弾丸列車計画ー東海道新幹線につなぐ革新の構想と技術ー 交通ブックス122


978-4-425-76211-8
著者名:地田信也
ISBN:978-4-425-76211-8
発行年月日:2014/9/4
サイズ/頁数:四六判 240頁
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価格¥1,980円(税込)
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弾丸列車計画とは、戦前の「東京?下関間線路増設計画」のこと。その名の示すとおり、高速列車が走行する鉄道路線で、軌間を広軌としたため「広軌新幹線」とも呼ばれた。この計画は1940年に議会を通過し着工したものの、戦況の悪化により中断。しかしこの計画で高速鉄道の基本とな規格や仕様などが定められていたため、これがベースとなって延長500kmに及ぶ東海道新幹線をわずか5年で完成させることができた。また、弾丸列車計画にかかわった関係者たちが東海道新幹線実現の強力な推進役となり、実際に建設に参加した技師たちも少なくない。
本書は、新幹線誕生50年の今年(2014年)、集められた貴重な資料をもとに、この弾丸列車計画の全体像を要約している。

【はじめに】より 弾丸列車計画とは、戦前の東京・下関間線路増設計画のことです。その名が示すとおり高速列車が走行する鉄道路線です。この計画で軌間を広軌(当時は標準軌1,435mmを広軌と称していた)としたため「広軌新幹線」とも呼んでいました。なお、今日も続く新幹線という名称は、新しい幹線鉄道という意で名付けたようで、東海道新幹線誕生に遡ること25年前に登場していたのです。
この計画は、1940(昭和15)年に議会を通過し着工したものの、戦況の悪化により中断、しかし、その後の東海道新幹線建設への貢献は計りしれないものがあります。例えばルート・駅・輸送設備等の基本事項、高速鉄道としての各種技術規格・施設仕様の基礎、用地買収・トンネル工事の実施です。
特筆すべき点として、この計画に携わった技師や事務官が後の東海道新幹線実現の協力な推進役になったことが挙げられます。わずか5年で3大都市圏を結ぶ太平洋ベルト地帯において延長500km余の高速鉄道の完成という奇跡は、間違いなくこの計画が下敷きだったからです。
その東海道新幹線は開業して50年、新幹線ネットワークは青森から鹿児島まで繋がり全長葯2,400km、現在も建設が進んでます。これを機に新幹線のツールをまとめておく必要があります。世界の高速鉄道のさきがけは「シンカンセン」であることは歴然で、その原点は弾丸列車計画であるからです。
この計画は山陽新幹線建設中の昭和40年代までは専門誌等でしばしば紹介されていましたが、最近は見かけることが少なくなりました。わが国は70年以上も前から高速鉄道のトップランナー、この事実を風化させることなく後世に伝えなければなりません。これはわが国鉄道界の大先達が口にされていることでもあります。
その一人が瀧山養氏です。氏は日本を代表する土木技術者で1932(昭和7)年鉄道省入省以来、戦前・戦中・戦後を通じ国土・国家を論じながら、一生を鉄道に捧げました。弾丸列車計画にも深く関り、後の新幹線建設に全力を投入しました。国鉄理事・技師長、海外鉄道技術協力協会理事長、土木学会会長等を歴任し、2009年天寿を全うされました。また、氏は鉄道事業・技術に多大な貢献をされ、貴重な論文・論説等も数多く残されました。しかしながら終戦前後の混乱期の中、弾丸列車計画の集約までは至らず、後輩に託されたと伝えられています。本書は氏の意思を継いだものとして諸先輩支援の下、研究を開始した次第です。
さて、資料収集に着手したところ、早くも障壁が立ちはだかります。関連する文献・資料が意外に少ないのです。多くは戦後の混乱期に焼いたとの話もありますが、東海道新幹線の計画時には大いに活躍したはずです。組織の変遷や事務所移転等により徐々に失ってきたとも考えられます。関連誌等に関係者の記事が散見されるものの具体的なデータや図面等はなく、手がかりがつかめません。
このような状況の中、ふと目にした土木学会会長講演(1941.3記録)で弾みがつきました。まさに弾丸列車計画の概要です。以来、諸先輩氏の協力を得て、不完全ながらも材料が揃った次第です。
このように材料とした文献・資料は、主に専門誌・関連誌等の論説や記事です。これらの記述内容は、著者・時期・項目によって異なっている場合があります。これに加えて数少ない戦前の資料を、その検証等に活用しました。したがって本書で使用したデータや図面などの多くは、必ずしも公表(公認)されたものではありません。
これらを整理・分析して執筆しているため、一部の内容の誤り、想定・推定を含め筆者の見解が混在等をあらかじめお断りしておきます。さらなる検証、確認を継続するとして、先ずは弾丸列車計画の姿をお示しすることを第一に考えました。
上記のこと、ご理解いただき、ご覧いただければ幸いです。

平成26年8月
著者識

【目次】
第1章 新幹線構想の萌芽
 1.1 社会的背景
 1.2 新幹線計画の始動
 1.3 計画の具体化
   1.3.1 答申の内容
   1.3.2 事業化の決定
 1.4 計画決定に至るまでの議論
   1.4.1 国土交通計画との関係
   1.4.2 その他対応策の検討
 1.5 鉄道技術躍進への契機
   1.5.1 海外の状況
   1.5.2 鉄道技術者たちの眼差し

第2章 輸送の状況
 2.1 両本線輸送の状況
   2.1.1 概要
   2.1.2 旅客輸送
   2.1.3 貨物輸送
   2.1.4 輸送量の増加状況
 2.2 大陸輸送の状況
   2.2.1 大陸への輸送量
   2.2.2 下関着旅客先と発地
 2.3 将来輸送力の見通し
   2.3.1 将来の予想
   2.3.2 将来の輸送力と行詰まり年度の推定

第3章 新幹線の軌間選定
 3.1 軌間論争
   3.1.1 狭軌採用の経緯
   3.1.2 広軌論の消長
   3.1.3 技術者たちの論争
   3.1.4 島安次郎氏の広軌改築論
   3.1.5 広軌採用への動き
   3.1.6 広軌採用と高速鉄道
 3.2 新幹線の軌間選定
   3.2.1 基本的な認識
   3.2.2 調査会における審議の結果
   3.2.3 軌間決定に至る議論

第4章 新幹線計画の基本事項
 4.1 目的と効果
 4.2 線路の形態と使用方法
   4.2.1 線路の形態
   4.2.2 線路の使用
   4.2.3 大陸への連絡、九州への展開
 4.3 新幹線の需要
   4.3.1 推計の方針
   4.3.2 新幹線旅客輸送人員及び人キロの推計方法・結果
   4.3.3 新幹線貨物輸送トン数及びトンキロの推計方法・結果
   4.3.4 事業性(営業収支)について

第5章 新幹線の建設規格、基準
 5.1 技術基準作成の体制
 5.2 新幹線建設基準
   5.2.1 代表的な基準
   5.2.2 個別の基準決定の経緯
 5.3 停車場に関する技術基準類

第6章 新幹線計画の基礎的検討
 6.1 駅の選定
   6.1.1 駅選定の基本方針
   6.1.2 選定の基準
   6.1.3 概略ルートの想定
   6.1.4 選定結果
 6.2 輸送計画試案
   6.2.1 輸送計画案
   6.2.2 外地輸送(大陸連絡計画案)
   6.2.3 新幹線と他種交通機関との関係
   6.2.4 新幹線の輸送量を自動車に任せたら
 6.3 旅客輸送
   6.3.1 輸送量の想定
   6.3.2 輸送計画
   6.3.3 外地への連絡輸送
   6.3.4 九州連絡関係
   6.3.5 駅計画
   6.3.6 運賃・料金
 6.4 貨物輸送
   6.4.1 操車場、輸送量
   6.4.2 輸送計画
   6.4.3 大陸連絡関係
 6.5 運転図表の想定
   6.5.1 列車の設定
   6.5.2 有効時間帯
   6.5.3 列車単位と列車数

第7章 新幹線計画の概要
 7.1 新幹線選定方針
 7.2 ルート及び駅位置
   7.2.1 ルート及び駅位置
   7.2.2 停車場(駅)
   7.2.3 線路一覧
 7.3 運転計画
   7.3.1 国内(東京・下関間)
   7.3.2 大陸との交通
 7.4 車両形式
 7.5 予算と工程
   7.5.1 予算
   7.5.2 工事工程
 7.6 その他関連計画

第8章 特記事項
 8.1 駅位置と付近のルート
   8.1.1 東京起点駅
   8.1.2 横浜付近
   8.1.3 浜松付近
   8.1.4 その他
 8.2 線路中心間隔の決定経緯
   8.2.1 停車場構内の線間
   8.2.2 機関区構内の線間

第9章 事業の経過と中断
 9.1 事業の経過
   9.1.1 用地
   9.1.2 工事
   9.1.3 車両
 9.2 事業の中断
   9.2.1 新丹那トンネル工事の中止
   9.2.2 事業の最終系

第10章 戦後の両本線の状況と東海道新幹線への道
 10.1 東海道本線
 10.2 山陽本線
 10.3 両本線の将来見通し(東海道新幹線前夜)


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