ビジュアルでわかる魚の鮮度−おいしさと安全へのこだわり−


978-4-425-88381-3
著者名:渡邊悦生・加藤登・大熊廣一・濱田奈保子 共著 イラスト渡邊未知
ISBN:978-4-425-88381-3
発行年月日:2007/12/18
サイズ/頁数:B5判 128頁
在庫状況:品切れ
価格¥2,200円(税込)
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おいしさの決め手「鮮度」に安全性が加われば間違いなし!様々な角度から魚のおいしさを徹底追及する。カラーイラスト付で解説。

【はじめに】より
魚の鮮度は、牡蠣に示した温度や濃度に対するような科学的定義が不明瞭である。
魚が生(いわゆるお刺身)で食べられなくなるというのは一体どういうことであろうか。簡単に腐ったから、と答えるのは間違いである。なぜならお刺身で食べられないけれども、煮たり焼いたりすれば十分食べられるということは、まだ腐っていない証拠であろう。腐るということは、腐敗菌が筋肉1g当たり5万個〜100万個位に増殖した状態であって、魚肉が分解され、さまざまな分解生成物、たとえばヒスタミン、アンモニアおよび有機酸などが発生し腐敗臭を放つようになったものである。したがって、魚はもちろん野菜でも獲りたて(採りたて)が最も鮮度が良く、魚の場合は「活きの良さ」と表現し、いわゆる「鮮度が良い」と区別している。
それでは生け簀や水槽から取り出された活魚は鮮度が良いと言えるだろうか。養殖魚の薬漬け問題が取りざたされてから久しくなるが、魚体内に残留する抗生物質や自らの排泄物で汚染された環境で飼育された魚が、食材として安全か? 現在、餌の量、投薬の量など細かな記録を取ることによって、健康な魚の出荷に努力が払われているところである。したがって、魚の鮮度は食材としての安全性の度合とも考えられないだろうか。
一方で、最もおいしいかまぼこは、洋上で獲りたてのスケトウダラから調整されたA級すり身から製造され、原料魚の鮮度が製品の良し悪しをも決めているのである。逆に何十年も前に、輸出の花形であった「かに缶」に、ブルーミーと事件が発生したが、当時は、原料の鮮度が良すぎるのが原因ではないかと疑われたこともあった。さらには旬の魚がおいしいのは鮮度のプラス脂ののりが重要な役割を演じている。一般に魚肉の「水+脂」の量はほぼ一定で、旬になると脂の量が増加することが明らかにされている。
余談ではあるが、ビールの鮮度は上記2例とは異なり、作りたてを強調しているように思われる。
このように見てくると鮮度とは、魚を生で食べられるような「活きの良さ」、おいしさ、食としての安全性あるいは作りたてなど、さまざまな解釈がなされているようである。しかしながら、悲しいことに最近の環境汚染、未だに解決していない水俣病やダイオキシン問題、重金属汚染などは、鮮度が良いから安全とは言えなくなってしまったことを明らかにしている。
本書では、さまざまな角度から魚の鮮度を徹底的に追跡する。

【目次】
第1章 魚の鮮度の見分け方
 1)皮膚と色
 2)鰓と呼吸、血液循環
 3)眼
 4)お腹の張り具合
 5)匂い

第2章 魚の死後変化
 1)苦悶死と死後硬直
 2)自己消化と酵素作用
 3)活け締め,湯引き,酢締め
 4)牛肉に鮮度(k値)はない
 5)解凍硬直とマグロの凍結
 6)サバの生きぐされ,鮮度落ちの早い魚と遅い魚
 7)鮮度と旨み
 8)かつお節と鮮度

第3章 鮮度の落ちる要因
 1)微生物がいなければいつまでも新鮮か
 2)オキアミの消化酵素
 3)外的要因〜温度,湿度,酵素〜
 4)微生物の増殖時間(世代交代条件)〜ph,温度,水分ー帰宅したら冷蔵庫へ
 5)解凍,凍結を繰り返すな,ドリップの出ている刺身は買うな

第4章 鮮度を保つ工夫
 1)ctc氷と鮮度
 2)緩慢凍結と急速凍結
 3)ピチットシート
 4)パーシャルフリージング

第5章 鮮度を測る(鮮度の数値化)
 1)k値
 1)−1バイオ・フレッシュ法
 1)−2鮮度試験紙法
 1)−3酵素と酸素電極による方法
 1)−4hplc法
 2)atpase活性測定による品質評価
 3)揮発性塩基窒素(vbn),トリメチルアミン(tma),トリメチルアミンオキシド(tmao)
 4)肉色と鮮度
 5)ph,緩衝能
 6)−1ヒスタミン
 6)−2ポリアミン
 7)脂質の酸化度
 8)イカ,タコの鮮度を測る〜アグマチンセンサー,オクトピンセンサー〜
 9)物理的鮮度判定法
 10)有機酸
 11)この魚,あと何日お刺身で食べられるの?

第6章 安全性に関する鮮度以外の要因
 1)魚を汚染している危害要因
 2)ふぐ毒(テトロドトキシン,ttx),その他の毒
 3)アレルギー
 4)養殖魚と餌〜閉鎖系食物連鎖―濃縮〜
 5)養殖魚と安全性
 6)ホルマリンと養殖フグの寄生虫防止
 7)haccpとは?
 8)真空包装食品
 9)おこげと発がん,ジゼロシン,変異原,ニトロソアミン
 10)缶詰,練りもの,佃煮のカルシウム,リン量
 11)佃煮はなぜ腐らないか〜水分活性,塩蔵,乾物,燻製〜
 12)−1缶詰理論(?)
 12)−2缶詰理論(?)
 13)冷凍すり身,かまぼこ
 14)かつお節の脂質酸化防止
 15)名物水産加工品に見る保存の知恵〜イカ墨,くさや,ふなずし,発酵,糖漬〜
カテゴリー:水産 
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