海の衛星リモートセンシング入門


978-4-425-53201-8
著者名:笹川平和財団 海洋政策研究所 編
ISBN:978-4-425-53201-8
発行年月日:2024/3/28
サイズ/頁数:B5判 144頁
在庫状況:在庫有り
価格¥3,300円(税込)
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本書は、海洋の課題を軸にその可視化に資するリモートセンシング技術を解説しています。将来海洋のリモートセンシングを担う大学生や、海洋に関する行政業務を担う担当者や研究者などにむけて、海洋のリモートセンシングの現状と将来像について伝えることを目的としています。

【まえがき】
近年、海洋温暖化の進行、激甚災害の増加、海洋汚染の拡大、水産資源の枯渇、生物多様性の減少など、海洋環境に関する課題が山積しています。これらの課題解決の第一歩は、観測すべき対象の直接的な可視化を行うことです。
地球表面の約7 割を占める海洋の可視化は観測船やブイなどによる方法では限界があり、広域を面的に測定できるリモートセンシング技術が古くから利用されてきました。日本において開発された最近の衛星だけをとっても、GCOM(Global Change Observation Mission)のGCOM-W(Water)やGCOM-C(Climate)に代表される水循環、海象、海色、氷雪などを観測できる優れたセンサーが次々と打ち上げられています。
ただし、このような海洋観測に特化した衛星プラットフォームやセンサーの現状および問題点は、意外と知られていません。実際、海洋リモートセンシング衛星やその精度、あるいは活用法を網羅的に説明したウェブサイトですら見つからないのが現状でした。
さらに、このような衛星プラットフォームやセンサーの存在および特性を理解したとしても、海洋を理解し課題を解決するための使いやすい衛星データが整備されているわけではありません。そこで、長期にわたる変化を明らかにするために、複数の種類の衛星データを組み合わせた新たなデータセットやデータベース、ソフトウェアの現状についてまとめ、将来的に日本として独自に利用しやすいデータセットやデータベースも開発していく必要があります。
このような背景のもと、2020年度と2021年度に笹川平和財団は、日本リモートセンシング学会に対して、「人工衛星を利用した海洋の可視化の推進に向けた調査」および「人工衛星を利用した海洋データ活用のための事例整理と提言に向けた調査」を委託しました。これらの成果は、すでに同財団のホームページで公開されており、リモートセンシングを学ぶ大学生を中心に好評を得たと聞いています。
本書は、海洋の課題を軸にその可視化に資するリモートセンシング技術を解説しています。将来海洋のリモートセンシングを担う大学生や、海洋に関する行政業務を担う担当者や研究者などにむけて、海洋のリモートセンシングの現状と将来像について伝えることを目的としました。本書が、海洋リモートセンシングという技術を用いて海の課題を解決する人材の育成に少しでも役立てば幸いです。

2024年2月
編集者代表
笹川平和財団 海洋政策研究所
海洋政策研究部 部長 赤松 友成

【目次】
序章 衛星リモートセンシングの概要
 1 リモートセンシングとは
 2 衛星データ利用が期待される海の分野と課題カテゴリー

第1章 海の衛星リモートセンシングと環境  1-1 海洋温暖化
 (1)海面水温
 (2)海面高度
 (3)海氷面積
 1-2 富栄養化
 (1)赤潮
 (2)青潮
 1-3 生物多様性の保全
 1-4 海洋プラスチック

第2章 海の衛星リモートセンシングと水産  2-1 水産リモートセンシングの歴史
 2-2 水産資源管理の拡充・強化
 2-3 違法・無報告・無規制(IUU)漁業
 2-4 養殖業・沿岸漁業

第3章 海の衛星リモートセンシングと資源・エネルギー  3-1 海洋油汚染
 3-2 自然エネルギー 
 3-3 海洋エネルギー資源開発に関する環境アセスメント

第4章 海の衛星リモートセンシングと災害・国土管理  4-1 風水害
 4-2 海岸侵食
 4-3 津波・高潮
 4-4 海底火山活動

第5章 海の衛星リモートセンシングセンサー  5-1 海を観測する衛星の種類
 (1)高度によるリモートセンシングの種類
 (2)軌道によるリモートセンシングの種類
 (3)波長帯によるリモートセンシングの種類
 5-2 海を観測する衛星センサー
 (1)水温を測るセンサー
 (2)海色を測るセンサー
 (3)海氷を測るセンサー
 (4)海上風を測るセンサー
 (5)海面塩分を測るセンサー
 (6)海面高度を測るセンサー
 5-3 海の時空間スケールと衛星センサーの関係
 (1)時空間解像度
 (2)海洋物理量精度

第6章 海洋政策と海の衛星リモートセンシング  6-1 海洋環境保全と水産分野への応用
 (1)米国
 (2)欧州
 (3)日本
 6-2 海洋状況把握(MDA)
 (1)米国
 (2)欧州
 (3)日本
 6-3 今後の展望

第7章 衛星データの入手  7-1 海色・水温データの入手サイト
 (1)JASMES
 (2)G-Portal
 (3)Ocean Color Web
 (4)その他
 7-2 海上気象・海象・海氷データの入手サイト
 (1)JAXA ひまわりモニタ
 (2)海象を知るための衛星データサイト
 (3)海氷を知るための衛星データサイト
 7-3 SAR データの入手サイト
 7-4 その他の閲覧サイト
  ■コラム① 衛星データのレベルとは?

第8章 衛星データの処理  8-1 衛星データ解析ソフトウェア
 (1)SeaDAS
 (2)SNAP
 8-2 GIS ソフトウェア
 (1)QGIS
 (2)Web GIS
 8-3 汎用プログラミング言語
 (1)Python
 (2)Octave
 8-4 衛星データプラットフォーム
 (1)Google Earth Engine
 (2)Tellus
  ■コラム② 有料ソフトウェアの実態

第9章 衛星データ検証のための現地データ取得法  9-1 AERONET-OC
 9-2 SeaBASS
 9-3 NOAA ブイ/アルゴフロート
 9-4 Global Fishing Watch
 9-5 海の衛星データ検証のための現地調査事例
 (1)海における分光反射率調査法
 (2)海における分光反射率と水質の比較法

終章 今後の課題・展望―あとがきにかえて


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カテゴリー:気象・海洋 
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