新訂 空港のはなし 交通ブックス307


978-4-425-77764-8
著者名:岩見宣治・長谷川武 共著
ISBN:978-4-425-77764-8
発行年月日:2023/4/18
サイズ/頁数:四六判 232頁
在庫状況:在庫有り
価格¥2,200円(税込)
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空の旅の玄関口“空港”はどのような施設か?安全で快適な空港を作るためにどのような工夫がなされているのか?そんな空港の基礎が体系的にわかる本です。これを読むと空港に行くのが楽しくなります。
●ひと口に空港といっても種々様々、内外の空港事例を紹介。
●空港は色んな施設の組み合わせ、その成り立ちをわかりやすく解説。
●空港の計画・建設から管理・運用にいたるまで、各段階の知識を網羅。
●わが国の航空と空港の歴史を振り返り、これからの空港を考える。

【新訂まえがき】より 戦後わが国の経済発展を支えた空港は,一時期他の公共事業と同様に造りすぎたのではとの批判にさらされる時代があった。公共交通機関の一つとして国内・国際交通を支える空港は装置であり,航空機が就航し,人・物が動いて初めて機能するものである。その意味では,空港によっては一時期需要が低迷し,その存在価値を問われた時代があったのは事実であろう。
航空需要は時の経済状況やテロといった不測の事態を反映し多少変動するものの,大きくは右肩上がりで増加し,地域経済のそしてわが国全体の経済発展に寄与してきた。特に国際航空需要は,2018年まではわが国への入国者の急激な増加もあり,国内線需要とともに過去最大を記録した。しかしながら2019 年に発生した新型コロナ禍は,我々の社会生活を一変させ,航空需要は大きなダメージを負うことになり,一時期,利用者のいない空港を目にすることになった。
筆者は1984 年に運輸省(現国土交通省)入省以来そのほとんどの時間を空港の計画,整備,運用の業務に費やし2019年4月1日に退官しているが,『空港のはなし』はさまざまな場面で活用してきた。この新訂版は,わが先輩である岩見さん(初版及び2訂版の筆者)から依頼があり快諾したことから始まるが,その最初の段階は2020年4月から6月,ちょうど新型コロナ禍の緊急事態宣言が発せられ外出もままならなくなり,その影響がどうなるか先行きが見えない時期であった。その後2022 年秋から最終的な原稿執筆を行っているが,国際線の入国規制の撤廃が決ま
り需要回復への期待が高まる中進めたところである。
第2版の著者である渡邉正己さんは,2017年9月12日にご逝去された。空港計画を中心に空港全般にわたる知識が豊富で,第2版での改訂において中心的な役割を果たされた。今回の改訂は,渡邉様のご遺志も引き継ぐものであるが,空港を取り巻く環境が大きく変化する中,空港の計画,整備を中心に書かれていた2 訂版に対し,この新訂版では関係する情報の時点修正を行うとともに,空港の運用・経営について新たな情報を追加している。2018年9月,高潮により空港施設が冠水した台風21 号の被害を踏まえた空港における対応や,空港コンセッションの進展,さらには最近の空港整備について追加し,主に新型コロナ禍の影響が出始める2019 年以前の動きを中心に,広く空港について解説を試みている。
本書は多くの方に読んで頂きたい空港の入門書であること,また紙面の関係から,必ずしも詳細な説明ができなかったところがあるため,興味を持たれた方は是非次の段階へ進んで頂ければと思う。また本格的な執筆は初めての取り組みでありさまざまな困難に直面したが,出版社の小川社長ならびに編集の方の継続した支援や多くの皆様のご協力,ご支援もあり出版の日の目を見ることになった。この場を借りて感謝の言葉を述べさせて頂きたいと思う。また併せて渡邉様のご冥福をお祈りします。

2023年3月
長谷川 武

【目次】
序章 わが国の航空輸送
 1 民間航空の始まり
 2 国際航空輸送の発展
  1.国際航空旅客
  2.国際航空貨物
  3.航空輸送の自由とオープンスカイの実現
  4.訪日外国人の増加
 3 国内航空輸送の発展
  1.国内航空旅客
  2.LCCの台頭
 4 国内航空貨物

第1章 空港の基礎知識  1-1 空港とは?(空港と飛行場)
 1-2 空港アラカルト
 1-3 空港の機能
 1-4 空港システム
  1.航空システムを構成する3 つのサブシステム
  2.空港システムの前提
  3.プロバイダとレギュレーター
  4.空港システムを構成する業務

第2章 航空機の運航に関連する施設・業務  2-1 滑走路
  1.滑走路長の検討
  2.滑走路方位
  3.滑走路の本数と配置
 2-2 着陸帯,過走帯,滑走路端安全区域
 2-3 空港の制限表面
 2-4 誘導路
 2-5 滑走路・着陸帯,誘導路の設置基準
 2-6 エプロン
  1.エプロンの種類
  2.駐機方式
  3.エプロンの計画基準
 2-7 航空機の運航を支援する施設
  1.航空保安施設
  2.航空機に対する地上支援業務

第3章 旅客・貨物を取り扱う施設  3-1 空港ターミナル地域
 3-2 旅客ターミナルビル
  1.旅客ターミナルビルの構成と規模
  2.旅客ターミナルビルの計画と設計の要点
 3-3 貨物取扱施設
  1.航空貨物の輸送
  2.貨物取扱施設
  3.航空貨物のセキュリティ
 3-4 アクセス施設
  1.道路・駐車場
  2.鉄道施設
  3.海上アクセス施設
  4.空飛ぶクルマ

第4章 空港管理  4-1 空港管理施設
 4-2 消防施設
 4-3 空港施設の維持管理
 4-4 供給処理施設
 4-5 発生する事案への対応
  1.発生した事案
  2.A2-BCP

第5章 空港整備の沿革  5-1 空港整備の始まり
  1.航空機のジェット化と大型化
  2.航空機騒音への対応
 5-2 整備から運営へ
  1.空港整備の制度
  2.空港整備法と空港法
  3. 空港整備特別会計,社会資本整備特別会計,自動車安全特別会計(空港整備勘定)
 5-3 管理運営主体
 5-4 空港コンセッション
  1.空港コンセッションの概要
  2.空港コンセッションの展開状況

第6章 空港計画と建設  6-1 空港計画の手順
  1.構想段階
  2.計画段階
  3.建設段階
 6-2 航空需要予測
 6-3 費用対効果分析
 6-4 空港建設技術
  1.大水深の埋め立て技術
  2.軟弱地盤の改良技術
  3.山岳地の用地造成技術
  4.ハイブリッド構造による滑走路建設技術

第7章 最近の空港整備  7-1 首都圏空港の機能強化
  1.羽田空港の機能強化
  2.成田空港の機能強化
 7-2 新千歳空港の機能強化
  1.南側連絡誘導路の整備
  2.誘導路の複線化及びデアイシング施設の追加
 7-3 福岡空港の機能強化
  1.東側ターミナル地域の再編事業
  2.奈多ヘリポートの整備
  3.滑走路増設事業
 7-4 那覇空港の機能強化
 7-5 離島空港(小笠原空港の検討)

終章 空港にまつわる最近の話題  1 カーボンニュートラルへの取り組み
  1.政府目標の設定
  2.航空局の動き
  3.関係者の動き
 2 空飛ぶクルマ
 3 これからの空港
  1.航空機騒音への対応
  2.除雪
  3.無人化・自動化
  4.セキュリティチェック
  5.情報提供
  6.ユニバーサルデザイン


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