本州四国連絡橋のはなし−長大橋を架ける− 交通ブックス112


978-4-425-76111-1
著者名:藤川寛之
ISBN:978-4-425-76111-1
発行年月日:2002/8/8
サイズ/頁数:四六判 194頁
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行き来しやすくなった本州四国連絡橋。その建設の裏舞台を覗いてみませんか?世界最長の吊橋「明石海峡大橋」等、壮大なスケールの本四連絡橋を実現させた、世界に誇る日本の最先端技術を詳しく紹介。

【まえがき】より
本四架橋ができる前には、四国の住民にとって「四国が離島である」と実感するときが再々あった。それは、霧や風で船が出航できず毎朝配達されるはずの新聞が届けられないとき、本州に行く際に大きな荷物を持って長い桟橋を渡って連絡橋に乗り換えるときなどであったと思う。
多くの犠牲者を出した紫雲丸の悲惨な事故が契機となって、「早く架橋を実現して、いつでも好きなときに自由に安全に瀬戸内海を行き来したい」という願いが大きく盛り上がった。しかし「遥かに霞んで見える海の向こうまで本当に橋が架けられるのだろうか」との思いもあり、架橋はまさに「夢の架け橋」であった。
1988年に瀬戸大橋が、1998年に明石海峡大橋が、1999年に多々羅大橋と来島海峡大橋が完成し、本四連絡橋3メートルが開通した。建設に着手してから25年、当初の思いより短期間での「夢の架け橋」の開通であった。長年の地域の願いがようやく実現したのである。
本四連絡橋は水深の深い、潮流の速い海峡を渡り、台風や地震など自然条件の厳しいところに計画された。その建設は技術的にきわめて難しいもので、日本の土木技術にとって未知の領域への挑戦であった。従来の技術の改良・高度化のほか、幅広い分野の技術を集結したい高い水準の技術開発が数多く必要であった。本格的な調査に着手してから約40年、建設に従事した人延べ2000万人の知力を結集して、「夢の架け橋」はようやく完成した。本四連絡橋の建設によって、日本の長大橋技術は世界の最高水準にあると高く評価されている。
この架橋の完成によって四国は離島ではなくなり、本州と四国はしっかりと結ばれた。
本四間の行き来は格段に便利になり、移動時間はおよそ1/3に短縮された。またいつでも好きなときに橋を利用して行き来ができるので、安心感も格段に向上した。人や物の動きは、架橋前と比較して、飛躍的に増え、また年々着実に増加している。四国の一人あたり県民所得の全国平均に対する格差は、架橋前には年々広がっていたが、架橋後はその格差が着実に縮まってきている。架橋の社会・経済効果は四国や中国・近畿地方はもとより、さらに広い範囲に波及している。
本四連絡橋の建設についてはさまざまな意見があるが、この架橋は長期間にわたって地域間の交流を支え、地域の発展に大きく貢献し、将来必ずやさらに高い評価を得るものと確信している。
この本は本四連絡橋プロジェクトに携わった人々の苦闘の一端と、その完成によって地域にもたらされたさまざまな社会・経済効果をとりまとめたものである。できるだけ多くの方々に知ってもらいたい、理解してもらいたいとの思いで、専門的な技術については興味を持って読んでもらえそうな範囲にとどめ、図や写真を多く入れて「できるだけわかりやすく」なるよう心がけたつもりである。
この壮大なプロジェクトの建設において、どのような課題・悩みがあり、それをどのように克服していったか、ぜひ広く知っていただきたいと願うものである。

2002年7月
藤川寛之

【目次】
第1章 本四架橋のあゆみ
 1 架橋構造の提唱
 2 紫雲丸の悲劇
 3 架橋構造の具体化
 4 架橋誘致活動の激化
 5 本四連絡橋3ルートの必要性
 6 有料事業としての事業化
 7 本四公団の発足
 8 起工式の決定,そして中止
 9 工事再会は1ルート3橋から

第2章 橋の規模と種類

第3章 長大吊橋の建設
 1 吊橋の作り方
  (1)吊橋の構造と特徴
  (2)吊橋の限界は?
  (3)吊橋の強敵は風と地震
  (4)温度変化による伸び縮みの凄まじさ
  (5)ケーブルを固定するアンカレイジ
  (6)塔基礎はウエイトリフター
  (7)ミクロの精度〜塔の製作と架設
  (8)船長さんからパイロットへ
  (9)精度は夜決まる
  (10)手をつないで一安心
  (11)熱い最後の試練
 2 明石海峡大橋
  (1)大水深・強潮流の克服
  (2)水中コンクリートの大規模・急速施工
  (3)高強度ワイヤーの開発
  (4)耐風安定性
  (5)阪神淡路大震災
  (6)ケーブルイルミネーション
 3 瀬戸大橋
  (1)道路と鉄道を渡す長大橋梁群
  (2)海中基礎建設のための新たな工法
  (3)水中発破
  (4)水中掘削
  (5)鋼製ケーソンの製作設置
  (6)長大吊橋に高速鉄道を通す
 4 来島海峡大橋
  (1)難関の海峡
  (2)各種基礎形式のオンパレード
  (3)多島海美に生える6本の塔
  (4)自由自在のハイテク台風

第4章 長大斜張橋の建設
 1 斜張橋の作り方
  (1)斜張橋と吊橋
  (2)斜張橋のバリエーション
  (3)塔−精巧な積み木細工−
  (4)桁、ケーブル−同時並行に架設−
 2 多々羅大橋
  (1)吊橋から世界最長の斜張橋へ
  (2)逆Y字型の美
  (3)架設中に台風襲来
  (4)長いケーブルの弱み

第5章 橋を守る
 1 橋の寿命
 2 長大橋は精密作品
 3 橋は動いている
 4 錆との戦い
  (1)塗装で守る
  (2)ケーブルを守る
  (3)箱桁内部の錆を防ぐ
  (4)ケーソンを錆から守る
 5 コンクリートは永遠か
 6 長大橋点検の実態

第6章 世界に広がる本四連絡橋技術
 1 専門家派遣
 2 技術協力要請
 3 研修員、偵察団体などの受け入れ
 4 姉妹橋

第7章 架橋効果
 1 交通条件の改善と交流の拡大
  (1)本四間の交通条件の改善
  (2)交流圏域の拡大
  (3)交流人口の増加
  (4)物流の増加
  (5)自動車交通量の増加
 2 架橋効果の具体例
  (1)ゆとりの創出
  (2)安全性・安心感の向上
  (3)新鮮な農水産物が消費地に
  (4)通勤・通学やレジャー行動の広域化
  (5)観光入込み客の増加
  (6)スーパー、コンビニの出店
  (7)県民所得の格差是正
 3 架橋効果の定量的把握
  (1)地域経済が受ける効果(間接効果)
  (2)直接利用する人が受ける効果(直接効果)
 4 架橋効果のまとめ


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