日本の内燃動車 交通ブックス121


978-4-425-76201-9
著者名:湯口 徹
ISBN:978-4-425-76201-9
発行年月日:2013/9/4
サイズ/頁数:四六判 200頁
在庫状況:品切れ
価格¥1,980円(税込)
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内燃動車(気動車)は、原動機=ガソリン/ディーゼル機関を搭載する客車です。新しくはハイブリッド車、路面・鉄路とも走行できるDMVも含まれます。
わが国で最初の内燃動車が登場したのは1920年、以来90年余の歴史を通して、ほぼ国産の技術をもって研究・開発されてきました。
 本書では、国鉄(JR)・私鉄を問わず、これらほぼすべての内燃動車を取り上げて、できる限り多くの写真を添えて解説しました。

【はじめに】より  わが国で「商品」として最初の内燃動車である自動機客車が開発されたのは1920年で、以来90年余が経過した。にもかかわらず、本書では1945年の日本敗戦を境に「戦前」「戦後」と区別して記述し、かつボリウムをほぼ同等としている。これに対しては当然異論があろうが、1945年8月15日の敗戦からのほぼ70年と、それ以前の25年とを対比するのは、敗戦が鉄軌道、さらにわが国の鉄軌道での内燃動力にとって、極めて大きな変革点であったと考えるからである。また敗戦後の国鉄ーJR車輌に関する記述は極めて多く、とうていこの小書では繰り返せないこともあって、ほんのさわりか一部のみに止まる。この天はお許し願わねばならない。
 わが国内燃動車についてはすでに多くの先行研究があるが、こと私鉄車に関する限り、これまでその全体像把握や資料掘り起こしが不十分のままで発展経緯等の記述がなされてきた。したがって少なからぬ見落としや誤謬・誤認があり、また私鉄車と国鉄車を別個に扱ったものが多く、両者を並列していても、執筆者は異なるケースが多い。
 私鉄車と国鉄制式車の比較となると、国鉄車が圧倒的な地位を占めてからの記述がおおかたであり、私鉄車は懸命に国鉄車の後を追うという形になるが、国鉄制式車が私鉄車より間違いなく優位に立つのは1935年のキハ42000以降である。さらに1951年以降ーDMH17系登場後ともなれば、追随を許さないのは確かで、国鉄側にすれば私鉄車など眼中にもなく、専門家集団である国鉄工作局の自負と自信はそれ以上に深く確固たるものがあった。
 また、国鉄内燃動車に関する記述は、ほぼすべてが国鉄関係者によって執筆され、その後もファンが加わるが、基礎となる資料類はほぼ国鉄のものに限られてきた。そのため国鉄自体が欠陥を認めたキハニ5000を除き、その後の国鉄制式車への批判めいた記述は極度に乏しい。なかでもDMH17系機関に関しファンは従前礼賛一方であったし、その後継たるべきものに、やや消極的な評価が、極めて控えめになされていたにすぎない。
 本書は、いわゆる「通説」や諸先輩の先行記述にとらわれず、技術経験知識なしの素人が好き勝手に書いたものである。従前の類書とは相当に、ときには極度に観点を異にしているとあって、戸惑いや不快を禁じえない向きも当然あろう。しかし長年繰り返され続けた、いわば国鉄無謬論にも類した記述には、内心多少なりと疑問を持つ方も、その実おられたのではなかろうか。
 なお文中「ガソリンカー」「ディーゼルカー」「動車」「内燃動車」等と用語が一定していないが、特に使い分けているわけではない。鉄道省は1943年11月運輸通信省に、その後運輸省(鉄道総局)を経て、1949年6月1日以来1987年4月1日のJR各社発足までが日本国有鉄道だが、本書では煩雑を避け、特に必要な箇所を除き「国鉄」で統一した。また文中の傍点は著者が付し、人名は敬称を略し、年表示は原則西暦のみとしている。

【目次】
第1章 黎明期のわが国内燃動車
 1 内燃動車の定義
 2 黎明期前後
 3 ベンチャー・ビジネス期
  3-1 自動機客車
  3-2 丸山式自働客車
  3-3 単端式車と両運車
 4 日車参入と躍進
 5 バスとの競争
 6 両運車登場
 7 経営改善の西高東低現象

第2章 わが国内燃動車の基本構造
 8 基本構造の骨格
  8-1 車輌大型化と機関
  8-2 菱枠台車
  8-3 機関位置と着脱
  8-4 機関保持法
  8-5 逆転機と保持法
 9 日本独自の工夫
  9-1 片ボギー車
  9-2 偏心台車と鋳鋼台車
  9-3 鮮魚・自転車台
  9-4 簡易/軽量連結器
 10 特異な事例
  10-1 自社客車改造車
  10-2 架線の下を走る
  10-3 標準軌間車輌

第3章 国鉄制式動車
 11 制式ガソリン動車
  11-1 キハニ5000
  11-2 キハニ36450
  11-3 キハ36900?41000
  11-4 キハ40000
  11-5 キハ42000
  11-6 制式車花盛り
  11-7 中国大陸に転身
  11-8 総括制御試験

第4章 戦前のディーゼルカー  12 私鉄のディーゼルカー
 13 国鉄ディーゼルカー
  13-1 キハ41500/42500
  13-2 世界の編成型特急
  13-3 キハ43000

第5章 戦時中/敗戦後の混乱期  14 石油消費規正
 15 代用燃料
 16 戦後の混乱期1
 17 戦後の混乱期2
 18 車輌絶対不足期
 19 在来車のディーゼル化

第6章 1951年以降の国鉄動車
 20 DMH17?戦後の救世主
 21 新星キハ45000
 22 1957年4月改番
 23 準急/急行出現
 24 特急登場

第7章 次世代機関の開発難航  26 17Hで行き止まる
 27 通勤・近郊用車
 28 次世代機関開発難航1
 29 次世代機関開発難航2

第8章 直噴式機関やっと  30 新直噴式機関1
 31 新直噴式機関2
 32 餅は餅屋から

第9章 少数車輌たち  33 特殊少数車輌
  33-1 客車改造車
  33-2 振り子ディーゼルカー
  33-3 貨物気道車キワ90
  33-4 ガスタービン試験車
  33-5 業務用内燃車輌
  33-6 狭軌鉄道用神製車輌
  33-7 電車代替ディーゼルカー

第10章 私鉄DMH17依存症候群とその後
 34 DMH17しか知らない
 35 小湊鉄道のケース
 36 その後の私鉄動車
 37 JR廃車再起と車体幅

第11章 レールバスとNDC  38 国鉄レールバス
 39 私鉄初期レールバス
 40 第三セクターレールバス
 41 ボギー車に発展
 42 新規開業第三セクター
 43 JRのNDC

第12章 戦後の特異な車両群  44 簡易軌道ディーゼルカー
 45 札幌市路面ディーゼルカー
 46 DMV(Dual Mode Vehicle)
 
第13章 ディーゼルカーの現在/将来  47 ディーゼルカー激減
 48 メーカー激減
 49 ディーゼルカーの将来

【読者からの声】
●T様
「内燃動車に関する記事を興味深く感じ取ることができ、内燃動車のファンとしても貴重な1冊となりました」


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カテゴリー:交通ブックス タグ:交通ブックス 車両 鉄道 
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