著者名: | 一般社団法人 大日本水産会 編 |
ISBN: | 978-4-425-83131-9 |
発行年月日: | 2020/6/28 |
サイズ/頁数: | A5判 160頁 |
在庫状況: | 品切れ |
価格 | ¥2,640円(税込) |
資源の持続性や生態系に配慮して漁獲・生産された水産物であることの証明である水産エコラベル。
本書は日本発の「MEL」をはじめ国内外で活動している10種類の水産エコラベルを紹介し、その取り組みをさらに推進していこうとするものです。
【巻頭言】
2007年、本会がマリン・エコラベル・ジャパン(MEL)を立ち上げてから13年が経過しました。2016年12月からは、これを一般社団法人として本会から独立させ、垣添さんを会長とするマリン・エコラベル・ジャパン協議会におまかせして、もう4年となりました。
設立当初から10年の間は、本会の努力不足は否めないところながら、MELのみならずそもそも我が国における水産エコラベルの普及が進まない状況にありましたが、持続可能な開発目標を定める国連によるSDGsの提唱、累次のオリンピック・パラリンピック選手村における持続性に配慮した食材の調達基準の設定、これに2018 年、漁業法の70年ぶりの改正により資源管理の拡大と強化が加わり、一気にこの水産エコラベルの普及・認知に拍車がかかってまいりました。
さて、資源の持続的利用という世界的な趨勢の中で、持続的な漁業を推進するため、我が国においては、行政の定める一定の枠組みに従い資源の管理が行われている訳ですが、各生産者は自発的な取り組みによって資源の維持培養につながる漁場や環境に優しい漁業を実現しています。
この水産エコラベルという制度は、そのことを一般消費者に知ってもらい、ラベルの付された水産物は生態系や資源の持続性に配慮して漁獲された水産物であるということを証明するものであり、消費者その水産物を購入してもらうことで、その取り組みを間接的に支援し資源管理を更に推進していこうとするものです。
そこで本書発刊の趣旨ですが、業界の皆さんから一般の方々に至るまで、いろいろな方々に本書を手に取っていただき、この水産エコラベルという制度の意義や各スキームの概要を更に知っていただくことで、社会全般における認知の向上と普及に資するとともに、このことにより、我が国の水産業の中央団体である大日本水産会としても、水産資源の持続的利用に寄与して行ければと期待するところです。
もちろん、本会が発祥である、日本発の水産エコラベルとしてのMEL に関する記述が主となっていますが、我が国でも先行して活動されていた海外発の水産エコラベルに関しても、専門の先生により客観的にしっかりと執筆頂いております。
また、各ラベルについての執筆者が異なるため、若干、記述のトーンが異なることは否めませんが、本書をご覧になることで、必ずや水産エコラベルへの理解を深めていただけるものと考えております。
蛇足になりますが、東日本大震災から10年目、未だ部分的な災禍を残しながらも、ようやくその復旧・復興が一定の形になってきた現在、また新たに新型コロナ感染症による危機が訪れています。水産業界もその真っただ中にあり、魚価の低落等厳しい経営難に見舞われているところですが、本書が発刊される頃にはこれが反転し、「水産日本の復活」に向けて、業界挙げて邁進していることを切に期待するところです。
2020年5月
一般社団法人 大日本水産会
会長 白須敏朗
【目次】
水産エコラベルに関するQ&A
1. 水産エコラベルとは
2. 認証取得について
3. 漁業との関係
4. 養殖業との関係
5. 流通・加工業との関係
I なぜ認証制度が必要なのか
―世界と日本の水産資源の持続的利用・生態系保全認証制度の経緯―
1.「長い旅」のはじまり
2.エコラベルという考え方
3.FAOによる「水産エコラベルのためのガイドライン」の採択
4.FAOが乗り出す前
5.認証制度の確立
6.日本での動き
7.GSSIの設立
8.さらなる動き
9.水産エコラベル認証が直面する課題
10.まだ見えていないこと
11.GSSI によるMEL の承認
コラム1 なぜエコラベルが欧米の消費者に支持されるのか
II 認証制度の概要と関係性
Ⅱ-1 MEL:マリン・エコラベル・ジャパン
(Marine Eco-Label Japan)
1.MEL が考えたこと
2.日本発の世界に認められる水産エコラベルをつくる
(1) 使命
(2) 基本的な考え方
(3) 日本社会に定着させるための要件
(4) 水産物のもう一つの価値
3.組織概要
(1) 目的
(2) 業務
(3) 意義申し立て及び苦情等処理規程
(4) ロゴマーク
(5) スキームの概要図
4.漁業認定
5.養殖認定
6.流通加工(CoC)認証
7.認証を取得するには
8.認証取得事業者実績
9.ロゴマーク使用実績
10.認証取得と維持にかかる費用
11.ロゴマークの使用料
12.相互認証など他のスキームとの関係
13.認証機関について
14.認証の一時停止・縮小・終了
15.MEL が継続して取り組むこと
Ⅱ-2 AEL:養殖エコラベル
(Aquaclture Eco-Label)
1.AEL 設立の背景
2.AEL の組織(日本食育者協会)について
3.スキームの概要
(1) 機関構造
(2) AEL の体制図
Ⅱ-3 SCSA:持続可能な水産養殖のための種苗認証協議会
(Seedlings Council for Sustainable Aquaculture)
1.設立の経緯と意義
2.我が国の優位性を活かすSCSA認証
3.SCSA 認証の設計
4.認証基準とその特徴
(1) 認証の仕組みとプログラム
(2) 認証の審査
(3) 審査費用
(4) 認証事業者
5.事業内容
6.人工種苗生産技術による養殖法がJIS(日本農林規格)に
7.SCSA 協議会の将来構想
8.今後への期待
Ⅱ-4 MSC:海洋管理協会
(Marine Stewardship Council)
1.MSC 設立の背景
2.組織概要
3.スキームの概要
コラム2 FAOのエコラベル・ガイドライン
4.漁業認証の基準
5.漁業認証の単位
6.漁業認証の審査費用の負担
7.CoC 認証の規格
8.MSC エコラベル
9.認証件数の伸び
コラム3 FIP:漁業改善プロジェクト
Ⅱ-5 ASC:水産養殖管理協議会
(Aquaculture Stewardship Council)
1.ASC 設立の背景
コラム4 IDH:持続可能な貿易イニシアティブ
2.組織概要
3.スキームの概要
コラム5 ISO とISEAL に基づく制度
4.養殖認証の基準
5.CoC 認証の基準
6.ロゴマーク
Ⅱ-6 BAP:最良の養殖の実践
(Best Aquaculture Practice)
1.BAP 設立の背景
2.組織概要
3.スキームの概要
4.養殖認証の基準
5.CoC 認証の基準
6.ロゴマーク
Ⅱ-7 グローバルG.A.P.:良い農業・養殖の実践
(Global Good Agriculture/Aquaculture Practice)
1.グローバルG.A.P. 設立の背景
2.組織概要
3.スキームの概要
4.養殖認証の基準
5.CoC 認証の基準
6.ロゴマーク
Ⅱ-8 RFM:アラスカの責任ある漁業管理
(Responsible Fisheries Management)
1.RFM 設立の背景
2.ASMI の組織概要
3.スキームの概要
4.漁業認証の基準
5.漁業認証の単位
6.漁業認証審査の費用の負担
7.CoC 認証の基準
8.ロゴマーク
Ⅱ-9 IRF:アイスランド責任ある漁業
(Icaland Responsible Fisheries)
1.IRF 設立の背景
2.IRF 財団及びプロモート・アイスランドの組織概要
3.スキームの概要
4.漁業認証の基準
5.漁業認証の単位
6.漁業認証審査の費用の負担
7.CoC 認証の基準
8.ロゴマーク
Ⅱ-10 G.U.L.F.RFM:メキシコ湾岸の責任ある漁業管理
(G.U.L.F. Responsible Fisheries Management)
1.G.U.L.F.RFM 設立の背景
2.ルイジアナ政府及びオードボン水族館の組織概要
3.漁業認証の基準
4.漁業認証の単位
5.漁業認証審査の費用の負担
6.CoC 認証の基準
7.ロゴマーク
Ⅲ 認証機関と認定機関
1.認証機関と認定機関の意義
2.製品認証について
3.認証機関
(1) 公益社団法人日本水産資源保護協会
(2) 公益財団法人海洋生物環境研究所(MERI)
4.認定機関
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