海藻と育毛


著者名: 山田 信夫 著
ISBN: 978-4-425-88511-4
発行年月日: 2010-12-15
サイズ/頁数: A5判 232頁
在庫状況: 在庫あり
価格(本体価格)

3,024円 (2,800円)

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「海藻を食べると髪の毛が生える」と聞くと、単なる言い伝えでほとんど効果がないと思われることが多い。しかしながら近年、一部には科学的根拠があるとする論文が発表され、海藻を主成分とする育毛サプリメントなどが商品化されている。また、海藻成分入りシャンプー・育毛剤などは以前から販売されており、頭皮に塗布することによる育毛・トリートメント効果は認知されてきた。本書では、毛髪と海藻の関係を民間伝承から最近の研究まで取り上げ、海藻のどんな成分が、どのような育毛効果をもたらすのかを、科学的データをもとにわかりやすく解説する。

「海藻が髪にイイなんて迷信だ!」なんて思っていませんか?
実は最近、塗っても食べても効果があることがわかってきました。この本を読めば、海藻のどんな成分が髪にイイ働きをするのかが、よくわかります。

【はしがき】より
 多くの方々は、海藻を食べると髪に良いと、祖父母や両親から聞いて育ってきたのではなかろうか。このことは、祖父母や両親も同じように伝承的に代々伝えられてきたものと思われる。
 海藻が食べられるようになったのは、約1万年前の新石器時代(縄文式文化時代)からといわれている。この時代の住民は、海藻や貝類を採取する漁労生活を送っていたようである。海藻の種類としては、アラメ、ホンダワラ、ヒジキ、ワカメなどのようで、当時の化石などから推定されている。海藻類は腐敗しやすいので、遺跡などから化石を見つけることは少ないが、島根県の日御碕近くの洞窟から、貝類などに混じってアラメやホンダワラ類と思われるものが見つかっている。
 これらの海藻は、海中にあって黒々とし、しかも、ふさふさとした髪のような印象を与えていることから、「ワカメ・コンブを食べていればハゲない」、「海藻類をたくさん食べると白髪にならない」と伝えられてきたという説がある。現在もこのような伝承的なことを信じている方も多いようであるが、科学的な裏付けの無い単なる伝承に過ぎないという方々がほとんどである。本当に、伝承的なものでしかないと考えて良いのであろうか。
 20年ほど前から、髪についての研究が分子生物学的な手法を含めて進められるとともに、これらの「髪と海藻」についての研究も進められるようになり、伝承的なことに対しての科学的な裏付けがみられるようになってきた。さらに、これらの科学的な裏付けを基に育毛剤などが開発され、市販され実用化されるようになった。
 紀元前4世紀に、アリストテレスは「すべての動物のうち、人間は最も著明にハゲる」と書いている。古代ローマのジュリアス・シーザーも薄毛に悩んでいたという。現在、髪について悩んでいる日本人は1,000万人にも及ぶといわれている。これらの方々に、朗報になるかどうかは分からないが、それぞれの分野の権威ある学会誌やそれに準ずる報告から、「髪と海藻」について現在までの成果やこれからの方向性などを探ってみた。
 本書で扱う髪と海藻の分野は全く異質のものであるので、はじめに、髪について基礎的なことについて学びながら、二つの分野の特性を知って頂きたいと考えた。そのため、変則的な構成になったことをお許し頂きたい。
 これによって、髪と海藻のそれぞれについて、想像以上のパワーを有していることも分かって頂けるものと考える。
 本書をまとめるにあたり、多くの方々の成書や論文などを利用させて頂いた。さらに、水産の分野の中の一部分しか知らない著者にとって、毛髪の分野は医学的な分野であり、難解なことばかりであった。そのため、多くの方々のお教えを頂いた。それぞれの著者や直接お教えを頂いた方々に厚くお礼を申し上げる。また、本書の出版を快く引き受けて頂いた成山堂書店に厚く感謝する。

平成22年12月
著者

【目次】
第1篇 毛髪のミニ科学

 第1章 「髪と海藻」についての伝承
  1.1.1 古典にみる髪と海藻
  1.1.2 髪と海藻の結びつき
  1.1.3 海藻と髪の伝承を裏付ける論文など
 第2章 ヒトの誕生と体毛
  1.2.1 古代人と体毛
  1.2.2 古代人も薄毛の悩み
  1.2.3 現代人の髪に対する考え方
 第3章 髪の発生から脱毛まで
  1.3.1 髪の成り立ち
  1.3.2 髪の構造とその機能
  1.3.3 毛周期
  1.3.4 脱毛とアポトーシス
  1.3.5 男性にみられる脱毛症
  1.3.6 女性にもみられる脱毛症
  1.3.7 白髪の発生
  1.3.8 各種要因による毛髪ダメージ
  1.3.9 脱毛症と遺伝
 第4章 育毛剤
  1.4.1 薬事法上の育毛剤
  1.4.2 育毛剤の現状と代表的な育毛剤
 第5章 髪はヒトの生活履歴を反映させる
  1.5.1 髪と覚せい剤-コカインなどでの事例
  1.5.2 毛髪分析による乳がんの検出
  1.5.3 魚食と水銀含有量
  1.5.4 毛髪分析による健康予測

 

第2編 「髪と海藻」の伝承を裏付ける研究成果-海藻成分による育毛効果-
 第1章 海藻のミニ知識
  2.1.1 海藻の誕生
  2.1.2 海藻の色素
  2.1.3 海藻の種類と分類
  2.1.4 海藻の分布
  2.1.5 海藻の生産量
  2.1.6 海藻を海草
  2.1.7 マイクロアルジェ
  2.1.8 海藻の一般化学成分
  2.1.9 海藻の無機成分と元素の濃縮係数
  2.1.10 海藻のビタミン
  2.1.11 海藻の炭水化物と多糖類
  2.1.12 海藻の医薬面への利用
 第2章 海藻の保湿作用
  2.2.1 海藻化粧品と薬事法
  2.2.2 海藻成分の保湿作用
  2.2.3 海洋天然物由来系保湿成分
  2.2.4 微細藻類による保湿作用
 第3章 海藻のヒト外毛根鞘細胞増殖促進物質による育毛効果
  2.3.1 日本沿岸海藻類からのヒト外毛根鞘細胞増殖促進活性物質の
      スクリーニング
  2.3.2 褐藻ウミトラノオ由来のヒト外毛根鞘細胞増殖促進物質の
      単離と活性
  2.3.3 緑藻サボテングサ由来のヒト外毛根鞘細胞増殖促進物質の
      単離と活性
  2.3.4 褐藻ウミトラノオ由来のヒト外毛根鞘細胞増殖促進物質の
      単離と活性
  2.3.5 褐藻ウミトラノオ・緑藻サボテングサ由来の
      ヒト外毛根鞘細胞増殖促進物質の性状
  2.3.6 紅藻ソデガラミ由来のヒト外毛根鞘細胞増殖促進物質の
      単離と性状
  2.3.7 ミツイシコンブ抽出液の育毛効果
 第4章 海藻のミネラルによると考えられる育毛効果
     -コンブ仮根(ガニアシ)による育毛・発毛効果-
  2.4.1 ガニアシの経口投与による育毛・発毛効果
  2.4.2 コンブ仮根(ガニアシ)による育毛・発毛効果および
      体調改善効果に関する検討
 第5章 海藻絶多糖類による育毛効果
  2.5.1 アルギン酸を含む水溶性高分子の発毛効果
  2.5.2 水溶性高分子の発毛促進作用に及ぼす糖類の添加効果
  2.5.3 ガゴメフコイダンとガゴメF-フコイダンオリゴ糖の
      マウスヒゲ伸長作用-試験管規模での実験-
  2.5.4 ガゴメフコイダンおよびガゴメF-フコイダンオリゴ糖の
      育毛作用-生体での育毛作用-
  2.5.5 ヘアサイクルを休止期から成長期に移行促進させる育毛効果
  2.5.6 ヘアサイクルを成長期で維持する育毛効果
  2.5.7 ガゴメフコイダンの肝細胞増殖因子(HGF)産生増強作用
  2.5.8 原料の処理方法によるガゴメフコイダンの機能性の変化
 第6章 オキナワモズクの育毛効果-男性ホルモン依存性脱毛
     シグナル(NT-4)に対するオキナワモズクの抑制効果-
  2.6.1 NT-4が見出されるまでの経緯
  2.6.2 NT-4の発現亢進に対する抑制物質の検索
 第7章 オオバモクならびにクロレラエキスによる育毛作用
     -毛乳頭細胞促進剤および/または血管内皮増殖因子(VEGF)
      産生促進剤を含有する育毛剤の開発-
  2.7.1 毛乳頭細胞のVFGF産生能に対する各種試料
  2.7.2 毛乳頭細胞の増殖を促進する物質
  2.7.3 グルタミン酸、クロレラエキス配合エキス育毛剤の試験結果

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