南極観測船「宗谷」航海記


978-4-425-94831-4
著者名:南極OB会編集委員会 編
ISBN:978-4-425-94831-4
発行年月日:2014/12/15
サイズ/頁数:A5判 280頁
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価格¥2,750円(税込)
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「宗谷」乗組員・観測隊員が初めて共同執筆でまとめた、「宗谷」各部署の業務、船内生活、観測の記録。オビ号、バートン・アイランド号による救出、タロ・ジロのエピソードなども詳しく紹介。

「はじめに」より  南極に日本隊を送ろうという話が出た今から60年ほど前の日本は、敗戦、占領の時代を終え、独立して間もない頃だった。
 IGY(国際地球観測年)に参加して国際社会に入り、同時に行われる南極国際観測に加わり、未知の世界に挑戦するという夢のような快挙に、日本中が沸き立った。
 第一次隊が出発した1956年11月8日、小雨降る東京・晴海の広いふ頭は、見送りの人であふれた。五色のテープが交錯し、日の丸の小旗が打ち振られた。「出港用意」「もやい放せ」、午前11時出港、港内停泊中の各船から汽笛が鳴りひびき、「WAY」(ご安航を祈る)の旗が掲げられた。
 日本隊の割り当てられたプリンスハラルド海岸のリュツォホルム 湾あたりは、最も厳しい氷海域とされていた。これに挑む日本の船は、海上保安庁の灯台補給船を改造した「宗谷」で、砕氷能力は1mといわれた。
 しかし松本満次船長以下乗組員は、情報も記録もないこの魔の氷海に、ひるむことなく突入した。氷の薄い所を探し、進入できる所を求めてひたすら南下、大陸に近い東オングル島という岩島に上陸、隊員・乗組員一体となって物資を運び、基地を建設した。
 「昭和基地」と命名、11名の初の越冬隊を成立させた。1年目にしてこの快挙であった。
 二次隊は氷海に入って1週間目に海氷に羽交い絞めされ、米艦バートン・アイランド号の救援を受けて一次の越冬隊を収容するという厳しい体験をした。
 このことから三次隊は「宗谷」を”ヘリコプター空母”に改造、大型ヘリ2機による空輸方式に大転換した。この方式は成功し、基地を再開、越冬隊が成立、一次隊がやむなく基地に残したからふと犬のうちタロとジロの兄弟犬が生存していたという明るいニュースまで手にすることができた。
 空輸方式を成功させた「宗谷」は、六次でその任務を終えた。そのあと一時中断、代わって海上自衛隊の運用となり、「ふじ」「しらせ?」「しらせ?」と続いて現在まで輸送の任務に就いているが、「宗谷」時代の貴重な体験が引き継がれている。
 この本は、「宗谷」の運用を担った乗組員および空輸担当として南極の空を飛び回ったパイロットたちの貴重な記録を主体にした「宗谷航海記」である。
 きょうまで脈々と続いている南極観測の黎明期の、果敢にして冷静な男たちの貴重な記録だ。
 それにしても「宗谷」のマストに帆を張って風の助けを求め、舷側にひしめく氷塊を竹竿で押してなんとか「宗谷」を動かそうとしたあの頃の心意気が懐かしい。

深瀬和巳(第三次隊員 報道担当)

【目次】
01 航海記
 1 第一次南極観測「宗谷」航海記(高尾一三)
 2 第二次南極観測「宗谷」航海記(高尾一三)
 3 第三次南極観測「宗谷」航海記(高尾一三)
 4 「宗谷」機関部と第一次南極観測(片岡久雄)
 5 「宗谷」-オングル島氷上輸送記(磯貝重信)
 6 「宗谷」医務長記(小林昭男)
 7 「宗谷」主計科ボットムファイル(宮本武昌)
 8 「海鷹丸」航海記(神田献二)
 コラム01 「宗谷」操舵員見聞記(内山長徳)

02 航空オペレーション  9 第三次「宗谷」航空輸送オペレーション記(渡辺清規)
 10 第四次「宗谷」航空輸送オペレーション記(渡辺清規)
 11 第五次「宗谷」航空輸送オペレーション記(渡辺清規)
 12 第六次「宗谷」航空輸送オペレーション記(渡辺清規)
 13 「宗谷」第四次公開航空整備士日記(島?里司)
 14 第六次航空整備員の見聞記(島?満雄)
 コラム02 思い出の「宗谷」南極航空隊(村山雅美)
 コラム03 航空写真撮影飛行(吉国 隆)
 コラム04 第六次航空オペレーション作業日誌(島?里司)

03 観測隊員の記録  15 南極第一次の食糧と夜行観測(中村純二)
 16 南極第二〜三次のオーロラ観測記(中村純二)
 17 タロ・ジロと三匹の子犬たち(深瀬和巳)
 18 南極観測船「宗谷」物語(村越 望・高尾一三・宮本武昌)
 コラム05 南極はぐれ鳥(宮原 巍)
 コラム06 探検隊長と探検船長(村越 望)
 コラム07 基地選定考(村越 望)
 コラム08 第一次観測隊による昭和基地基準点観測(吉村愛一郎)
 コラム09 測地担当隊員日誌(第二次)(柿沼清一)

04 資料  1 「ペンギン日記」(朝比奈菊雄著)に描かれた松本船長、永田観測隊長および西堀副隊長
   (越冬隊長)(古田逸子抜粋編集)
 2 南極新聞(第一次隊)(古田逸子抜粋編集)
 3 IGY南極観測の始まり(渡辺興亜)
 4 用語集
 5 「宗谷」の船歴と南極観測時の主要目
 
 編集後記
 著者略歴(五十音順)
カテゴリー:趣味・実用 
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