繊細な幼生期や成体に至るその不思議な成長過程を産卵から初めて人工飼育に成功した著者が魅力と共に解説。
【内 容】
イセエビといえば、鮮やかな赤と立派な触覚を携えた姿が目に浮かびます。
見た目も価格も、申し分なく高級食材と言えるでしょう。
さて、この威風堂々としたイセエビだが、実は成長するまでに驚きの姿を経ていくことはご存知でしょうか。
小さな卵からまるでクモのような体でふ化し、ガラス細工のように透き通った稚エビとなり、最後はご想像通りの立派な姿になります。
あまりに繊細なイセエビの幼生は、人の手で育てるにはいまだにたいへんな技術を要するのだといいます。
本書は、三重県でイセエビ研究に20年携わった著者による飼育記録とも言えます。
日本で初めて幼生の人工飼育に成功した著者の奮闘や感動が伝わる一冊であり、その記録は、今後のイセエビ増養殖の道を切り拓く貴重な資料となります。
今まで“高級食材”として見てきましたが、本書を読むと思わず生き物としてのかわいらしさにも心を惹かれてしまうでしょう。
最新の研究成果のみにとどまらず、イセエビの魅力があふれる本書をオススメします。
◆こんな方にオススメです!◆
イセエビを扱う水産業者、イセエビの生態を研究している人
◆目次◆
第1章 これが磯の王者 イセエビだ
1-1 イセエビという生物
Study1 生物を分類する方法
コラム1 なぜ、イセエビと呼ばれるようになったか?
コラム2 イセエビは鳴くか?
1-2 王者 イセエビへの道
1-3 イセエビを獲る
Study2 漁業権について
1-4 イセエビを増やす
コラム3 イセエビのフィロソーマ飼育研究の歴史
第2章 イセエビの産卵を操る
2-1 自然の海での産卵
コラム4 イセエビの雄と雌の外見の違い
2-2 産卵を操る
2-3 多産のイセエビ
2-4 王者vs王者−イセエビのけんかー
第3章 イセエビを育てる
3-1 困難なフィロソーマの飼育
3-2 ウチワエビに学ぶフィロソーマ飼育
3-3 イセエビ、奇跡の瞬間
3-4 研究の再始動へ
3-5 フィロソーマを知る
コラム5 イセエビの呼吸
3-6 飼育規模の拡大へ
第4章 イセエビの脱皮を調べる
4-1 脱皮して大きくなる
4-2 いつ脱皮、変態するのか
4-3 脱皮時刻を制御する
4-4 脱皮時刻を決める生物時計
4-5 脱皮時刻に及ぼす水温変化の影響
第5章 イセエビの未来
5-1 海の環境変化によるイセエビの影響
5-2 イセエビ類の需給動向
5-3 イセエビの増殖にむけて
◆参考書籍◆
アスタキサンチンの科学
ベルソーブックス020 エビ・カニはなぜ赤い-機能性色素カロテノイド-
◆水産のことならベルソーブックスシリーズ◆
ベルソーブックスとは、私たちの生活と綿密な関係のある水産について、少しでも理解を深めていただくために、水産のあらゆる分野からテーマを選んでいるシリーズです。
「ベルソー」とはフランス語で星座の水瓶座【verseau】のことですが、フランスには【La mer est la verceau de la vie】(海は生命のゆりかご)という海洋生物学者モーリス・フォンテーヌ教授の有名な言葉があります。この「ベルソー」の中にはverseauとよく似た発音のberceau(ゆりかご)の意も込めています。地球の水瓶、海の生命のゆりかごとして育った生物たち、それが海からの贈り物「水産物」です。
このシリーズは、高校生や大学生、一般の方々に、水産に関するさまざまな知識や情報をわかりやすく、提供することを目指しています。