新訂 舶用ディーゼル機関教範


978-4-425-62020-3
著者名:岡田博・塚本達郎、佐々木秀次・津田稔・西尾澄人・仁木洋一 共著
ISBN:978-4-425-62020-3
発行年月日:2023/10/18
サイズ/頁数:A5判  432頁
在庫状況:在庫有り
価格¥4,950円(税込)
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船舶用内燃機関の進歩発達は実にめざましく、文字通り日進月歩の発展を見ており、性能の優れた動力源となっていますが、内燃機関は故障を生ずることが比較的多いといわれています。その原因が材料、工作の欠陥によることもありますが、使用上の不適によることも少なくありません。特に中・小型機関を載せる船舶では、故障はその用途上海難につながりますから、機関を取り扱う者としては内燃機関の本質をよく理解して用法に万全を期することが大切です。
本書は、内燃機関の基礎概念,燃料,潤滑油,性能,各部の詳細,軸系,補機,取扱い,故障の原因及び処置等中小型ディーゼルのすべてを解説した専門書です。難しくなりがちな内容を、挿絵などを用いてわかりやすく説明しています。
舶用ディーゼル機関を扱う方々の実務参考書として、また学校・講習会の教科参考書、さらに海技国家試験の受験参考書として、最適の1冊です。

【まえがき】より 1897年に、Rudolf Diesel(ドイツ)博士によって、開発・実用化されたディーゼル機関は交通機関の原動機として、社会及び産業界の急速な発展に貢献してきた。
海上輸送の分野においても、大出力・高効率機関としての存在は極めて大きい。しかし、今世紀になって、世界各地で異常気象が頻発し、気候変動、地球温暖化に対する危機感が急速にたかまり、その対応が人類にとって最重要課題となっている。そこで、我々は、産業革命以降に消費した、石油系燃料の燃焼に伴う有害汚染物質による地球環境破壊・汚染の機構を解明するするとともに、近い将来のエネルギー事情を考慮して、低炭素社会の構築に向けての的確な対応と適応及び人々の行動を促す仕組み作りが急務である。
本書は、1958 年「舶用内燃機関教範」(著者 故長谷川静音先生)として、初版では、ディーゼル機関や焼玉機関を装備する船舶に乗り組む機関士として心得ておくべき事項を解説し、その後一部改訂を加えていたが、初版以来20版を重ね、ディーゼル機関の急速な進歩による各部の改造・改善と規格の改定に合わせて、特に舶用ディーゼル機関の現状と環境対応技術及び製造技術並びに将来のエネルギー事情と舶用燃料油の予測に関する節を新しく設けて、舶用ディーゼル機関の在り方を解説した。
もちろん、原著のご意志を尊重し、内容もつとめて平易に解説し、理解しやすいように多くの挿図と写真を入れるとともに、覚えやすいように説明は極力箇条書きにして記述したもので、舶用ディーゼル機関を取り扱う方々の実務参考書として、学校・講習会の教科書・参考書ともなるように配慮し、さらに海技国家試験の受験参考書ともなるように記述したものである。
本書では、舶用ディーゼル機関の基礎をよく理解することを目的に、その内容は基礎的な解説に主眼をおいた。さらに応用的な思考力を養うように努めてもらえば幸いである。
本書の執筆にあたっては、内外の多くの著書や文献を参考にした。つとめて出典を明記したが、他にも参考にさせて頂いたものが多数あり、これらの著者の方々に深く謝意を表す。また、本書の出版においてお世話になりました成山堂書店の方々に厚くお礼申し上げる。

2023年9月
著者

【目次】
第1章 機関術の物理学概要
 第1節 基本単位
 第2節 力と運動
 第3節 物体の性質
 第4節 熱

第2章 ディーゼル機関概要  第1節 熱機関
 第2節 ディーゼル機関の型式
 第3節 4サイクル機関と2サイクル機関

第3章 燃料油および潤滑油  第1節 燃料油および潤滑油に使用する術語
 第2節 内燃機関に使用する燃料油
 第3節 ディーゼル機関の燃料油の性質
 第4節 燃料油の選定および管理
 第5節 潤滑油の潤滑作用
 第6節 内燃機関に使用する潤滑油
 第7節 潤滑油の性質
 第8節 潤滑油の選定および管理
 第9節 潤滑油の変質あるいは老化
 第10節 グリース

第4章 内燃機関の熱力学概要  第1節 気体の体積、圧力、温度の変化
 第2節 ガスの膨張および圧縮
 第3節 内燃機関の基本熱サイクル

第5章 内燃機関の性能  第1節 図示出力および軸出力
 第2節 平均有効圧
 第3節 効率および熱勘定
 第4節 各効率を高める条件
 第5節 4サイクル機関の体積効率と充てん効率
 第6節 2サイクル機関の掃気効率と吸気効率
 第7節 過剰空気
 第8節 圧縮比および圧縮圧、温度
 第9節 燃料消費量
 第10節 機関の性能曲線

第6章 往復運動の機構および振動  第1節 往復運動部の惰力の合成
 第2節 クランクの回転力および線図
 第3節 ピストンの側圧
 第4節 機関の振動およびつりあい
 第5節 ねじり振動

第7章 燃焼室および燃焼  第1節 燃焼室の作用および燃焼
 第2節 燃焼室の種類
 第3節 燃料油の噴射
 第4節 燃料油の噴射遅れおよび着火遅れ
 第5節 内燃機関のノック
 第6節 ディーゼル機関の各負荷における燃焼

第8章 インジケータ線図および弁調整線図  第1節 インジケータ
 第2節 インジケータ線図
 第3節 インジケータ線図採取装置
 第4節 インジケータ線図の示す性質
 第5節 弁調整線図

第9章 ディーゼル機関の主体部  第1節 シリンダ
 第2節 シリンダヘッド
 第3節 台板およびクランク室

第10章 ディーゼル機関の往復運動部  第1節 ピストン
 第2節 ピストンピンおよびピストンピンメタル
 第3節 ピストンリング
 第4節 油かきリング
 第5節 連接棒

第11章 ディーゼル機関の回転部  第1節 クランク軸
 第2節 つりあいおもり
 第3節 はずみ車
 第4節 主軸受
 第5節 クランクピン軸受
 第6節 連接棒ボルト

第12章 ディーゼル機関の弁連動装置  第1節 カム軸駆動装置
 第2節 カムおよびカム軸
 第3節 弁連動装置
 第4節 吸排気弁開閉装置

第13章 ディーゼル機関の吸排気装置  第1節 吸気弁および排気弁
 第2節 シリンダ掃気方法
 第3節 吸気管
 第4節 排気マニホルド
 第5節 排気消音器
 第6節 過給機

第14章 ディーゼル機関の燃料油装置  第1節 ディーゼル機関の燃料噴射ポンプ
 第2節 ディーゼル機関の燃料噴射弁
 第3節 燃料油こし
 第4節 燃料油管
 第5節 調速機

第15章 ディーゼル機関の空気、潤滑油、冷却水装置  第1節 始動装置および始動弁
 第2節 充気弁
 第3節 始動空気タンク
 第4節 潤滑油装置および潤滑油ポンプ
 第5節 潤滑油こし
 第6節 潤滑油冷却器
 第7節 冷却水装置および冷却水ポンプ
 第8節 ビルジポンプ
 第9節 始動用空気圧縮機

第16章 舶用ディーゼル機関の主軸連動装置  第1節 舶用内燃機関の逆転方法
 第2節 クラッチ
 第3節 減速装置
 第4節 間接逆転装置の種類
 第5節 かさ歯車を使用する逆転機
 第6節 直接逆転装置

第17章 舶用ディーゼル機関の軸系装置  第1節 スラスト軸およびスラスト軸受
 第2節 中間軸および中間軸受
 第3節 プロペラ軸および船尾管
 第4節 プロペラ
 第5節 可変ピッチプロペラ装置

第18章 舶用ディーゼル機関のすえ付けおよび整備  第1節 プロペラ軸系の中心線合せ
 第2節 船のぎ装
 第3節 機関の整備
 第4節 船の運航
 第5節 海難事故防止

第19章 舶用ディーゼル機関運転取扱い法および故障の処置  第1節 4サイクルディーゼル機関の運転取扱い法
 第2節 ディーゼル機関の故障とその原因、処置

第20章 ディーゼル機関の金属材料  第1節 応力とひずみ
 第2節 金属材料の性質
 第3節 ディーゼル機関に使用する金属材料
 第4節 鉄鋼の熱処理

(海事図書)


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カテゴリー:船舶(航海・機関・運用) 
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