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ヤマセと冷害−東北稲作のあゆみ− 気象ブックス010

ヤマセ地帯で安定した「米作り」は可能なのだろうか?冷害の歴史や対策を検証し、ヤマセを活用した冷害のない農業の可能性を探る。 【はじめに】より  江戸時代は寒冷な気候期(小氷期)といわれ、地球全体が今日より二?三℃低温で、冷夏の規模も大きく冷害が頻発し、年間で数十万人の餓死者があった。その後の近代的な国家体制のもとでは、大和神話に基づく国粋主義が隆盛を極め「米作り」が日本人の天分とされた。気候条件による適地適作を論ずるよりも土地があれば先ず「米作り」が精神論として求められ、冷害の危険地帯である北日本へ稲作は拡大の一途を辿る。戦後の食糧不足の時代にも食糧増産=米の増産とする戦前の思想が引き継がれ昭和四〇年代まで続いた。  一方、気象観測は近代国家の事業として始まり、冷害をもたらす冷夏の発生機構やその特質に関する研究にも取り組んできた。今日では、東北地方に冷害をもたらすヤマセの襲来は気……

昆虫と気象 気象ブックス011

日常の気象から地球温暖化まで、昆虫の大発生、害虫管理、昆虫媒介病などに及ぼす影響を新しい切り口で解明した最先端の書。 【まえがき】より 本書の表題はおそらく近代の応用昆虫学でも最も古くてかつ新しい問題である。後に英国のバッタ対策センター(ALRC)の初代所長に任命されたB・P・ウバロフ博士が『昆虫と気候』という本を世に出したのが1931年で、その当時すでに少なくとも1300もの関連の論文が世界で公刊されていた。ウバロフはそれを総括することによって、害虫の発生を予知し、これを駆除することに役立てたいと述べている。日本でもこの流れを汲んで官製の発生予察事業が発足し、研究予算の乏しい第二次大戦後の病害虫防除の研究と事業を支えてきた。戦後の食糧不足を背景に、発生予察事業は農薬散布のための病害虫の発生時期(可能なれば発生量も)の予知とその早期発見に重点が置かれた。しかしウバロフが「気象条件……

富士山測候所物語 気象ブックス012

明治時代以降、過酷な自然環境で続けられている富士山頂での気象観測。命をかけた人々の熱意と富士山測候所の全歴史を熱く伝える物語。 【まえがき】より  標高三七七六?、日本一高い山といえば富士山、この山頂に測候所があるのは誰でもご存じのことと思う。富士山頂では天気の良い日に関東の平野から房総、相模灘、伊豆半島、さらに御前崎の西方まで見えることもまれではない。雲を下に見るのは普通のことである。雷の中に入ることはあるが、雷を下に聞くことはあまりない。遠くに聞くときはある。雨と雪は横から風と共に吹き上がってくる。八月に雪が降る。気象は激しく変化して平地では到底想像することができないほど厳しい。  富士山は独立孤峰であるから、自由大気の流れに曝されている山頂で気象の観測をすれば、高層の気象がよく分かり、天気予報に大いに役立つではないか、と誰もが考えたことであった。このような考えは外国にもあり……

台風と闘った観測船 気象ブックス013

日本の台風災害の軽減に多大な貢献をした定点観測船の活躍を中心に描く。苛酷な環境下の興味深いエピソードや貴重な資料を交えて綴る。 【まえがき】より 一九一二年(明治四五年)四月一〇日に北西大西洋で起こったタイタニック号の海難は、一四九〇名が亡くなったことが強調して語られている。しかし、全員が死亡していたかもしれないところを、積んでいた最新機器の無線通信機によって、七一一名が救助されている。このため、無線通信機を積む船が増え、船で観測したデータをすばやく気象台等に送り、逆に気象台等から危険な状態にあう可能性があるかどうかの情報をすばやく受けるという気象事業が世界的に急速に発展している。日本でも、一九二〇年に海洋気象台ができ、それまでの陸上に加えて、海上の予報にも力が入れられた。その後、日米間に暗雲が立ちこめるなか、三陸沖で日本海軍が台風に巻き込まれた。このときに得られた知識は隠され、南……

雨の科学−雲をつかむ話− 気象ブックス015

気象の身近な関心事「雨と雲」の教養書。雨粒から地球規模までさまざまな空間スケールで雨をとらえ、自然環境に大切な現象の仕組を学ぶ。 【まえがき】より 雲が空をふわふわと漂いながら、その形を様々に変えていく様を見て、日本では昔から、物事が漠然としてとらえどころがないことの例えとして、「雲をつかむような話」と言ってきました。また、青空が見えていた空に黒い雲が現れ、見る間に空一面を覆うようになり、激しい雨が降ってくることもあり、変化が激しいことを、「雲となり、雨となる」と言ってきました。 雨は日常見慣れた現象です。そして、お天気雨という言葉はあるものの、誰もが雲から雨が降ってくることをよく知っています。しかし、子供達に、「空からどうしてあんなに雨が降ってくるの?」、「どうして雨は滝のようにつながって落ちてこないで、粒になって落ちてくるの?」、「どうして暑い夏に、雨でなくて、氷でできている……

気象のことば 科学のこころ 気象ブックス017

気象学を含む自然科学を人類文化の一形態としてとらえ、その歴史と考え方を古今東西の言葉を手がかりに考察したユニークな科学随筆集。 【まえがき】より  なにごとによらず、自分の目で物事を見つめそれについて様々な思いを巡らせるのは本当に楽しいことである。或いはいろいろな本を読んだり他人の話を聞いたりして、自分が今までに知らなかった世界に触れるのも知的好奇心を大いに満足させてくれる。そしてさらに、このように時間をかけて貯えてきた数多くの知識や経験を、もう一度自分の好みに合った方法で組み立て直してみると、そこにはこころ豊かな新しい世界が生まれてくる。  この場合、哲学などといえばいかにも大袈裟に聞こえるが、そもそも日本語で哲学と訳された言葉の本来の意味は、ギリシャ語で「考えること(sophy)が好き(phil)」というきわめてわかりやすいものだったはずである。  この事情は科学についても……

黄砂の科学 気象ブックス018

毎年のように黄砂が頻発し話題となっています。これは中国内陸部のタクラマカン砂漠や黄土高原などから舞い上がった砂ぼこりが、上空の風に乗って日本に飛来するものです。黄砂の移動の様子は、衛星写真などからも把握され、関心を呼んでいます。  日本では車や洗濯物が汚れる程度の被害ですが、発生源に近い中国や韓国では雪のように降り積もり、交通、農業、健康などへの被害が甚大で、黄砂は気象災害としてとらえられているといいます。  黄砂の発生には中国内陸部の砂漠化が深く関わっているとのことです。また,本書によると,近年の黄砂被害の大規模化は過放牧,過耕作,森林伐採などの人為的側面もあるといいます。  著者は名古屋大学教授で、長年黄砂の研究に携わり、中国などで現地調査を重ねてきました。黄砂の発生現場から日本への移動経路、黄砂発生の背景にある大陸内陸部の環境変化まで、ひとつひとつ具体例を取り上げ、丁寧に案内し……

気象の遠近法−グローバル循環の見かた− 気象ブックス001

日々の天気を運んでくる地球をめぐる大きな風。その美しい姿の奥にひそむ大自然の摂理。日常見なれた天気天候をグローバルな視点に立った遠近法で見なおす楽しみを、プロ野球や文学美術などの身近なたとえ話から始めてやさしく語りかける新しい気象観。 【目次】 序  章 遠近法の楽しみ  一 野球の見かた  二 パースペクティヴということ  三 さまざまな気象の見かた  四 気象の遠近法 第一章 大気のグローバル循環  一 グローバルということ  二 グローバル循環  三 大航海時代  四 ハレーの風系図  五 ハレーの説  六 地球は回っている  七 ハドレー循環  八 グローバル循環の姿  九 成層圏と中間圏の風 第二章 地球の温度  一 暑さ寒さ  二 気温のグローバル分布  三 気温を決めるもの  四 熱のバランス  五 地球の温度  六 ……

風と風車のはなし−古くて新しいクリーンエネルギー− 気象ブックス019

世界にはさまざまな風が吹いています。ハリケーンもあり、台風もあります。心地よく肌を撫でてゆく春風もあれば、一瞬にして地上の全てを巻き上げる突風もあります。毎日の気象情報では気温、降水量の他に「風力・風向き」が予報されています。  風は気温や降水量に比べれば日々の生活にそれほど深い関わりはないように見えます。ところが、本書によると、風は私たちの生活に無縁なものではなくなります。日本には「○○風」とか「○○おろし」のように風に地域独特の名前が付いていたり、「風情がある」とか「風雅を好む」などのような風に関する言葉や、風に関する地名が多くあります。世界でも農作物から建築物にまで風の影響が及んでいるといいます。  目には見えない風にも名前があり、特有の性格があり、人間の衣食住や文化にまで深い関わりがあること改めて教えてくれます。  著者は学生時代から風に興味を持ち、長年にわたって世界各地で観……

宇宙と地球環境 気象ブックス002

天文学者が見た地球環境成り立ちの歴史。気象・気候を素材に、地球とは何か、宇宙とは何かを説く。地球の誕生から気象学の確立まで。 【目次】 第一章 気象と気候  一 気候帯  二 大気の循環  三 歴史時代の気候変動  四 縄文時代  五 氷河時代の発見  六 地質時代の気候 第二章 地球の大気  一 二酸化炭素の増加  二 水蒸気が鍵  三 地球温暖化と「事実」  四 生物の発生と資源枯渇  五 酸素と生物  六 まさかより、もしもの備え 第三章 年代測定  一 元素の年齢  二 地球の誕生  三 隕石の年代推定法  四 地層の年齢  五 大気と海の年齢  六 炭素14の年代  七 木の年輪 第四章 宇宙線  一 宇宙線の発見  二 宇宙線のエネルギー  三 宇宙線観測所  四 宇宙線の起源  五 宇宙線の時間変化 ……
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