空港と鉄道−アクセスの向上を目ざして− 交通ブックス115


978-4-425-76141-8
著者名:佐藤芳彦 著
ISBN:978-4-425-76141-8
発行年月日:2004/6/28
サイズ/頁数:四六判 186頁
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都市部から離れた位置にある空港とそのアクセスを担う鉄道。従来競争関係にあった両者の協調を内外の多くの事例を紹介し解説する。

【まえがき】より
情報化社会になればなるほど、人と物の移動が活発になる。それは量的拡大のみならず国境を越えた面的拡大を伴っており、新幹線に代表される高速鉄道やジャンボジェット機のような新技術の発達により加速された。しかし、それらは空港と空港の間、都市と都市の間のみの効率的な輸送体系をつくる上では有効であったが、空港と都市との連絡に関しては課題が多い。
一方、航空機と鉄道は長い間競争関係にあった。鉄道が馬車や船舶にとって代わって、陸上交通の主役となったように、鉄道側から見れば、航空機は競争相手であり、相互に協力することは考え難かった。そのため、空港と近隣の都市間に鉄道を建設することはあっても、中長距離の都市間輸送のために空港と鉄道を結ぶという発想は生まれ難かった。空港の近くに鉄道線路があっても、駅をつくることは、数少ない例を除いては無かった。航空機から見ても同様であり、航空路線の一部を列車で補完することは、ルフトハンザ・エクスプレス(ドイツ)の例を除いては皆無といえる。
この30年の間に、航空機の利用が急速に増え、鉄道も新幹線に代表される高速鉄道の整備により、一部では航空機よりも優位に立つようになった。また、航空の規制緩和や国鉄改革といった環境の変化もあって、競争すべきところは競争するが、必要に応じて相互に補完して、お互いの利益を確保するという大人の関係を結ぶことができるようになった。
また、これまで道路に頼ってきた空港へのアクセスは、空港立地が都市中心部から遠くなり、量的にも拡大する事態に対応して、鉄道との協調が必要となってきた。それは、環境問題に対する1つの回答でもある。
このようにして、90年代以降は、既存の空港への鉄道延伸、空港整備と一体となった鉄道アクセスの建設が進められ、空港整備財源の一部も鉄道に使われている。このようにして、空港への鉄道アクセスは世界的に整備されるようになった。03年末には鉄道アクセスを有する空港は100を超える。
世界各国で様々な取組みが行われており、日本でも採用すべきものが多いように思われる。しかし、空港と鉄道についてまとめたものは少なく、ここに空港の鉄道アクセスの現状と課題について紹介し、将来の姿についての考察を試みた。

2004年6月
佐藤芳彦

【目次】
第1章 空港への鉄道アクセス概要
   増加著しい鉄道アクセス
 1.2 鉄道アクセスの誕生と発展
 1.3 輸送目的に対応した多様な形態
 1.4 新しいコンセプトの出現
 1.5 航空と鉄道の協調
 1.6 高速鉄道によるアクセス
 1.7 空港あるいはターミナル間の連絡
 1.8 鉄道アクセスの現状と課題

第2章 日本の鉄道アクセス
 2.1 羽田空港
 2.2 成田空港
 2.3 関西国際空港
 2.4 伊丹空港(大阪国際空港)
 2.5 千歳空港
 2.6 福岡空港
 2.7 宮崎空港
 2.8 仙台空港
 2.9 中部国際空港
 2.10 那覇空港

第3章 世界の鉄道アクセス
 3.1 ロンドン
 3.2 パリ
 3.3 リヨン
 3.4 フランクフルト・アム・マイン
 3.5 ミラノ
 3.6 チューリッヒ
 3.7 オスロ
 3.8 コペンハーゲン
 3.9 シンガポール
 3.10 香港
 3.11 クアラルンプール
 3.12 上海
 3.13 ソウル

第4章 空港と鉄道の結合輸送の課題
 4.1 ハブ空港の整備と鉄道
 4.2 インフラ整備費用
 4.3 航空と鉄道のシステムの調和
 4.4 車輌
 4.5 手荷物の取り扱い
 4.6 運賃・料金の単純化
 4.7 都心駅までのチェックイン

第5章 まとめ
 付表1 空港鉄道アクセス一覧
 付表2 東京モノレール営業成績の推移
 付表3 京成電鉄営業成績の推移


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カテゴリー:交通ブックス タグ:鉄道 
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