海なお深くー徴用された船員の悲劇ー【下巻】


978-4-425-30402-8
著者名:全日本海員組合 編/全日本海員福祉センター 発行
ISBN:978-4-425-30402-8
発行年月日:2017/7/20
サイズ/頁数:A5判 448頁
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価格¥2,970円(税込)
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太平洋戦争時に徴用された船員たちの悲惨な体験を「手記」にしてまとめた内容です。実際に戦火を潜り抜け生還された方、生還を願っても叶わなかった戦争犠牲者の遺族によって書かれています。

【海員不戦の誓い】より れわれ船員の諸先輩は太平洋戦争で民間船舶とともに軍事徴用され、物資輸送、兵員輸送の任務に従事しました。その結果、1万9千人余の14歳から19歳の少年船員を含む6万人余の尊い命が奪われました。この船員の損耗率は、海軍や陸軍の比率をはるかに上回るもので、当時の徴用された船員のおかれた状況の苛烈さは計り知れません。
この体験記には、実際に戦火を潜り抜け生還された方、生還を願っても叶わなかった戦争犠牲者の遺族や戦火の体験者により、いまなお海中に眠る6万人余の旧友の霊への思いや慰め、そして、戦火の海での実体験などが語られ、海上の平和が願われています。
皆さまには、この体験記を通して、戦争の悲惨さや凄惨さを知っていただき、平和な世界がいかに尊いものであり、かけがえのないものであるかを再認識いただければと思います。
われわれ船員は、この大戦の悲惨な体験や悲劇を決して忘れてはなりません。
全日本海員組合は、今後とも「海員不戦の誓い」を全うし「世界の平和」と「平和な海」を希求してまいります。
戦後70年余を経過した今だからこそ、是非とも本書をお読み頂き、皆様と共に海員不戦の決意を新たにしたいと思います。

2017年7月
全日本海員組合組合長森田保己

【目次】
第一章 戦時体制へのうねり昭和12年〜16年/日中戦争下の徴用船舶
 揚子江のトロール掃海隊 川崎正市
 日中戦争下の御用船 古井乙一
 揚子江の補給船 山中恒俊
 開戦前夜の機雷敷設船(聞き書き)福島登

第二章 船舶総動員の補給路で昭和16年〜18年/奇襲開戦のもたらした辛酸  開戦当初の兵員輸送 井田七郎
 西部ジャワ上陸作戦 田口猶高
 機帆船メシ炊き遭難記 田井一晴
 ソロモン海の食糧補給船 峯永峯雄
 遺稿機関長の従軍航海記 松井鏃四郎
 敗色深まる戦場の海で 開発愛雄
 わが無線室戦闘記 土江康隆
 ぶらじる丸漂流日記 瓜田収治・桜井繁
 ガ島への突撃高速船団 金子芳治
 幾たびか死地を脱して 大川七郎
 軍人の堕落を横目に 森谷徹雄
 敗退海域での戦場往来 山本繁夫
 日台定期客船・大和丸の最期 佐藤優三
 裸で漂流した冬の海 志村孝義
 最前線のラバウル周辺航路 菅野銀一
 敵潜水艦浮上す 山田知夫
 筏にすがって歌う軍歌 西村二三男
 若くして逝った兄を想う川下明

第三章 潰滅への怒濤昭和19年〜20年/帝国海軍の末期の海で  雷跡三本!夕陽方向より 冨田清明
 海上トラック、ラバウルで戦う 山本健次
 海と花とー弟・村山三郎の遺書 村山誠一
 戦火の航跡ー開戦から復員輸送までの海 長田武士
 命からがらの帰国 大田宗次
 戦没の友に捧ぐ 土江江流
 台湾航路の悲劇 田村淳一
 私を残して沈んだ船たち 中平勝治
 移民ドイツ人と同期生の死 福永義
 身代わりに死んだ戦友よ 田畑静嘉
 姉妹船の同時沈没 磯貝喜七郎
 まだ終わらない私の戦争 鳥越隆士
 対馬丸の遭難者を救助して 奥田一雄
 戦争と運命 免取英雄
 裸足の遭難者 紀純成
 北の海に駆逐艦も僚船も消えて 中村岩雄
 積荷の焼夷弾、暴発 小杉茂
 改E型・第三松邦丸の生還 竹中義政
 帝北丸の練習日誌 川村欣治
 隆亜丸ただ一人の生き残り 石井次男

第四章 特攻輸送の生と死昭和20年〜敗戦/“水漬く屍”の船友に代って  墓標のない墓場に 豊増隆一
 最後の油輸送特攻船団 鳴瀬孝信
 「海上特攻隊」指令のもとで 田先六郎
 擱座してなお戦った雄洋丸 吉田幸繁
 海上トラック第二日航 丸住田貢
 播磨灘の惨劇 今村畝夫
 乗船旅行中の遭難記 杉本昭二
 触雷 大島貞雄
 輸送任務を果たす間もなく 高橋二三雄
 敗戦の前と後 佐藤昇
 船上の生と死 宮崎一正
 終戦前夜のわが八八艦隊 伏見貞男
 玄界難の機雷被災第一号 安松勘一

第五章 兵士たちの見た戦火の海護衛艦・関連部隊からの証言  徴用漁船、哨戒線の戦い 山崎哲郎
 御用船のわが船上体験 渡辺重忠
 太平洋戦争の「敵艦見ゆ!」=ドーリットル空襲と徴用漁船・第二十三日東丸の活躍 徳丸達男
 黄海に散った人、還った人 志村富寿
 護衛の海防艦で見た惨 禍山口源吉
 マリアナ、比島海戦の回想 重野清
 船員兵士の輸送船遭難記 増田幹
 江尻丸に乗った出陣学徒 西川千孝
 硝戒艇・文丸での勤務日誌(抜粋)服部征魯
 商船学校生の海兵団生活 浅野和昭
 川崎空襲のとき、私は長根山嘉之
 断末魔の日 本藤井俊
 日本海軍最後の深夜雷撃 長谷川悠三
 脳裏にいまも、あのキノコ雲が 土井照博

第六章 癒やされぬ傷を負って船員家族・軍属の戦時体験  死線をこえて 山本充之
 赤城丸遭難、母子で泳ぐ 秋山常之
 還らぬ兄 青手木アヤ子
 台湾引き揚げ記 西原寿恵子
 青春の夢砕かれてー兄・本条健一の死に思う 本条嘉久雄
 父亡きあと 寺田敬男


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