 地上波の伝播
  1.2.2 対流圏内の伝播
  1.2.3 電離層での伝播
 1.3 波長(周波数)による電波の分類
 1.4 各波長帯における電波伝播
  1.4.1 超長波の伝播
  1.4.2 長波の伝播
  1.4.3 中波の伝播
  1.4.4 短波の伝播
  1.4.5 超短波およびマイクロ波の伝播
 1.5 電波伝播に関する諸現象
  1.5.1 フェージング(Fading)
  1.5.2 デリンジャー現象(Short Wave Fadeout : SWF)
  1.5.3 磁気嵐型電波障害
  1.5.4 電波雑音
  1.5.5 正規反射波と異常反射波

第2章 双曲線航法  2.1 測位原理
 2.2 双曲線を求める方法
 2.3 地上波と空間波の識別方法
 2.4 今までに実用化された双曲線航法
 2.5 ロランC(LOng LArge Navigation C)
  2.5.1 ロランC局の配置
  2.5.2 送信形式と地上局の識別符号
  2.5.3 ロランC電波の伝播特性
  2.5.4 ロランCの位置誤差

第3章 衛星航法  3.1 測位原理
  3.1.1 ドップラーシフトを利用する方法
  3.1.2 到達時間を利用する方法
 3.2 衛星航法の代表例
 3.3 GPS(Global Positioning System)
  3.3.1 GPSの概要
  3.3.2 GPS衛星から送られてくる電波と信号
  3.3.3 PRN(Preudo Random Noise)符号
  3.3.4 PSK(Phase Shift Keying)変調とスペクトル拡散
  3.3.5 航法メッセージ
  3.3.6 受信波の解読
  3.3.7 位置計算の原理と計算式
  3.3.8 GPSの誤差
  3.3.9 GDOP(Geometric Dilution Of Precision)
  3.3.10 DGPS(Differential GPS)

第4章 レーダ(RAdio Detection And Ranging:RADAR)  4.1 レーダの原理
 4.2 レーダ波の伝播と反射
  4.2.1 レーダ方程式
  4.2.2 直接波と反射波の合成
  4.2.3 目標のレーダ反射免責とコーナーレフレクタ
 4.3 レーダの性能
  4.3.1 最大探知距離
  4.3.2 最小探知距離
  4.3.3 距離分解能
  4.3.4 方位分解能
 4.4 レーダの性能に影響を及ぼす事項
  4.4.1 パルス繰返し数
  4.4.2 パルス幅
  4.4.3 尖頭出力
  4.4.4 スキャナ回転速度
  4.4.5 波長
 4.5 スイッチ類の作動概要
 4.6 偽像と注意を要する像
 4.7 レーダ表示の種類
  4.7.1 映像の基準による表示の分類
  4.7.2 映像の動きによる表示の分類
 4.8 レーダによる位置決定
  4.8.1 映像の測定点の決定と測定
  4.8.2 距離情報による位置の線と精度
  4.8.3 方位情報による位置の線と精度
  4.8.4 位置決定法
 4.9 レーダの航海への応用

第5章 船舶自動識別装置(Automatic Identification System:AIS)  5.1 情報の送受
  5.1.1 AISで送られる情報
  5.1.2 AISの送信について
  5.1.3 AISの受信について
  5.1.4 AIS情報の特徴
 5.2 AIS の運用
  5.2.1 AISのスイッチ
  5.2.2 AIS情報の確認
  5.2.3 AIS運用中の注意事項
 5.3 AIS 情報の表示
 5.4 AIS 等によるネットワーク

第6章 衝突予防への利用  6.1 衝突危険の評価に関する代表的な手法
  6.1.1 最接近距離(Distance of Closest Point of Approach)
      ・最接近時間(Time to Closest Point of Approach)
  6.1.2 危険予測域(Predicted Area of Danger)
  6.1.3 目標による衝突妨害ゾーン(Obstacle Zone by Target)
 6.2 映像位置のプロットによる運動情報の解析
 6.3 運動情報の精度
 6.4 船舶の行動と相対ベクトルの変化
 6.5  レラティブプロットによる運動情報の解析と避航動作の求め方
 6.6 レーダによる衝突回避上の注意事項
 6.7  自動衝突予防援助装置(Automatic Radar Plotting Aids : ARPA)
  6.7.1 ARPAの機能
  6.7.2 ARPAの表示方法
  6.7.3 制御パネルのスイッチ機能
  6.7.4 ARPA使用上の問題点
  6.7.5 映像の運動情報

第7章 電子海図  7.1 電子海図の概要
 7.2 公式電子海図データ
  7.2.1 ENC(Electronic Navigation Chart)
  7.2.2 RNC(Raster Navigation Chart)
 7.3 ECDIS
  7.3.1 ECDISの構成
  7.3.2 ECDISの表示
  7.3.3 航海計算
  7.3.4 バックアップ機能
 7.4 ECS

(海事図書)


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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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