飛行船の歴史と技術 交通ブックス308


978-4-425-77771-6
著者名:牧野光雄 著
ISBN:978-4-425-77771-6
発行年月日:2010/8/4
サイズ/頁数:四六判 212頁
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価格¥1,980円(税込)
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飛行船の誕生から現在までの歴史を技術面にスポットあて徹底解説。構造・操縦方法・飛行原理まで知りたいことが何でもわかる充実の1冊。飛行船の歴史を書いた本はこれまでにいくつかあるが、技術面(原理・構造・操縦)まで踏み込んで書かれた本はなく、本書が唯一のものといえる。
・飛行船の歴史を、技術的・工学的視点からまとめたもの。
・飛行船の分類、誕生から現在までの歴史とその中で果たしてきた役割を紹介する。
・空を飛ぶことを目指した先人たちの飛行船開発の努力が生き生きと綴られている。
・操縦方法や飛行原理、構造などを解説するとともに、省エネ・環境にやさしい航空機としてのメリットを伝え、将来展望も探る。

【まえがき】より
 青空にぽっかり浮かんだ飛行船。日の光に白い船体を輝かせ、心地よいプロペラの響きを残してゆっくりと飛んで行く。こんなのどかな乗り物がほかにあるだろうか。
 いま私たちが見ることの出来る飛行船はすべて軟式飛行船と呼ばれる小型なものであるが、かつて1930年代の中頃までは全長250mほどもある巨大なツェッペリン飛行船が70?80人の乗客を乗せて大西洋を横断し、ヨーロッパと北アメリカあるいは南アメリカとの間を航行していた。
 現代のようにジャンボジェット機が何百人もの乗客を乗せて音速に近い速度で飛ぶ時代からすれば、たいしたことではないと思われるかも知れない。しかし、この当時、飛行機は未発達で、長距離大量輸送にはほど遠い乗り物であった。飛行船は汽船より速く、それに劣らないゆとりある客室でくつろいだ旅行が出来たのである。
 なぜそれ程までに輝かしい活躍をしていた飛行船が没落してしまったのか、その原因がどこにあったのか考えてみたい。その結果として現在の科学技術を結集すれば、おのずと原因は克服されて将来は有用な航空機となり得ることが分かる。そして省エネルギー・低公害の航空機としてこれからの時代によみがえることを期待したい。
 最近、あのツェッペリン飛行船が誕生したドイツのボーデン湖畔のフリードリッヒハーフェンで小型ではあるが、過去の技術の集大成の上に最新の技術の枠を取り入れた新しい飛行船ツェッペリンNT(ニューテクノロジー)が完成した。日本にも輸入されて昨今その優美な姿が日本の空に見られる。
 過去4,50年の間に日本で出版された飛行船関係の本は十指に余る。これらの本を見ると、大体は歴史的な側面が重視して書かれていて、技術的ないしは工学的面から捉えたものは少ない。本書では飛行船に興味なり、関心をもつ一般の読者を対象に飛行船の歴史ばかりではなく、飛行原理、構造、繋留・格納、経済性、対環境性などを含めて分かりやすく述べた。
 なお、現在は工学分野で用いる単位はSI単位であるが、まだ一般にはなじみが薄いと思われるので、従来の工学単位(重力単位の一種)を用いることにした。よって本書では「kg」は質量の単位ではなく重量および力の単位である。

牧野光雄

【目次】
第1章 飛行船序論
 飛行船には未来がある
 飛行船の分類

第2章 飛行船前史
 天空への憧れ
 モンゴルフィエ兄弟の熱気球
 水素気球の出現
 飛行船時代の幕開け
 サントスデュモンの優雅な飛行船
 シュヴァルツの硬式飛行船

第3章 ツェッペリン飛行船の成功
 ツェッペリン伯爵の生いたち
 飛行船建造への道
 第1号船LZ1初飛行へ
 狂人伯爵と陰口を言われて
 LZ2建造に向けて再出発
 エヒターディンゲンの奇跡
 ツェッペリン飛行船会社設立
 ロンドン空爆
 ドイツにあったもう一つの飛行船会社

第4章 飛行船黄金時代
 L59の東アフリカ連絡飛行
 イタリアのお家芸半硬式飛行船
 アムンゼンの北極探検とノルゲ号
 ノビレ少将の北極再探検
 最も成功した飛行船グラーフ・ツェッペリン号
 グラーフ・ツェッペリン号世界1周
 悲劇の飛行船ヒンデンブルク号
 ツェッペリン硬式飛行船の最期

第5章 イギリス・アメリカにおける硬式飛行船
 イギリスにおける硬式飛行船
 アメリカにおける硬式飛行船
 フランスにおける硬式飛行船

第6章 日本における飛行船史
 初めて飛んだ飛行船
 山田式軟式飛行船
 会式イ号軟式飛行船
 ドイツ製パルセバール軟式飛行船
 イギリス製SS型軟式飛行船
 フランス製アストラ・トーレ飛行船
 第1次世界大戦の戦利品L37硬式船と格納庫
 イタリア製N型半硬式飛行船
 国産半硬式飛行船
 硬式飛行船建造計画
 グラーフ・ツェッペリン号東京訪問飛行
 太平洋横断定期航空路の夢

第7章 第2次世界大戦後の活躍
 かろうじて生き残った軟式飛行船
 世界最大の軟式飛行船
 飛行船見直しの兆し
 ハイブリッド航空機の提案
 伝統的な飛行船への回帰
 スカイシップ500
 ツェッペリンNT
 第2次世界大戦後の日本の飛行船

第8章 飛行船の操縦・離着陸・格納
 飛行船の操縦装置
 軟式飛行船の上昇と降下
 軟式飛行船の離着陸
 硬式飛行船の離着陸
 イギリスにおける繋留法
 グラーフ・ツェッペリン、ヒンデンブルク用の繋留塔
 アメリカにおける繋留法
 格納庫

第9章 飛行船の構造と推進装置
 分布荷重と集中荷重
 加圧軟式飛行船
 加圧半硬式飛行船
 加圧硬式飛行船
 非加圧硬式飛行船
 硬式飛行船要目
 飛行船の推進装置
 飛行船のガソリン・エンジンとディーゼル・エンジン

第10章 飛行船の有用性と将来性
 飛行船の特性
 航続距離、飛行速度、輸送効率
 期待される水素燃料
 ハイブリッド航空機辛口評価
 将来有望な硬式飛行船
 都市間・大陸間・世界1周飛行
 現在提案できる硬式飛行船の企画

付 録 飛行船の浮揚力・空気抵抗
あとがき
参考図書
索 引


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