海洋法と船舶の通航(増補2訂版)


978-4-425-26161-1
著者名:兼原敦子 監修/公益財団法人 日本海事センター 編
ISBN:978-4-425-26161-1
発行年月日:2023/10/28
サイズ/頁数:A5判 312頁
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価格¥3,520円(税込)
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国連海洋法条約諸規定のうち、船舶の通航に関する規定を海域の区分ごとに解説した唯一の書。海賊、環境、EEZ、便宜置籍船等、近年注目の事項も多く取り入れ、歴史的経緯から最新事情までを網羅。

【はしがき】 日本海事センターは,日本海事財団と財団法人日本海運振興会の両法人を統合して2007年4月に発足。2011年4月に「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」に基づく公益財団法人への移行に伴い,名称が公益財団法人日本海事センターとなった。当センターは,海洋国家たるわが国の発展に貢献するため,海事関係の各種調査研究・政策提言,海事図書館の運営,海事関係公益事業の支援を3つの核として活動している。
海事関係の政策や制度は,海運が本来的に国際的な産業であることから,その多くが,国際条約や国際機関・国際会議の決議などを基礎として,又はその影響の下に成り立っており,経済のグローバル化が進む今日では,その傾向がより顕著である。したがって,国際社会の動向や,国際社会において形成される国際法,とりわけ国連海洋法条約を中心とした海洋法に関する動きを適確に把握し,わが国の海事社会・産業界に周知していくことが不可欠である。
当センターの前身の1つである財団法人日本海運振興会は,「国際海運問題研究会」を設け,同研究会の第2作業部会は,1973年から国際連合総会の下で開催された第3次国連海洋法会議における国連海洋法条約の作成のための審議状況を調査し,研究した。同研究会は,1982年に「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」が採択されたのを機に,その解説書として,1993年11月に『新しい海洋法―船舶通航制度の解説―』(成山堂書店)を刊行し,好評を博した。その後,時代の変化や海運業界を取り巻く環境の変化に合わせて,1998年2月にはその改訂増補版を発刊し,2002年4月にはその全面改訂版となる『海洋法と船舶の通航』(成山堂書店)を刊行し,海事社会の多方面からご支持をいただいてきた。
『海洋法と船舶の通航』の発刊から約8年が経過し,その間,「海洋法」や「船舶の通航」に係る諸条約などについて多くの注目すべき重要な動きがあったことから,当センターは,財団法人日本海運振興会の業績を受け継ぐべく,『海洋法と船舶の通航』を改訂する重責を引き受けることとした。この2010年の改訂にあたっては,前回の改訂の際と同様に編集委員会を設置し,新たな動向を反映すべく加筆修正のための検討を行った。編集委員会の委員長は,海洋法の権威である栗林忠男慶應義塾大学名誉教授に,初版以来引き続いてお引き受けいただき,本書の監修者として並々ならぬご尽力を賜った。なお,栗林名誉教授は2019年に逝去された。謹んでご冥福をお祈りする。
2010年改訂からさらに12年が経過し,船舶の通航をめぐる国際秩序の発展や多くの国際実践の集積ならびにわが国の海洋政策の発展を受けて,本書の再改訂を行い,「増補2訂版」の刊行を行うことにした。「増補2訂版」刊行にあたっては,兼原敦子上智大学教授を監修者とし,本書の編集方針は原則として維持し,本書の構成は国連海洋法条約のそれに原則として従いながら,船舶の通航に焦点を当てて改訂作業を行った。また,内閣府総合海洋政策推進事務局,国土交通省,海上保安庁の関係省庁の方々からは,海洋法に関連する最新の動向につきご教示いただきつつ,資料,データをご提供いただくなど,多大なご貢献をいただいた上,一部の方には委員としてご参画いただき,一部ご執筆いただいている。加えて,大手邦船社,一般社団法人日本船主協会の方々には,委員として,資料提供や改訂作業に有益となる助言などのご協力をいただいた。なお,「増補2訂版」刊行にあたっては,当センターの中村秀之上席研究員と北島佑樹専門調査員が改訂箇所の一部執筆,資料収集,校正など多くの作業を行った。
本書が,これまでのように,航海実務に携わる船長,船員の方々をはじめ海運界の関係者各位にとって役立つばかりでなく,海洋法に関心を持つ研究者や学生,さらには一般の方々にも広く利用されることがあれば,私達の喜びこれに過ぎるものはない。最後に,本書を故栗林名誉教授に捧げるとともに,本書の刊行にご助力をいただいた㈱成山堂書店の小川典子会長及び同編集チームに深甚なる謝意を表する次第である。

2023年8月
公益財団法人日本海事センター
会長 宿利正史

【目次】
第1章 新海洋法秩序への道程
 1 広い公海・狭い領海:伝統的海洋秩序
 2 沿岸国の管轄権拡大
 3 第次・第次国連海洋法会議
 4 新海洋法秩序への潮流
 5 第次国連海洋法会議
 6 国連海洋法条約の採択と発効
 7 国連海洋法条約のもとでの海洋秩序の発展
 8 海洋基本法の制定と海洋基本計画の策定

第2章 船舶  1 「船舶」の定義と種類
 2 船舶の国籍と便宜置籍
 3 軍艦の法的地位
 4 政府船舶の法的地位

第3章 領海及び接続水域  1 領海の歴史
 2 領海の法的地位
 3 領海の幅
 4 基線
 5 領海における船舶の通航
 6 領海内における裁判権
 7 接続水域

第4章 内水  1 内水の歴史
 2 内水の法的地位
 3 内水における外国船舶の航行
 4 内水における裁判権

第5章 国際海峡  1 国際海峡の歴史
 2 国際海峡の法的地位
 3 国際海峡における外国船舶の航行
 4 海峡利用国及び海峡沿岸国の協力義務

第6章 群島水域  1 群島理論の歴史
 2 群島水域の法的地位
 3 群島水域における外国船舶の航行

第7章 排他的経済水域  1 200カイリ排他的経済水域(EEZ)の歴史
 2 EEZの法的地位

第8章 大陸棚  1 大陸棚の歴史
 2 大陸棚の法的地位
 3 境界画定
 4 大陸棚の延長
 5 深海底

第9章 公海  1 公海の歴史
 2 公海の法的地位
 3 公海における航行
 4 公海における外国船舶への執行措置
 5 追跡権
 6 国家管轄権外区域における海洋生物多様性

第10章 海洋環境の保護・保全―船舶起因汚染との関連において―  1 「海洋汚染」とは
 2 海洋汚染に関連する個別・具体的な規範
 3 国連海洋法条約における海洋汚染の規制
 4 船舶起因汚染に関する規制の構造
 5 船舶起因汚染の防止に関する今後の課題

第11章 海洋紛争解決  1 海洋紛争の解決
 2 わが国をめぐる裁判実践

第12章 わが国をめぐる近年の動向  1 尖閣諸島周辺海域
 2 外国公船及び外国軍艦の有害な通航に対する措置
 3 海洋の科学的調査
 4 海洋境界未画定海域における資源利用

(資料)  1 海洋法に関する国際連合条約
 2 海港ノ国際制度ニ関スル条約及規程
 3 海峡制度ニ関スル条約
 4 スエズ運河に関する条約
 5 パナマ運河関連条約
 6 船舶登録要件に関する国際連合条約
 7 領海及び接続水域に関する法律
 8 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律
 9 海洋基本法
 10 海洋基本計画の概要
 11 国連海洋法条約の締結状況(時系列)
 12 世界各国(地域)の海域幅員及び国連海洋法条約の締結状況一覧


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カテゴリー:法令 
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