LNG船運航のABC(改訂版)


978-4-425-32152-0
著者名:日本郵船LNG船運航研究会 著
ISBN:978-4-425-32152-0
発行年月日:2015/5/15
サイズ/頁数:A5判 240頁
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価格¥3,520円(税込)
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【まえがき】より  1964年世界で最初の商業ベースのLNG船が就航してい以来、現在約200隻のLNG船が世界中で活躍している。また、世界のLNG需要は未だ非常に旺盛であり、2010年までに、さらに130隻以上のLNG船の就航が予定されている。このように今後も多くのLNG船が世界中で運航され、その役割がさらに重要となっていく中、LNG船の安全運航はますます重要な課題となってくる。一方、40年以上にわたるLNG船運航の歴史において、LNG船事故(海難)は極めて少なく、大規模なガス爆発やガス漏洩を含む環境破壊事故は一度も発生していない。LNG船の海難件数は他の船種のそれに比べても極端に低いとされている。これはいったい何故か?
 本書はこの問いに答えることを目的として書かれたものである。船舶の安全運航は、いろいろな要素から成り立っているが、この全ての要素がそれぞれの目的を果たし、かつ有機的に結びついて達成できるのである。
 それは、時代の先端をいくハード(船舶及び船上の装置)であり、優秀な乗組員とその教育システム、また、その安全運航の達成を最重要と考え、日々それを実行しようという強い意思を持つ、船舶の運航・管理に携わる船主、運航会社、船舶管理会社である。
 こういった観点から、本書は、LNGの基礎からLNG船のハード、LNG船の運航や管理形態、さらに荷役、航海、入渠作業、また、安全管理などLNG船運航の全てのフェーズについて、幅広く解説したものである。一方、LNG関連業務に関わる人々に対しては、その業務に関連あるいは付随するLNG船運航の細部について、出来るだけ深部まで理解していただこうと特に力を入れた。
 著者は、LNG船運航管理会社に勤務するそれぞれの専門的立場から、LNG船の安全運航を達成しようという大きなそして唯一の目的をもって集まり、本書を世に送り出すものである。
 本書が、LNG船の安全運航について、多くの人々に理解していただき、また、LNG船運航に関わる全ての人々に役立てていただければ幸いである。

2006年1月
日本郵船LNG船運航研究会

【改訂版にあたって】より
本書は初版発行から10年が過ぎようとしているが、LNG船は今もエネルギー供給チェーンの重要な役割を担っている。同時に、LNG船の需要は、海洋環境問題、あるいはシェールガスによる新たなLNG供給源の開発等によりまだまだ旺盛であり、2018年には500隻を超えるLNG船が運航されると言われている。一方、LNG船の運航に関しても、環境問題や新しいハードの開発、またさらなる安全運航に向けた取り組み等に関し、種々対応が必要となってきた。
今般、このようなLNG船運航に係る環境変化に対応するため、特に次のような最新の情報を加え、改訂版としてまとめた。
[ハード面]
 ・新型船型及び推進装置の開発
 ・新規諸装置の採用
[ソフト面]
 ・オイルメジャー対応
 ・地震、津波対策
 ・LNG船乗組員対応(クルーマトリクス/海上労働条約)
 ・安全運航とリスクアセスメント
また、環境問題を端を発し、欧州ではLNG燃料船が出現してきており、今後世界の海運の主流になるのではと言われている。我が国においてもLNG燃料船に関しては国土交通省、造船所、各種メーカー、海運会社等で研究が進められており、その採用は秒読みであり、また今後急速に広がるのではと言われている。この新しいビジネスモデルに関し、新たに1章を設けたが、これにより本書の役割りが更に広がればと願うものである。
本書は、初版まえがきでも述べたが、LNG船の安全運航はいかになされているか、という命題に応えるものであり、本書がその解の一部にでもなれれば、著者は望外の喜びである。
LNG船運航に日々係るすべての関係者に敬意を表し、ここに改訂版を送り出す次第である。

2015年4月
日本郵船LNG船運航研究会

【目次】
第1章 LNG船とLNGビジネス
1-1 LNGの基礎
 1.1.1 天然ガスとは
 1.1.2 LNGとは
  (1)LNGの主な特性
  (2)タンク圧力と液温度との関係
 1.1.3 天然ガスの利用
  (1)天然ガスの埋蔵量、生産
  (2)天然ガスの消費
1-2 LNG船とは
 1.2.1 LNG船の種類
  (1)船型
  (2)貨物格納方式
  (3)推進システム
 1.2.2 LNG船の設計と構造
  (1)基本設計
  (2)強度設計
  (3)貨物関係設計
  (4)機関関係設計
 1.2.3 LNG船の機器
  (1)カーゴポンプ
  (2)コンプレッサー
  (3)ヒーター、ベーパライザー
  (4)液面計
  (5)自動制御監視装置
 1.2.4 LNG船の建造
  (1)引合い
  (2)契約
  (3)図面承認
  (4)建造監督
  (5)機器検査立会い
 1.2.5 LNG船の安全
  (1)防火、消防
  (2)衝突強度
1-3 LNG船の運航・管理形態
 1.3.1 LNGプロジェクト
  (1)LNGプロジェクトの特徴
  (2)LNGチェーン
  (3)現在稼働中のLNGプロジェクト
  (4)FSRU
 1.3.2 LNG船運航の特徴
  (1)プロジェクト専用船
  (2)運航スケジュール
  (3)LNG船の推進燃料
 1.3.3 LNG船に関わる契約
  (1)運送に関わる形態と契約
  (2)定期傭船契約
  (3)船舶管理契約
 1.3.4 LNG船の管理形態
  (1)船主
  (2)船舶管理者
  (3)傭船者
 1.3.5 LNG基地
  (1)積地基地
  (2)揚地基地
 1.3.6 オイルメジャー対応
  (1)OCIMF SIRE
  (2)OCIMF TMSA

第2章 LNG船の運航
2-1 運航概要
 2.1.1 航海
  (1)積荷航海
  (2)空荷航海
 2.1.2 荷役
  (1)積荷
  (2)揚荷
 2.1.3 貨物管理
 2.1.4 機関管理
  (1)LNG船の主機関の型式
  (2)LNG船のタービンプラント管理
2-2 就航準備
 2.2.1 艤装員業務
  (1)派遣スキーム
  (2)派遣時期
  (3)業務内容
 2.2.2 海上試運転およびガステスト
  (1)海上試運転
  (2)ガステスト
 2.2.3 就航および引渡し準備
  (1)必要証書
  (2)旗国審査
  (3)ISMコード、ISPSコードおよびMLC初期審査準備
  (4)船用品の積込み
  (5)予備部品の受領
  (6)燃料油の積込み
  (7)潤滑油の積込み
  (8)食糧の積込み
2-3 LNG船の運航サイクルと貨物の取扱い
 2.3.1 運航サイクル
 2.3.2 バラスト(空荷)航海
  (1)積荷開始条件
  (2)ヒール
  (3)タンククールダウン作業
  (4)航海中のBOGの有効利用
  (5)その他入港準備
 2.3.3 積荷作業
  (1)着桟後の積荷準備作業
  (2)前尺
  (3)アームクールダウン
  (4)積荷
  (5)レートアップ
  (6)定常荷役
  (7)レートダウン
  (8)積切り
  (9)荷役後手仕舞い
  (10)後尺
  (11)荷役後ミーティング
 2.3.4 積荷航海
  (1)液温管理
  (2)揚地入港前準備作業
  (3)ラインクールダウン
 2.3.5 揚荷作業
  (1)着桟後の積荷準備作業
  (2)前尺
  (3)アームクールダウン
  (4)揚荷
  (5)レートアップ
  (6)定常荷役
  (7)レートダウン
  (8)揚切り
  (9)荷役後手仕舞い
  (10)後尺
  (11)荷役後ミーティング
 2.3.6 メンブレン船における荷役オペレーション
  (1)タンククールダウン作業
  (2)コファダムのヒーティング
  (3)タンク防熱部へのN2供給
  (4)入渠前の揚切り作業
 2.3.7 入渠前作業
  (1)ストリッピング
  (2)ウォーミング
  (3)イナーティング
  (4)エアレーティング
  (5)ガス検査
 2.3.8 出渠後作業
  (1)ドライング
  (2)イナーティング
  (3)パージング
  (4)クールダウン
2-4 特殊作業(緊急対応作業)
 2.4.1 ワンタンクガスフリー
 2.4.2 圧力揚荷
 2.4.3 非常用カーゴポンプ設置
 2.4.4 船舶間移送
 2.4.5 LNGの非常排出
2-5 入渠工事
 2.5.1 入渠準備
  (1)メンテナンス・マニュアルと工事内容
  (2)修繕注文書作成
  (3)入渠準備
  (4)入渠中の安全対策
  (5)入渠工事に関する注意事項
  (6)海外の造船所の入渠
 2.5.2 入渠地選定
  (1)入渠仕様書の作成
  (2)入渠工事見積り依頼
  (3)船主手配工事及び部品の見積り依頼
  (4)造船所の選定
 2.5.3 工事実施計画
  (1)工事計画の策定
  (2)本船との最終確認
 2.5.4 入渠工事内容
  (1)工程表
  (2)入渠工事の流れ
 2.5.5 検査及び関係規則
  (1)証書の種類
  (2)検査の種類と時期
  (3)税関検査について
 2.5.6 出渠
  (1)工程管理
  (2)最終船底検査
  (3)ドライドックへの漲水
  (4)プラントアップ開始
  (5)主機係留運転・海上運転

第3章 LNG船の安全管理と要員
3-1 安全管理
 3.1.1 船舶管理とISMコード
  (1)ISO9000シリーズ
  (2)海運業界の動き
  (3)ISMコードの採択
  (4)ISMコード
  (5)SMSマニュアル
  (6)管理会社の組織例
  (7)会社監督の役割
  (8)リスクアセスメント
 3.1.2 船舶保安とISPSコード
  (1)ISPSコード新設
  (2)日本の動き
  (3)船舶・港湾施設の対応
  (4)海運会社の対応
 3.1.3 荷役作業における安全管理
  (1)荷役諸規定
  (2)船陸間のインターフェイス
  (3)係留力計算
  (4)CCR-TM
 3.1.4 航海における安全管理
  (1)電子海図情報表示装置
  (2)航海計画
  (3)航海当直
  (4)特殊航海
  (5)操練
 3.1.5 LNG船の地震・津波対策
3-2 要員の育成
 3.2.1 LNG船要員
  (1)世界のLNG船要員
  (2)LNG船要員のグローバル化
  (3)クルーマトリックス
 3.2.2 教育訓練
  (1)操船シミュレーターによる訓練
  (2)荷役シミュレーター訓練
  (3)LNG船タービンプラント研修
  (4)基本教育習熟訓練
  (5)海上防災センターでの消火訓練
 3.2.3 海上労働条約
3-3 LNG船と海難
 3.3.1 LNG船の海難事故
 3.3.2 LNGの流出特性
  (1)陸上での流出
  (2)海上への流出
  (3)ガスの拡散
  (4)燃焼(火災)
 3.3.3 Sandia Report  
  (1)Sandia reportとは
  (2)目的と評価
  (3)安全性分析
  (4)LNG貨物タンク損傷分析
  (5)LNG漏洩と燃焼・拡散に関する分析
  (6)リスクマネジメント・ガイドライン
  (7)安全分析の結論

第4章 LNG船の今後 4-1 LNGマーケット
 4.1.1 LNGの需給バランス
 4.1.2 LNG基地の今後
  (1)LNG液化基地
  (2)LNG受入基地
  (3)洋上施設
  (4)1トレーンあたりの生産能力の拡大
 4.1.3 新造LNG船の急増
4-2 ビジネス形態
 4.2.1 LNG取引の変化
 4.2.2 LNG船の運用形態の変化
 4.2.3 我が国における輸送契約とユーティリティ企業(電力、ガス会社)
 4.2.4 我が国の大手3船会社のLNG事業計画
4-3 LNG船の今後
 4.3.1 LNG船の今後の推進機関
  (1)DFD機関
  (2)ディーゼル機関+再液化装置
  (3)ガスタービン
  (4)高効率蒸気タービン
  (5)再熱サイクル蒸気タービン(リヒートタービン)
  (6)低速ガス焚きディーゼル期間(ME-GI)
  (7)蒸気タービンとガス機関の併用(STaGE)
 4.3.2 LNG船の今後の貨物格納システム
  (1)モス球形ストレッチタンクシステム
  (2)KOGASシステム
 4.3.3 LNG船の氷海対応
  (1)耐氷構造
  (2)寒冷地仕様
 4.3.4 LNG船のこれから

第5章 LNG燃料船
5-1 LNG燃料船の出現
 5.1.1 環境問題
 5.1.2 LNG燃料船の就航
5-2 LNG燃料船の現状
 5.2.1 北欧エリアの現状
 5.2.2 国内の現状
  (1)我が国の取り組み
  (2)我が国のLNG燃料船
5-3 LNG燃料船普及とその課題
 5.3.1 LNG燃料船のルール整備
  (1)世界の動向
  (2)国内の動向
 5.3.2 LNG供給インフラ
  (1)LNG供給港の整備
  (2)LNG燃料船へのLNG供給(バンカリング)
 5.3.3 LNGバンカリング方式の概要と緊急対応
  (1)Truck to Ship方式LNGバンカリング
  (2)Shore to Ship方式LNGバンカリング
  (3)Ship to Ship方式LNGバンカリング
  (4)LNGバンカリング中の緊急時対応とカプリング
  (5)まとめ

(海事図書)


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