高度1万メートルから届いた 世界の夕景・夜景


978-4-425-86251-1
著者名:杉江 弘 著
ISBN:978-4-425-86251-1
発行年月日:2015/11/20
サイズ/頁数:B5横判・112頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,200円(税込)
数量
国内・海外各地の夕景・夜景を収めており、美しい写真の他にも、機内から撮影するときの注意点やコツ、元パイロットならではの視点で書かれたコラムなどを収録。

【はじめに】より この写真集は日本をはじめ世界の空で遭遇した「夕景・夜景」を特集したものです。これまで「夕景・夜景」に限定した写真集を目にした記憶はありませんが、民間航空機の機窓から見た都市や風景それに空港における夕景や夜景に特化した写真集の出版は間違いなく初めての試みと思っています。
一般に「夕景・夜景」といえば情緒あふれる時間帯での景色で、旅の中でも強く印象が残るひとときではないでしょうか。私は半世紀近く、飛行時間にして約3万時間の空の生活を公私にわたって過ごしてきました。しかし写真撮影となると1990年代より前では旧ソ連などいくつかの国や都市の上空での撮影は禁止されていたため、空撮を本格的に始めるには時間を要しスタートは1994年の9月からでした。当時、シドニーからの帰国便で赤道近くの海に浮かぶ美しいサンゴ礁「バタフライ・アイランド」を見たことが契機となりました。それは心洗われるような島の風景で「地球上にはまだこのように知られていない素晴らしい場所があるのだ」と感動しました。以来、空で遭遇する感動的な一瞬を皆様と共有したく本格的に撮影を開始しました。
さて、「夕景・夜景」といえば撮影に必要な露光が少ない時間帯であり、加えて動いている航空機からの写真となると、近年まで非常に難しいものがありました。しかしデジタルカメラの登場で技術的な状況は一変し、ISOの高い性能をもつカメラはさらに進歩を遂げています。そして2014年空きには航空機の離着陸などにおいてもデジタルカメラの使用が解禁されるという喜ばしい法改正がなされました。このようなことを考えると、今後本や雑誌などで、これまで撮影できなかった絶景や空での瞬間がどんどん紹介され、空の旅が一層充実したものになっていくことでしょう。
ここで私が多くの時間を過ごした高度1万メートルという世界から地上の風景はどのように目の中に入ってくるのか、少し説明したいと思います。ジェット旅客機が飛ぶ巡航高度はフライトの長さによっても異なりますが、燃料効率を考えると高度3万3,000フィート(約1万メートル)以上が適しています。そして燃料を消費することによる機体重量の低下に合わせ、ステップアップといって段階的に高度を下げ、4万1,000フィート(約1万2,500メートル)くらいを上限として運航します。したがって性能だけを考慮すると大体3万5,000フィート(約1万700メートル)くらいが時間にして長く飛行する巡航高度といえます。
では、そのような高さから地上の風景はいったいどこまで先が見えることになるのでしょうか。航空図を専門とする太田弘氏によると、228マイル(約422キロメートル)先、日本を例にすると東京都上空からは滋賀県あたりまでの地上が司会に入る計算になります。これは航空機の窓から地上の風景を撮影する場合の水平方向の限界値とうことで参考となるものです。
次にそのような巡航高度から目を下に向けるとどの範囲まで地上の風景が視界に入るかといえば、広角や標準レンズを使用すればファインダーには目標とする都市や山などその全部が入ってきます。つまり大きな目標物でも1枚の絵として捉えてシャッターを押すことができるのです。これがヘリコプターや小型機からでは地上の目標物に対しては接近しすぎて全体をファインダーに収めることは難しく、一方で宇宙を回る衛星からとなると、目標物は点のように小さく見えて、とても細部を捉えた写真にはなりません。加えて衛星から地球を見ると青みがかってしまいます。
その意味で、ジェット旅客機の窓から見える地上の風景はカメラを向けるのに最も適した画角と豊かな色彩が得られるものと考えられます。しかしいざ撮影となると近年、機内で窓のシェードを上げるのにも勇気が必要となってきました。マニュアル型のサービスによって食事が終了すると機内は暗くなり、映画が始まったり睡眠をとる時間に変わります。以降、窓からの外の光を差し込ませる行為はご法度のような雰囲気になるでしょう。
実際に昼間のフライトでは少しでも窓のシェードを上げればCAから注意されたり、乗客の支川も気になるでしょう。地上の乗り物であれ旅客機であれ、外の景色や光線を楽しむのは旅の重要なファクターです。もちろん、休息をとりたいというニーズも分からないではありません。その意味ではひと昔前のフライトスタイルの方が個人的には歓迎です。パーサーなどが乗客に外の風景について説明していた時代が懐かしくもあります。
このように残念な現状もありますが、こと「夕景・夜景」については窓のシェードを上げたところで、外から強い光が差し込むことはないので、誰にも迷惑はかかりません。遠慮なくカメラを向け、楽しむことができます。
最後に、この写真集に登場するアラスカやシベリアの一部の風景写真について誤解が生じないよう説明させていただきます。それらの中には一見、昼間に撮ったのではないかと思われるような写真があるからです。しかし高緯度地域で冬期ともなると太陽が沈むのは極端に早くなります。日本で最も北の宗谷岬(北緯45度31分)でもフランス南部のグルノーブルと同じ緯度にあたり、ロンドン(北緯51度51分)の冬至では日没が15時台という早さになります。さらに北に位置するアラスカやシベリア北部では14時台に夕刻を迎えることも珍しくありません。本文のアラスカの写真はロサンゼルスやシカゴ、それにバンクーバーなどから日本に向けての便で撮ったものですが、いずれの便も現地時刻で14時台から15時台にアラスカを通過する関係で、冬期ではすでに斜光線の下にあります。そして雪の効果で昼間のように明るく感じることも特徴です。これらの点について本文だけではできるだけ季節や時刻などの情報も入れてみました。
この写真集が少しでも空撮の参考になり、空の旅をより楽しめるようになれば、著者としてこれ以上の幸せはありません。

【目次】
First Flight View of Japan
view001 Osaka Prefecture 大阪府全景
view002 Notsuke Peninsula  野付半島
view003 Lake Toya / Mt.Yoteizan 洞爺湖と羊蹄山
view004 Sea fog 押し寄せる海霧
view005 Shikotsuko Lake 支笏湖
view006 Shimokita Peninsula & Moon 下北半島と月
view007 Lake Towanda 十和田湖
view008 Mt.iwaki 岩木山
view009 Yoneshiro River 米代川
view010 Akita Airport 秋田空港
view011 Mt.Chokaizan 鳥海山
view012 Autumn of Hanamaki City 花巻の秋
view013 Kitakami River 北上川
view014 Nanbu Region 南部の佇まい
view015 Aizuwakamatsu City 会津若松
view016 Narita Airport 成田空港
view017 Tone Mouth of River(Choshi City)利根川河口(銚子)
view018 Kujukuri Beach 九十九里浜
view019 Tone River / Tokyo Bay 利根川と東京湾
view020 Tone River / Tega Marsh 利根川と手賀沼
view021 Kisarazu City / Futtsu City 木更津・富津
view022 City Center ピンク色に染まる都心
view023 Tokyo Bay 東京湾
view024 Miura Peninsula 三浦半島
view025|view026 Sadogashima Island 佐渡島
view027 Mt.Fuji 富士山
view028 Kiso Mountain Range / Minamialps 木曽山脈・南アルプス
view029 Mt.Yatsugatake / Mt.Fuji 八ヶ岳と富士山
view030 Mt.Tsurugidake 剱岳
view031 Evening view of Kitaalps 北アルプス 夕景
view032 Mt.Yarigatake / Mt.Hotakadake 槍ヶ岳と穂高岳
view033 Mt.Norikuradake 乗鞍岳
view034 Ise Bay / Lake Hamana 伊勢湾と浜名湖
view035 Nagoya City / Centrair 名古屋市内とセントレア
view036 Centrair セントレア
view037 Iseshima 伊勢志摩
view038 Osaka Bay 大阪湾
view039 Yodo River 淀川
view040 Lake Shinjiko 宍道湖
view041 Setonaikai Sea 瀬戸内海
view042 Kitakyushu Airport 北九州空港
view043 Fukuoka Airport 福岡空港
view044 Sadamisaki Peninsula 佐多岬半島
view045 Genkainada Sea 玄界灘
view046 Mt.Unzendake 雲仙岳
view047 Mt.Aso 阿蘇山
view048 Sakurajima Island 桜島
view049 Kagoshima Bay(Kinkouwan Bay) 鹿児島湾(錦江湾)

Second flight
Views of the World
view001 Rising sun from the west 西から昇る太陽
view002 Bering Sea ベーリング海
view003 Lakes / CAN カナダの湖沼群
view004 Aurora / USA オーロラ
view005 Glacier / USA 海に流れ込む氷河
view006 Alaska / USA アラスカ
view007 Western edge of Alaska Peninsula / USA アラスカ半島西の端
view008 Kodiak Island / USA コディアック島
view009 Mt.Knife / USA ナイフ山
view010 Alaska Range / USA アラスカ山脈
view011 Toronto / CAN トロント
view012 Anchorage / USA アンカレッジ
view013 Chicago O’Hare International Airport / USA シカゴ・オヘア国際空港
view014 Manhattan / USA マンハッタン
view015 Mexico City / MEX メキシコシティ
view016 Mexico City International Airport / MEX メキシコシティ国際空港
view017 River Thames / GBR テムズ川
view018 London / GBR ロンドン市内
view019 London Suburbs / GBR ロンドン郊外の田園
view020 Strait of Dover ドーバー海峡
view021 The Dolomites / ITA ドロミテアルプス
view022 Milano Malpensa Airport / Ita ミラノ・マルペンサ空港
view023 Frankfurt am Main / DEU フランクフルト
view024 Baltic Sea / DEU バルト海
view025 Tallinn / EST タリン
view026 St. Petersburg / RUS サンクトペテルブルク
view027 Ural Mountains / RUS ウラル山脈
view028 Ob’Tributary / RUS オビ川支流
view029 Gobi / CHN ゴビ砂漠
view030 Himalayan Range ヒマラヤ山脈
view031 Jamuna River / BGD ジョムナ川
view032 Hong Kong Approach / CHN 香港アプローチ
view033 Manila / PHL マニラ
view034 Pescadores / TWN 澎湖諸島
view035 Lubang Island / PHL ルバング島
view036 Rural scenery of Jakarta / IDN ジャカルタの田園地帯
view037 Rays / USA 天空の光のマジック
view038 Sunset of the Equator 赤道の夕焼け
view039 Guam / USA グアム島
カテゴリー:航空 
本を出版したい方へ

成山堂書店のBLOG