航空機の運航ABC【改訂版】


978-4-425-86122-4
著者名:村山義夫 著
ISBN:978-4-425-86122-4
発行年月日:2005/7/28
サイズ/頁数:A5判 244頁
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航空機の安全運航に必要な、航法・法規・性能・気象・通信・飛行計画の基礎的な知識を網羅。図表を多用したわかりやすい内容。

【はじめに】より
ライト兄弟の飛行機が、初めて1903年12月17日に飛んだ。この日の記録は、滞空時間12秒、飛行距離36メートル、高度3メートルであった。それから96年経過した。現在航空機の性能は、著しく向上している。
飛行機は、人間や他の動物、そして物資を運ぶ道具から、今や大量輸送の交通手段として輸送産業の一翼を担い、ますます発達しつつある。しかし、同時にひとつの事故が及ぼす影響は、計り知れない時代となっている。航空機の大型化、高速化、自動化やサービスの向上を進めるとともに、安全を考えなければならない。
空運事業の一端を担う運航管理業務は、航空法で定められた運航管理者によって実施されている。私自身、運航管理者として、常に航空機の安全を支える最前線にいるという責任の重さを痛感している。航空機に導入される科学技術は、加速度的に進歩している。従って、それらの機材を活用するユーザーサイドの安全観が、重要な意味をもつことになる。
運輸産業の中で輸送に関わる交通機関は、常に自然界の気象の影響を受けて作業を行っている。航空機の運航とは、乗務員が乗り込んで地球上の二点間を、上空の空気を利用して移動させる事業をいう。従って、飛行には空気の流れ(風)や、雪、霧、雨等の自然現象が影響している。そのような自然環境の中で、機上と地上の無線機器や地上施設等を利用して、安全に飛行しなければならない。さらに営利企業である立場から、有償荷客の収容率を上げるとともに、飛行機の稼働を効率的に運用することが重要である。これら全体のマネジメントを運航管理という。
1971年に運航管理者のライセンスを取得して以来、28年間、民間航空会社の運航業務に携わってきた。この間、航空機の性能の向上、滑走路の拡張とグルービング化、ターミナルの拡大、旅客の増加、貨物の増大、国内・国際航空路線の拡大と増便等、航空輸送事業の発展は続いている。将来的にも産業規模の拡大の可能性は十分考えられる。
航空行政の規制緩和が進み、低運賃化、快適性の追求等、旅客のニーズにマッチしたサービス合戦が激化するであろう。このような情勢の中で、いかに事業が展開しようとも飛行管理上、安全性を重要な基調として、経済性、快適性、定時性を同時に考慮していく姿勢が必要と考えられる。
今回、運行管理業務の遂行上必要とされる知識の概観をまとめてみた。本書が飛行機を運航する基礎知識の参考になれば幸いである。
参考にさせていただいた文献について心からお礼申しあげる。

平成11年11月
著者

【改訂にあたって】より
平成11年12月発行以来、テロ、戦争、ハイジャックによる機長の死亡、管制官ミスによる航空機の異常接近や閉鎖滑走路への着陸、鉄道の脱線転覆事故等のアクシデントが多発している。
現在、国土交通省では、「航空機事故調査委員会」と、「鉄道事故調査検討会」を統合した、より協力な調査能力を備えた日本版「米国家運輸安全委員会(NTSB)」を目指し行政に反映している。事故の再発防止の観点から原因を究明し、早期に問題解決を図っていくよう期待している。
ますます、「安全」に対する心構えの重要性を考えざるを得ない。これらの事故を未然に回避するには、「眼根清浄」という洞察力を発揮し、人名尊重の基調に立って行動することが、必要と考察する。
今回の改訂にあたって、航空法施行規則の「航空機の燃料」の改正、航空保安対策の改正及び「安全の考え方」の加筆等を行った。交通機関の運用における基本作業の参考になれば、幸いである。

平成17年6月
著者

【目次】
1.航法
(1)基本の飛行方法
(2)現代の飛行方法
(3)将来の飛行方法

2.航空法
(1)航空運送事業
(2)航空従事者
(3)運航管理者

3.性能
(1)離陸性能
(2)巡航性能
(3)着陸性能

4.飛行計画
(1)重量計画
(2)出力計画
(3)高度計画
(4)速度計画
(5)燃料計画
(6)燃料節減計画

5.航空気象
(1)雪氷
(2)霧
(3)雷雨
(4)地震
(5)噴煙
(6)突風
(7)台風
(8)山岳波
(9)晴天乱気流
(10)航跡乱気流
(11)低層乱気流

6.通信
(1)地上通信システム
(2)空地通信システム
(3)発展型通信システム

7.航空機監視・援助
(1)航空交通業務
(2)捜索・救難
(3)航行無線機器

8.運航支援
(1)空港施設
(2)飛行管理

9.飛行実施計画
(1)飛行実施計画の内容
(2)飛行実施計画演算システム
(3)飛行実施計画計算方式
(4)コストインデックス
(5)ブリーフィング

10.飛行の実施
(1)航空機の区分
(2)最低気象条件
(3)出発方式
(4)待機経路
(5)進入方式
(6)飛行の各段階における会社制限の運用

11.安全
(1)ハード面
(2)ソフト面
(3)安全の考え方
(4)危機管理
(5)セキュリティコントロール
(6)コンピュータ不和合

12.航空輸送情勢
(1)運航サービスシステム
(2)福祉としての空運
(3)臨空都市
(4)空運の発展


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カテゴリー:航空 
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