詳説 舶用蒸気タービン【下巻】(3訂版)−SIと重力単位系併記−


978-4-425-68054-2
著者名:古川 守・杉田英昭 共著
ISBN:978-4-425-68054-2
発行年月日:2019/12/28
サイズ/頁数:A5判 396頁
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蒸気タービン及び付属装置の構造、運転、保守、開放及び検査等について詳細に解説。LNG船用蒸気タービンプラントの章と演習問題を追加した改訂版。

【3訂版発行に当たって】
本書が1984年(昭和59年)に発行されて今年で35年, 2訂版が2009年(平成21年)に発行されてからも10年になります。最初に本書改訂版が発行された2002年(平成14年)は,舶用蒸気タービンがLNG タンクから漏れ出すボイル・オフ・ガスBOGを有効活用でき,またそれを有効に処理できる最も適した主機関として,LNG船に独占的に採用されていた時代でした。
しかし,2010年頃から燃料価格が高騰し,主機関の燃料消費率がより重要視されるようになり,経済性の観点からLNG船用に開発されたディーゼル機関が出現しました。それは,中速4ストローク二元燃料ディーゼル機関・電気推進プラントDFDEです。また同時期に,一般大型商船に採用されている2ストローク低速重油専焼ディーゼル機関DRLが,海外の多くのLNG船に搭載されるようになりました。しかし,DRLは高効率ですが重油専焼のためBOG対策として,LNG再液化装置やガス燃焼装置を設置しなければならず,また冗長性を高めるために2基搭載する必要があります。
LNG船用再熱再生蒸気タービンURAやUST,およびDFDEやDRLに対抗するように,新しく高圧燃料噴射の低速2ストローク二元燃料ディーゼル推進プラントME-GIが開発され,続いて低圧燃料噴射の同型式の推進プラントX-DFも追いかけるように開発されました。
このようなLNG船の主機関争いの中,世界で2 社のみの舶用蒸気タービンメーカ,川崎重工業(株)と三菱重工業(株)はともにURAやUSTのさらなる性能改善に取り組んできました。とくに近年,三菱重工業(株)は,蒸気タービン・二元燃料ディーゼル機関ハイブリッド推進プラントというユニークなプラントSTaGEを開発して,その搭載台数を急速に伸ばしています。
このような背景のもとで3 訂版を発行することになり,舶用蒸気タービンについて初めて学ぶ学生はもちろん,現場で取扱いや設計・製造に従事している社会人に対しても,十分に応え得るよう内容をさらに充実させました。
まず,「序章 LNG船用蒸気タービンプラント」を,多くの最新情報などでより充実した内容にしました。また,第17章の「新開発の排熱回収プラント」に,「商船三井・三菱重工舶用機械エンジン・名村造船所による排熱回収システム(MERS)」および「川崎重工業社による排熱回収システム(K-GET)」を新たに掲載しました。
なお,今回本書と同時に上巻4訂版も発行しました。同書では,「第1章 慣用単位系とSI(国際単位系)」を大幅に書き直しました。SI については, 7個の基本単位のうち「時間」「長さ」「光度」を除く4個の基本単位「質量」「電流」「物質量」「熱力学温度」を再定義するなどの大規模な改定が2019年(令和元年)5月に実施されたためです。特記すべきは,人工物で定義されていた質量の単位「キログラム」がプランク定数に基づいて再定義されるという130年ぶりの大改定です。ご参考として紹介します。
本書の執筆に際しては,内外の書籍,論文,カタログ,取扱い説明書などを参考にさせていただきました。これらの著者ならびに各社に対して深甚の謝意を表明します。なお,著者の一人と舶用蒸気タービンを通しての50年来の友人である,元川崎重工業(株)機械ビジネスセンター技術総監 堀家 弘(ヒロム)氏には一方ならぬお世話になりました。心よりお礼申し上げます。
また,本書3 訂版の発行を勧めていただいた(株)成山堂書店 小川典子社長に深甚の謝意と敬意を表明します。そして,今回の改訂作業において大変お世話になった編集グループの皆様に,心よりお礼申し上げます。
最後に,本書がここまで長年発行を続けることができたのも読者の皆様のご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。本書の内容について不備の点もあるかと思いますが,皆様のご批判とご叱正をいただければ幸いです。

2019年(令和元年)11月
著者識 

【目次】
序章 LNG船用蒸気タービンプラント

 序・1 概要
  序・1・1 舶用主機関としての蒸気タービン
  序・1・2 LNG(液化天然ガス)
  序・1・3 LNG 船のBOG(ボイル・オフ・ガス)
 序・2 LNG 船と舶用蒸気タービン
  序・2・1 BOG を主機燃料として利用
  序・2・2 蒸気タービン搭載のLNG 船
  序・2・3 LNG 船の大型化
 序・3 LNG 船用に開発された蒸気タービンプラント
  序・3・1 タービンプラントの構成
  序・3・2 高圧タービン
  序・3・3 低圧タービン
  序・3・4 主復水器
  序・3・5 主減速歯車装置
  序・3・6 操縦制御と安全装置
  序・3・7 UA 型プラントの新技術
 序・4 蒸気タービンと競合する推進プラント
  序・4・1 中速二元燃料ディーゼル機関・電気推進プラント(DFDE)
  序・4・2 中速三元燃料ディーゼル機関・電気推進プラント(TFDE)
  序・4・3 再液化装置付き低速重油専焼ディーゼル推進プラント(DRL)
  序・4・4 低速二元燃料ディーゼル推進プラント(高圧噴射)(ME-GI)
  序・4・5 低速二元燃料ディーゼル推進プラント(低圧噴射)(X-DF)
  序・4・6  蒸気タービンと二元燃料ディーゼル機関のハイブリッド推進プラント(STaGE)
  序・4・7 再液化装置付き蒸気タービン推進プラント(S/S「LNG JAMAL」)
  序・4・8  コガス(ガスタービン+蒸気タービン)推進プラント
  序・4・9 蒸気タービンを含むこれからの推進プラントの総合評価
  序・4・10 蒸気タービンとディーゼル機関の燃焼消費率評価
 序・5 再熱再生蒸気タービンプラント
  序・5・1 URA 型およびUST 型プラントの出現
  序・5・2 基本ヒートサイクル
  序・5・3 高・中圧タービンおよび低圧タービン
  序・5・4 再熱ボイラにおける再熱器の保護

第10章 タービン各部の構造
 10・1 主機タービン組立図および各部名称
 10・2 ノズル
  10・2・1 ノズルの構造上の必要条件
  10・2・2 ノズルの種類
  10・2・3 ノズルの材料および加工
  10・2・4 ノズルの寸法
 10・3 翼
  10・3・1 翼の種類
  10・3・2 翼の固定法
  10・3・3 翼の加工および材料
  10・3 4 翼の寸法および翼にかかる応力
 10・4 タービンロータ
  10・4・1 ロータの種類
  10・4・2 バランスピストン
  10・4・3 ロータの材料
  10・4・4 つり合い試験および危険回転数
 10・5 仕切板
 10・6 気密装置
 10・7 車室
 10・8 タービン軸受
  10・8・1 軸受潤滑の概要
  10・8・2 ジャーナル軸受
  10・8・3 オイルホイップとオイルホワール
  10・8・4 スラスト軸受
 10・9 操縦弁およびノズル弁
 10・10 後進タービン
     演習問題

第11章 復水装置
 11・1 復水装置の概要
 11・2 復水器の性能に関する事項
  11・2・1 真空度と冷却水温度,冷却水量および熱通過率との関係
  11・2・2 復水器の所要冷却面積と熱通過率
  11・2・3 排気中に含まれる空気が復水器性能におよぼす影響
 11・3 復水器の具備すべき条件
 11・4 復水装置の構造
  11・4・1 主復水器
  11・4・2 空気エゼクタおよび真空ポンプ
  11・4・3 復水ポンプおよび循環水ポンプ
     演習問題

第12章 減速装置
 12・1 減速装置の種類
  12・1・1 流体減速装置
  12・1・2 電気推進装置
  12・1・3 減速歯車装置
 12・2 減速歯車の一般事項
  12・2・1 インボリュート歯形
  12・2・2 バックラッシュ
  12・2・3 圧力角およびかみあい率
  12・2・4 はすば歯車およびやまば歯車
  12・2・5 モジュール
  12・2・6 K値およびユニットロード
 12・3 減速歯車の配置
  12・3・1 ネスト形
  12・3・2 タンデムアーティキュレート形
  12・3・3 デュアルタンデムアーティキュレート形
 12・4 たわみ継手およびたわみ軸
 12・5 減速歯車の潤滑
 12・6 主機回転装置
 12・7 遊星歯車装置
  12・7・1 プラネタリ形
  12・7・2 スター形
  12・7・3 遊星歯車装置の特徴
 12・8 減速歯車装置の材料および加工
 12・9 減速歯車の損傷
  12・9・1 ピッチング
  12・9・2 歯の折損
  12・9・3 スコーリング
  12・9・4 スカッフィング
  12・9・5 スポーリング
  12・9・6 歯の焼付き
 12・10 減速歯車軸受に作用する力
     演習問題

第13章 潤滑油および潤滑油系統
 13・1 使用潤滑油
 13・2 タービン油の果たすべき役割
 13・3 タービン油の具備すべき性質
 13・4 タービン油の作用に影響を与える因子
 13・5 タービン油の劣化防止法
 13・6 タービン油の取替時期の判定
 13・7 潤滑油系統
 13・8 潤滑油ポンプおよび潤滑油冷却器
  13・8・1 潤滑油ポンプ
  13・8・2 潤滑油冷却器
     演習問題

第14章 操縦制御装置
 14・1 操縦装置の作動
  14・1・1 石川島播磨重工業社(現IHI)の一例
  14・1・2 川崎重工業社の一例
  14・1・3 三菱重工業社の一例
 14・2 危急しゃ断装置
  14・2・1 過速度しゃ断装置
  14・2・2 潤滑油圧低下および主復水器真空低下しゃ断装置
  14・2・3 タービンロータ異常振動およびスラスト軸受異常摩耗しゃ断装置
  14・2・4 制御電源消失,操作油圧低下および手動危急しゃ断装置
  14・2・5 危急しゃ断後の復帰
 14・3 警報装置およびインターロック装置
 14・4 危急しゃ断装置およびインターロック装置の作動試験
 14・5 オートスピニング装置
     演習問題

第15章 蒸気タービンの運転保守および故障
 15・1 管系統
  15・1・1 主蒸気,抽気系統
  15・1・2 補助蒸気系統
  15・1・3 パッキン蒸気系統
  15・1・4 ドレン系統
  15・1・5 復水系統
 15・2 運転
 15・3 後進運転
 15・4 非常時運転
 15・5 タービン運転中の注意事項
 15・6 異常発生(故障)の原因およびその対策
  15・6・1 軸受温度の異常上昇
  15・6・2 異常振動および騒音
  15・6・3 主復水器の真空度低下
  15・6・4 操縦制御系統の異常発生
  15・6・5 翼の損傷
  15・6・6 ロータ軸のわん曲
 15・7 タービン停止時の保守
     演習問題

第16章 開放および検査
 16・1 一般的注意事項
 16・2 タービンの開放および検査
  16・2・1 タービン上部車室の開放
  16・2・2 タービンロータの吊上げ
  16・2・3 軸受およびグランドパッキンの開放
  16・2・4 組立て
  16・2・5 水平継手ボルトの締付け要領
  16・2・6 タービン開放時の検査事項
  16・2・7 軸受の検査および調整
 16・3 減速歯車装置の開放および検査
  16・3・1 減速歯車装置の開放および組立て
  16・3・2 減速歯車装置開放時の検査事項
  16・3・3 タービンロータと第1 段小歯車との軸心検査
 16・4 主復水器の開放および検査
  16・4・1 水室の開放および取付け
  16・4・2 主復水器の検査および保守
     演習問題

第17章 補機用蒸気タービン
 17・1 概要
 17・2 主発電機と主給水ポンプの駆動方式
  17・2・1 主発電機および主給水ポンプともに主機直結で駆動する方式
  17・2・2 主 発電機を主機直結にし,主給水ポンプを補機用タービンで駆動する方式
  17・2・3 主発電機と主給水ポンプを補機用タービンで駆動する方式
 17・3 かん脱装置
  17・3・1 主機直結補機の配置
  17・3・2 かん脱装置の具備すべき条件
  17・3・3 かん脱装置の種類
  17・3・4 かん脱の条件
 17・4 補機用タービンの構造
 17・5 調速装置および危急しゃ断装置
 17・6 ディーゼル船における蒸気プラント
  17・6・1 補機用タービンによる主発電機駆動方式
  17・6・2 主機ディーゼルと補助タービンによる複合サイクル推進プラント方式
  17・6・3 ディーゼル船用補助蒸気タービン
  17・6・4 新開発の排熱回収プラント
     演習問題

(海事図書)

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