魚のウロコのはなし ベルソーブックス027


978-4-425-85261-1
著者名:吉冨友恭 著
ISBN:978-4-425-85261-1
発行年月日:2007/4/8
サイズ/頁数:四六判 146頁
在庫状況:品切れ
価格¥1,760円(税込)
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ウロコを調べる!食べる!利用する!薄いウロコだって、奥が深い。一読すれば思わず目から鱗の、
今までにない「ウロコの専門書」がついに完成!

【はじめに】より
「鱗」と聞くと、みなさんは何を想像するだろう。魚の料理で鱗を取るのに苦労したこと、魚を食べて歯の隙間に鱗が挟まったこと、他にも、鯉のぼりの模様を思い浮かべる人もいるのでは・・・。筆者には魚屋の大きなまな板や床についた鱗が洗い流されていく光景が目に浮かぶ。幼少の頃に親しんだ大阪の黒門市場で毎日のように見ていたせいかもしれない。
鱗は多くの人にとって身近なもののはず。水産大国であるわが国は、魚介類の生産高は世界に冠たる国だ。実はこの数字は食べない部分についても意味していて、鱗も大量に陸へと上がってきている。つまり、私たちは普段の生活で、無意識のうちに鱗を目にする多くの機会に触れているというわけだ。
人と魚との関わり合いはずいぶん古くからあり、古代エジプトの壁画にも描かれている。海の近くはもちろん内陸部にも川や湖があり、人と水辺との関わりは深く、当然そこに棲む魚との馴染みも深くなる。したがって、魚のことを書いた本は世界中にたくさん存在する。しかし、その多くは魚の食べる部分に注目したものだ。
鱗を知らない人はいないだろう。鱗(scale)は難しい最先端の科学技術用語と違って、子供からお年寄りまで、また、世界中のみんながその存在を知っている。それにもかかわらず、鱗と名のつく本を検索しても、そのほとんどは「目から鱗の・・・」というタイトルの飾りに使われているもので、鱗のみに焦点を当てた本はほぼ存在しない。魚類学の専門書に至っても、紹介されていてせいぜい2,3ページだ。
魚類の歴史が私たち人類に比べてはるかに長いのと同様、鱗の歴史も長く、鱗一つとりあげるだけでも様々なエピソードがある。本書では鱗に関する科学的な内容にとどまらず、鱗にまつわる日常的な話題についてもとりあげていきたい。鱗を様々な側面から見ていきながら、鱗が私たちに語りかけてくるメッセージを体系立てて聞いていくことにしたいと思う。
普段邪魔もの扱いされることの多い鱗に、実に多くの物語が隠されている。薄っぺらいたった一枚の鱗からも不思議な世界が広がっていく。鱗は私たちの知らない様々な情報を提供してくれる上、私たちの日常生活の中の思わぬところで役立っていたりもする。まさに「目から鱗」だ。そんな話題を楽しみながら、ぜひみなさんにも鱗の面白さを再発見していただければと思う。

2007年3月
吉冨 友恭

【目次】
第1章 鱗ってどんなもの?
 1-1 鱗とは?
 1-2 魚類の鱗
 1-3 魚類以外の動物の鱗
 1-4 鱗の起源

第2章 鱗のかたち
 2-1 大きな鱗,小さな鱗
 2-2 鱗の構造
 2-3 鱗の並び方

第3章 鱗の役割
 3-1 魚のヨロイ
 3-2 鱗は再生する
 3-3 ミネラルの貯蔵庫
 3-4 魚の色と鱗の色素胞
 3-5 側 線

第4章 鱗の言葉と逸話
 4-1 鱗を使った言葉
 4-2 鱗にまつわる話

第5章 鱗をはがす,鱗でつくる
 5-1 鱗を引く
 5-2 鱗を材料にしてつくる
  コラム ウロコ紀行1:大量のウロコを製品化
  コラム ウロコ紀行2:ウロコで枯れ木に花を咲かせる

第6章 鱗のイメージとデザイン
 6-1 鱗のイメージとデザイン
 6-2 競泳界に進出した鱗
  コラム ウロコ紀行3:うろこの家

第7章 鱗を研究する
 7-1 代表的な鱗の研究
 7-2 様々に広がる研究テーマ
  コラム ウロコ紀行4:魚鱗研究所
  コラム ウロコ紀行5:ウロコにつく寄生虫から生物のつながりを探る

第8章 鱗を見に行こう
 8-1 鱗の展示見聞
 8-2 鱗の学習プログラム
  コラム ウロコ紀行6:ウロコのついた着ぐるみ教材
  コラム ウロコ紀行7:しながわ水族館・ウロコ展


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