ミドリムシの仲間がつくる地球環境と健康 ーシアノバクテリア・緑藻・ユーグレナのパワー ー


978-4-425-83081-7
著者名:竹中裕行 著
ISBN:978-4-425-83081-7
発行年月日:2017/7/28
サイズ/頁数:四六判 192頁
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価格¥1,650円(税込)
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『ミドリムシの仲間がつくる地球環境と健康』
健康食品やバイオ燃料に利用されているのはブームとなっているミドリムシだけではありません。
葉緑体をもち光合成をする単細胞生物の仲間(マイクロアルジェ)は、古くはレンガやダイナマイトとなり、現在は健康食品や医薬品の開発に、そして近未来の食料や石油の代替品、環境改善に利用するた
めの研究が進んでいます。
農水産業では、放射性物質の除染やCO2削減、水質・土壌改善が期待でき、環境を汚さない家畜の餌に利用できます。
また工業分野では、バイオ燃料・バイオプラスチックの原料になります。
そして医療・健康分野では、人間の免疫力を高めるほか、強い抗酸化作用や紫外線を防御する等の非常に優れた生理作用をもつ種類が発見されています。
それらからは、現代病ともいえるガンやアレルギー、ストレス、生活習慣病、抗生物質が効かない耐性菌に効果がある成分などが見つかりました。
24億年前に誕生してから酸素を供給し続け、すべての生物の食物連鎖のベースとなり、地球を生命あふれる美しい星につくりかえたマイクロアルジェですが、一般的にはクロレラやミドリムシを除くとほとんど知られていません。
それらがどんな生物なのか、どこに生息しているのか、これまでの人間との関わり、それらがもつパワーと利用法、未来への展望までを、専門用語に頼らず、写真やイラストをつかって誰にでもわかるようにまとめました。「意外と身近な存在なんだ! 」と思われるかもしれません。

【はじめに】より −マイクロアルジェは21 世紀の宝
マイクロアルジェとはなにか「マイクロアルジェ」とは、“マイクロ”(micro:微細な・極小な)と“アルジェ”(algae:藻類)を合わせた英語で、日本語では「微細藻類」となります。またマイクロの反対語のマ4クロ44(macro:大きい・巨大)なアルジェもあります。私たちがよく食べているコンブ、ワカメ、ノリなどはマクロアルジェ(大型藻類)といいます。
ここ数年、マイクロアルジェではユーグレナ(ミドリムシ)がブームとなって、名前が広く知られるようになりました。しかし、名前は知っていても、それがどんな生物なのかをほとんどの方はご存知ないようです。
ユーグレナ以外のマイクロアルジェの研究・開発もこの10数年の間,急速に進んでいます。ユーグレナの健康食品としての利用が急に広まり、またバイオ燃料原料としての計画がメディアで報じられるようになるとともに「マイクロアルジェ」という言葉も知られるようになりました。
「藻類」とは、酸素を発生する光合成を行うすべての真核生物の中から、陸上の大型植物(種子植物、シダ植物、コケ植物)を除いた残りのすべての生物を指します。そして、藻類の中の単細胞生物を基本的にマイクロアルジェとしています。
酸素発生型光合成を最初に発明した生物は真正細菌の「シアノバクテリア(藍色細菌)」で、以前は「藍藻」とも呼ばれていましたが、遺伝子解析による分類学の急速な発展によって12頁の図のように、大分類(ドメイン)が異なることが分かりました。しかし、本書では「酸素を発生する光合成行う単細胞生物」ということで、シアノバクテリアもマイクロアルジェの仲間としました。
地球上のどこにでもいるマイクロアルジェと一言で片づけてしまいがちですが、実に多くの種類があります。現在までに、世界中で数万種が記載されており、実際には30万種以上あるのではないかと言われています。濃い緑色に輝いているものや血のように真っ赤な色をしているもの、鮮やかな黄色や落ち着いた藍色をしているものもあります。
種によって性質や姿形や生き方もいろいろです。鞭のような鞭毛をもって水中を自由に動き回ることができるものがいれば、水中をただ流され漂うものもいます。他の生き物の表面にくっついて生きているものもあれば、他の生物の中にまで入り込んで仲良く共生しているものもあります。
生きている環境も様々です。およそ生き物が生活できる環境であれば、ほとんどどこにでもマイクロアルジェを見つけることができます。分布域は海や湖、沼や川などの水中やどちらかといえば水分の多いところに集中していますが、中には80℃を超える高温の温泉水の中や、一年中ほとんど雨の降らない沙漠地帯、また極寒の氷雪の上で生育するものさえあります。
生命の星をつくり、未来をつくる24 億年前から今日にいたるまで、マイクロアルジェは太陽のエネルギーを吸収し、光合成を行って酸素を供給し続けています。現在の地球では、生物による二酸化炭素の固定量は年間1,000 億トン以上ですが、その約50%を海洋のマイクロアルジェが担っているといわれます。また、食物連鎖の主要な基盤となっているのも、海に漂う植物プランクトン、すなわちマイクロアルジェです。二酸化炭素が大気の大部分を占めていた地球を、生命があふれる美しい星につくりあげたのは微小なマイクロアルジェでした。
2003年に『生命の源マイクロアルジェ』という本を出版して「マイクロアルジェ」について述べました。それから14年が経過しましたが、現在では多くの研究者がマイクロアルジェの24億年の営みに注目し、医学・薬学・理学・工学・農学と、それぞれのテーマに沿った様々な分野で日夜研究に取り組んでいます。
特に期待されているのが、人間の健康、地球環境の保護・保全、資源問題の解決など、21世紀において最も重要と考えられている課題に対してのマイクロアルジェの働きです。
化石燃料に依存した20世紀の文明は人間社会を大いに発展させました。しかし、その一方で、環境破壊など「負の遺産」を残しました。21世紀は、これ以上地球環境を悪化させてはいけません。化石燃料によって発展した「石油科学文明」に対して、私たちは21世紀を太陽エネルギーによる「植物科学文明」と考え、その構築を提唱してきました。そして、その最も有力な植物がマイクロアルジェだと考えています。
マイクロアルジェは21 世紀の宝なのです。
本書では、マイクロアルジェの可能性について、あえて専門的なデータに深入りせず、広く断片的に説明するように心がけました。その情報源はすべて科学専門誌に発表された学術的な研究内容ばかりです。マイクロアルジェの24億年の営みを知っていただくことが、この21世紀において、私たち人間がどのように生きてゆくのかを考えるヒントになるのではないかと思っています。
さらに、中高生の皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思い、内容を理解しやすいようにイラストを多く掲載しました。本書を通して、自然科学への興味をもってくだされば、そして、将来科学者になろうと思ってくださる人が一人でもできればうれしく思います。

2017年6月
マイクロアルジェコーポレーション株式会社
代表取締役社長  竹中裕行

【目次】

 1.プロローグ ―生命の星「地球」の誕生
 ■生物の誕生
 ■酸素は24 億年前につくられはじめた
 ■鉄はシアノバクテリアからの贈り物
 (コラム)鉄資源はこうしてつくられた
 ■オゾン層と陸上生物の出現
  詩「酸素のある大気」石川依久子
  生物の系統・分類略図

1 マイクロアルジェはこんな生物  2.生物の進化と生態系の要 共生と食物連鎖   ■他の生物と助け合って進化する
  ■葉緑体は共生・進化の証し
  ■ミクロコズム―小さな生態系を維持する
  ■太陽エネルギーを生命エネルギーに換える
 3.マイクロアルジェと呼ばれる生物 シアノバクテリア   ■ノストック(ネンジュモ)
  ■スイゼンジノリ
  ■スピルリナ(アルスロスピラ)
  ■ノストコプシス
 4.マイクロアルジェと呼ばれる生物 灰色植物    ―灰色藻
 5.マイクロアルジェと呼ばれる生物 紅色植物    ―紅 藻
 6.マイクロアルジェと呼ばれる生物 緑色植物    ―プラシノ藻
   ―シャジクモ藻
   ―トレボウクシア藻
  ■クロレラ
   ―緑 藻
  ■デュナリエラ
  ■ヘマトコッカス
 7.マイ クロアルジェと呼ばれる生物    ユーグレナ,珪藻類,その他
  ■ユーグレナ(ミドリムシ)
  ■珪藻類
  ■クロララクニオン藻類
  ■真眼点藻類
  ■円石藻
 8.マイクロアルジェを増やす 大量栽培への道   ■利用の歴史―レンガからダイナマイトまで
  ■優秀なマイクロアルジェを探す
  ■栽培の歴史
  ■大量栽培が利用実現の鍵

2 マイクロアルジェのいろいろな利用法   ■マイクロアルジェを広く・無駄なく利用する
  ■マイクロアルジェの応用―3 つのバイオ領域―
 9.農水産業・環境分野 グリーンバイオ領域   ■放射性物質除染の試み
  ■二酸化炭素を削減する
  ■水質改善と金属イオン処理で環境保全
  ■農地の土壌改善・家畜の餌飼料
 10.工業分野 ホワイトバイオ領域   ■バイオ燃料を生み出すマイクロアルジェ
  ■土に還るバイオプラスチック
 11.医療・健康分野 ? 免疫:人体の自己防衛機構
  ■自然治癒力
  ■飢餓・けが・感染症
  ■アレルギー:免疫異常
  ■免疫システムにカルシウムは必須
  ■腸管免疫
  ■自然免疫
  ■獲得免疫
 12.医療・健康分野 ? レッドバイオ領域   ■藻食のすすめ
  ■活性酸素から身体を守る抗酸化酵素
  ■抗酸化栄養素のエース
  ■マイクロアルジェの栄養素と食品
  ■摂りすぎに注意!リノール酸
  ■化粧品への利用と医薬品開発

3 マイクロアルジェの生理機能  13.βカロテンのパワーが活きる デュナリエラ   ■紫外線を防御する効果
  ■期待される抗がん作用
  ■ストレス性胃潰瘍を予防する
  ■がんと肥満を抑制する物質エボジアミン
 14.アスタキサンチンで疲れ知らず ヘマトコッカス
  ■アスタキサンチンに抗酸化と痩身効果
  ■脳と眼のアンチエイジング
 15.生理物質パラミロンが専売特許 ユーグレナ(ミドリムシ)   ■血圧降下作用と血糖値を抑えるはたらき
  ■エイズやがん,アトピーなどに有効「パラミロン」
 16.ウイ ルスに負けない体をつくる   スピルリナ(アルスロスピア)
  ■抗ウイルス作用…
  ■免疫機能を強化してエイズに効果
 17.生活習慣病対策 クロレラ   ■生活習慣病対策の草分け…
  ■日本で発展したクロレラ免疫研究
  ■善玉菌の味方クロレラCGF
 18.コレステロールと免疫活性 イシクラゲ/髪菜   ■イシクラゲの多様な生理作用
  ■安全な日焼け止めから白血病治療まで
  ■過酷な沙漠で育つ髪菜の生命力の秘密
  ■最強の抗ウイルス多糖類ノストフラン
 19.新し い生理作用が期待できる   有望なマイクロアルジェたち
  ■最悪の耐性菌MRSA への抗菌効果プレウロクリシス
  ■スイゼンジノリに多糖類サクラン発見
  ■ノストコプシスでアレルギーと血糖値を抑制
  ■将来有望なマイクロアルジェたち

4 宇宙と植物科学文明の未来へ  20.未来に馳せる夢 宇宙開発とマイクロアルジェ   ■スペースコロニーで暮らす<
  ■テラフォーミング(惑星地球化計画)
 21.エピ ローグ 植物科学文明の時代を拓く―アルガルネサンス
カテゴリー:水産 タグ:バイオ バクテリア マイクロアルジェ ミドリムシ ユーグレナ 微生物  
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