設計法を学ぶ 飛行機の安定性と操縦性ー知らないと設計できない改善のための17の方法


978-4-425-87021-9
著者名:片柳亮二 著
ISBN:978-4-425-87021-9
発行年月日:2015/8/25
サイズ/頁数:A5判 184頁
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価格¥2,860円(税込)
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本書では、飛行機の安定性と操縦性の設計法について、このような例題を通して改善方法をわかりやすく解説しています。スキルアップを目指す技術者や、これから飛行機の運動を学ぼうとしている人にとって必読の1冊です。

【はじめに】より  著者は長らく飛行機の設計の仕事に携わってきた。専門は飛行機の安定性と操縦性の解析である。これは、飛行機の尾翼や操縦舵面を設計する仕事である。飛行機は主翼により機体重量を支え、エンジンにより抗力と釣り合って飛行するわけであるが、この釣合方法を工夫することによって効率的に長距離を飛べるか(巡航性能)、短い滑走路で飛べるか(離着陸性能)など、いわゆる飛行性能の良し悪しが決まる。この機体上下および前後の釣合飛行は、力学的には単純な質点運動(重心の並進運動)として取り扱われる。しかし、これだけでは飛行機を安定に飛行させることはできない。飛行機は重心の動きだけではなく、重心まわりの回転運動を伴うからである。この重心まわりの回転を釣り合わせるのが尾翼と操縦舵面である。回転運動により空中での飛行機の姿勢が変化すると、重力が作用する方向が変化して機体の上下、前後および左右の釣り合いが崩れて新たな運動が生じる。このように、飛行機の安定性と操縦性の問題を解くには、3次元空間において重心が3方向に移動する運動、重心まわりに回転する3つの運動、および機体姿勢を決める3つの姿勢角の合計9つの運動を解くことになり、その解は複雑である。さらに、問題を難しくしているのは、パイロットの操縦である。単に釣り合って飛んでいるだけではなく、パイロットの意図通りに機体が運動できなければ良い飛行機とはいえない。このように飛行機の安定性と操縦性の問題の奥は深い。
 著者はこれまで実際の飛行機開発プロジェクトをいくつか経験しているが、最初に経験したプロジェクトではまさに安定性と操縦性の実担当として無我夢中であったことを想い出す。いまでは懐かしい想い出であるが、これまで経験してきたことをまとめておくことは重要であると考えている。それは、安定性と操縦性の良し悪しを解析する方法を説明した本はあるが、それを改善するにはどうしたらよいか具体的に書かれている本がほとんどないからである。改善策を見いだすには実際に解析し、それを改善するための種々の案を数値的に確かめてみないとわからない。本書は、例題を通して飛行機の安定性と操縦性の解析と改善の方法についてまとめたものである。これから飛行機の運動について学ぼうと思っている方の参考になれば幸いである。
 最後に、本書の執筆に際しまして、特段のご尽力をいただいた成山堂書店の小川典子社長ならびに編集グループの方々にお礼申し上げます。

平成27年8月
片柳亮二

【目次】
第1章 飛行機の運動方程式の基礎
 1.1 縦系の運動方程式と例題データ
 1.2 横・方向系の運動方程式と例題データ

第2章 縦系の安定性と操縦性の改善  例題2.1 縦系の運動モードの改善
  改善法その1 縦系の長周期モードの減衰比の改善
  改善法その2 縦系の短周期モードの減衰比の改善
  改善法その3 縦系の短周期モードの固有角振動数の改善
 例題2.2 長周期モードの飛行経路安定の改善
  改善法その4 縦系の飛行経路安定の改善
 例題2.3 短周期モードの操舵力の勾配と加速感度の改善
  改善法その5 短周期モードの操舵力の勾配を大きくするには
  改善法その6 短周期モードの加速感度を大きくするには
 例題2.4 短周期モードのCAP 特性の改善
  改善法その7 短周期モードのCAP を大きくするには
 例題2.5 縦系の安定性と操縦性の改善(まとめ)

第3章 横・方向系の安定性と操縦性の改善  例題3.1 横・方向系の運動モードの改善
  改善法その8 ダッチロールモードの固有角振動数の改善
  改善法その9 ダッチロールモードの減衰比の改善
  改善法その10 ロールモードの時定数の改善
  改善法その11 スパイラルモードの改善
 例題3.2 低速でのロール性能の改善
  改善法その12 ロール性能の改善
 例題3.3 ダッチロール極と?/δaの零点の位置関係
 例題3.4 パイロットによるロール角制御特性の改善
  改善法その13 パイロットによるロール角制御の改善
 例題3.5 エルロン操舵時の横滑り角の応答特性の改善
  改善法その14 エルロン操舵時の横滑り角の応答特性の改善
 例題3.6 エルロン操舵時のロール角速度振動の改善
  改善法その15 エルロン操舵時のロール角速度振動の改善
 例題3.7 定常横滑り能力の改善
  改善法その16 定常横滑り能力の改善
 例題3.8 エンジン故障時の釣り合い能力の改善
  改善法その17 エンジン故障時の釣り合い能力の改善
 例題3.9 横・方向系の安定性と操縦性の改善(まとめ)

第4章 安定性と操縦性の諸問題  例題4.1 全翼機の安定性と操縦性
 例題4.2 先尾翼機の力の釣り合いは通常機と何が異なるのか
 例題4.3 垂直飛行姿勢をオイラー角で表すことについて
 例題4.4 垂直時の姿勢をオイラー角で表す際の数値計算上の問題
 例題4.5 クォータニオンについて
 例題4.6 航空機の運動時のオイラー角とクォータニオンとの比較

付録設計評価基準について  付.1 飛行性の設計基準について
 付.2 飛行性評価基準について
カテゴリー:航空 
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