航空管制のはなし【七訂版】 交通ブックス303


978-4-425-77727-3
著者名:中野秀夫 著
ISBN:978-4-425-77727-3
発行年月日:2014/8/8
サイズ/頁数:四六判 202頁
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¥1,760円(税込)

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大空を飛ぶ航空機も、他の交通機関同様、さまざまなルールのもとに運航されている。それを巧みに整理して安全を保つことが航空管制官の役目である。本書は「空の交通整理」とも呼ばれる航空管制を、その歴史から現状や問題点、業務内容まで幅広くとりあげた。巻末に用語解説と、パイロットと管制官の交信の実例を収録。

【七訂版発行にあたって】 近年、グローバル化の進展により、世界の航空輸送の需要はますます増加し、国際航空交通量は大きく伸びてきている。ことにアジア地域においては、中国やインド等の経済発展により、その傾向は顕著である。
一方、わが国の国内においても、首都圏の空港容量の拡大もあって、航空交通量は増加の一途をたどってきている。
国際民間航空機関(ICAO)は、将来の世界の航空交通のシステムをどのように改善すれば安全で効率のよい航空管制ができるのかについて、真剣な議論を続けているが、欧米ではすでにそれぞれ独自の計画を持っており、わが国も新システムの開発に向け動き出している。
この点については、このたびの改訂にも概略加えているが、共通の目標は、もちろん、安全で効率的な、より高度な航空管制システムの実現である。航空機側が希望するとおりの離陸時間、巡航高度、進入方式を確保するための方策も航空機のメーカーや航空会社と協議されている。新航空システムは航空機側の搭載機器の改善が必須の条件になるからである。
また、地球温暖化防止のために飛行経路の直行化や着陸の際の降下方式の改善といった方策も管制運用上の課題として強く求められるようになった。
本書の初版が発行された13年前とは航空管制の技術も環境も大きく変化しつつあることを痛感している。七訂版では、このような趨勢も考慮しつつ、可能な限り現状にあわせて改訂を行った。

平成26年7月
中野秀夫

【まえがき】より 世界で最初に航空会社が誕生したのは1909年で、ドイツに飛行船を使って貨客を輸送する会社が生まれ、10年後の1919年には飛行機を使用する本格的な航空会社が欧米で誕生した。しかし、第1次、第2次世界大戦中は、航空機は民間航空輸送よりも軍事用に開発が進められ、民間航空の本格的な発展は第2次世界大戦の終結を待つことになる。
第2次世界大戦の大勢が連合国側に圧倒的に有利になり、終戦はもはや時間の問題となった頃、米国と英国を中心に世界の各国は戦後の航空秩序のあり方を議論し始めた。これが1944年のシカゴ会議であり、同年末には民間航空に関する多国間条約(「シカゴ条約」とも「国際民間航空協定」とも呼ばれるもの)が署名された。1945年8月の戦争終結とともに欧米各国はシカゴ条約に基づいて民間航空の発展に力を入れ始め、民間航空用の航空機の開発も急速に進んだ。
民間航空が発展すれば、当然のことながら航空交通量が増加する。年々増加する航空交通の安全で秩序ある運航を確保するため、航空交通管制業務(以下、航空管制)の必要性がますます高まり、米国を中心にその整備が本格的に行われるなった。
戦後、連合軍の占領下にあったわが国では、民間航空事業の再開も1951年まで待たねばならなかったが、航空管制も米軍の手によって行われ、1959年になってようやく全面返還になり、以後、運輸省(現在は国土交通省)の業務として今日に至っている。
空港には管制塔があり、管制官が離着陸する航空機に指示を与えていることは一般に知られている。しかし、具体的にどのような場合にどのような指示が出されているのか、離陸した後、パイロットはどのようにして地上の航空管制の援助を受けて目的の空港まで安全な飛行を続けるのか、といったことまで知っている人はまだ少ない。
この本では、航空管制というものが、どのようにして生まれ、現在、どのように行われているのか、そして科学技術の進歩に伴ってどのように変化しようとしているのかを、関連する法律、規則、さらには施設や機器も含めて説明することとしたい。

【目次】
第1章 民間航空と航空管制の歴史
 1.航空機と航空会社の起源
 2.航空管制の始まり
 3.わが国の航空管制
 4.民間航空会社に関する国際条約と航空交通業務

第2章 飛行方式及び空域の種類  1.国際間の取極めと航空法
 2.有視界飛行方式(VFR)
 3.計器飛行方式(IFR)
 4.その他の飛行方式
 5.空域の種類
  ・航空路誌(AIP)
  ・R−NAV
  ・高度計規正値(QNHとQNE)
 6.わが国の空域の現状と問題点
  (1)関東空域
  (2)関西空域
  (3)中部空域
  (4)沖縄空域
  (5)空域の問題点
 7.飛行情報区(FIR)とその業務及び費用負担

第3章 航空交通管制業務  1.航空管制の法的根拠
 2.航空管制の種類
  (1)飛行場管制
   ・ライトガン(可視信号)
   ・空港面探知レーダー(ASDE)
   ・場周経路
   ・最低気象条件
   ・航空機の後方乱気流
   ・騒音対策上の配慮
  (2)着陸誘導管制(GCA)
  (3)進入管制とターミナルレーダー管制
  (4)航空路管制
   ・飛行計画
 3.航空管制の安全間隔
  (1)飛行場管制の場合
  (2)進入管制の場合
  (3)ターミナルレーダー管制の場合
  (4)航空路管制の場合
   ・巡航高度
 4.航空管制官への道

第4章 航空管制のための施設及び機器  1.通信機器としての有線、無線電話
 2.レーダー
  ・SSRモードS
 3.管制塔
 4.IFRルーム
 5.航空路管制機関
  ・FDPシステム
  ・RDPシステム
 6.航行援助施設
  (1)無指向性無線標識施設(NDB)
  (2)計器着陸装置(ILS)
  (3)超短波全方向式無線標識施設(VOR)
  (4)距離情報提供装置(DNE)
  (5)極超短波全方向方位距離測定装置(TACAN)

第5章 航空管制に使われれる用語  1.管制用語の基本
 2.数字
  (1)時刻
  (2)高度
  (3)距離と速度
  (4)その他の数字
 3.文字と語句
 4.飛行場管制業務の主な用語
  (1)滑走路の指定
  (2)離陸許可
  (3)着陸許可
  (4)地上の滑走の指示
 5.レーダー管制の主な用語
  (1)レーダー識別
  (2)誘導の際の指示
  (3)視認進入の承認
  (4)交通情報
 6.航空路管制の主な用語
  (1)管制承認
  (2)高度変更の承認
  (3)通信の移管
  (4)聴守の判断

第6章 管制が関係した航空事故  1.名古屋空港の滑走路上での衝突事故
 2.ニューヨーク上空での空中衝突事故
 3.ナント(フランス)上空での空中衝突事故
 4.バージニア州ウェザー山での墜落事故
 5.ザクレブ上空での空中衝突事故
 6.ロス・ロデオス上空での空中衝突事故
 7.駿河湾上空での異常接近事故
  ・パイロットの見張り義務
  ・進路権

第7章 これからの航空管制  1.CNS/ATMと運輸多目的衛星
 2.航空交通流管理と空域管理
 3.次世代航空管制システムの効果
英文略語解説
 交信実例
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