港湾の形態・分類、船舶との関係、貨物・荷役関連、各種施設、法令、港湾計画・工事等について概説。港湾関係業務に携わる人の入門書。
◆こんな方にオススメです!◆
港湾や埠頭に勤めている人、港湾関係の行政に携わっている方。
◆著者からこの本を読まれる方へ(「はしがき」より)◆
わが国の海岸線の形状は複雑で変化に富み、ずばらしい美しさで、多くの国立公園や国定公園が指定されています。海は岸のすぐ近くまで適当な水深があり、岬や島が風や波を遮る湾や入江が多く、わが国ほど至る所に港の所在する国は世界でも例を見ません。
しかし、自然条件は厳しく、年間多数の温帯低気圧が通過し、冬季の季節風、夏から秋の台風などの影響を受けます。
勝れた地形を利用し、優秀な技術で厳しい自然条件を克服して建設された港湾を基盤とした臨海工業地帯には重化学工業が発達しており、今日のわが国の繁栄を支えております。また、我々の日常生活に関係する衣食住の大部分が外国から船舶で輸送され、港湾を経由して国内に搬入された原材料で作られています。
このたび、私共の生活とこのように深く結びついた港湾についての解説書を記す機会を与えられました。私と港湾のかかわり合いとしては、船乗りとして約60ヵ国、数百の港湾へ出入港しました。また、船主港湾協議会に勤務の際は、港湾の利用者としての船主の立場から各種の問題に取組んできました。本社勤務中はエネルギー・港湾チームに籍を置き、船会社として船舶を配船するのに必要な内外の港湾の現状や紹介計画の把握、港湾建設に関する調査研究などに携わってきました。この間、社団法人日本船主協会や財団法人日本海難防止協会などの港湾関係者の委員会に参加し、港湾計画の検討などのに参画させて頂く機会に恵まれました。
浅学非才の身ではありますが、いろいろな立場で港湾を見る機会を得たことだけで執筆をお引受けしました。
港湾は、国の経済政策、都市計画、地域の開発計画、関係官庁、立地企業、港湾土木、港湾産業など各種の異なる分野が複雑に絡み合って計画、建設、運営が行われます。これを一冊に取りまとめたため、基本的な事項しか記すことができません。さらに詳しく勉強されたい方は専門書を読まれるようお勧めします。
●10訂版発行にあたって
本書の9訂版発行以来5年が経過しましたが、この間に港湾を取り巻く環境に大きな変化がありました。
長い間、港湾整備の長期計画の根拠法であった港湾整備緊急措置法が廃止され、港湾整備5(7)か年計画は平成14年度に9次で終了し、平成15年度からは社会資本整備重点計画(重点計画)に組み込まれています。重点計画のあり方の検討のなかで、スーパー中枢港湾構想が提案されました。
1.シンガポールや釜山等のアジアの主要港が中枢貿易を増大させながら規模の拡大とサービス水準の向上・コスト低減を図ってゆく中で、わが国の国際コンテナ港湾が港湾物流の大動脈たる基幹航路ネットワークから外れ、北米航路や欧州航路のコンテナ船が日本に寄港する頻度が減少する恐れが高まっていること
2.中国等のアジア諸国の産業発展を背景とするアジア発着コンテナ貨物の急増が、日本のコンテナマーケットシェアの相対的な低下を引き起こし、コンテナ船の大型化とあいまって、今後、港湾コストが相対的に高いわが国国際コンテナ港湾抜港(スキップ)進展につながる危惧のあること
などのため、今後も取扱量の着実な増加が見込まれる日本発着コンテナの低コスト・多頻度輸送が可能となるよう、コンテナターミナルのサービス水準の向上や港湾コストの低減を通じて基幹航路のコンテナ船の寄港頻度を維持し、効率的な物流体系を構築することによって、産業の国際競争力の強化と国民生活の安定を図る必要があるためです。
現在、京浜港(東京港・横浜港)、伊勢湾(名古屋港・四日市港)、阪神港(神戸港・大阪港)がスーパー中枢港湾としての指定を受け、港湾法に基づく「指定特定重要港湾」に指定されました。
また、大阪湾諸港は港則法および関税法上、大阪港、神戸港、尼崎西宮芦屋港の3港に分かれていましたが、平成19年に港則法施行令が改正され、3港を統合し阪神港という一つの港となり、わが国の海図から神戸港、大阪港という伝統のある名称が消え「神戸区」、「大阪区」となりました。関税法上「一開港化」により、これまで寄港ごとに納付していたトン税、特別トン税が1港分に軽減され、コスト低減および手続の簡素化の効果を受けることができます。
港湾を取り巻く環境がこのような状況にありますので、法改正に係わる事項の改正を行うと共に、統計値などを新しいものに改め改訂版を出版することに致しました。
改訂にあたり資料のご提供などでご協力いただいた国土交通省、農林水産省、神戸市港湾局、横浜市港湾局、日本港湾協会、日本船主協会等の各位に心からお礼を申し上げます。
平成22年3月
著者
◆目次◆
第1章 概説
1.1 港湾の概念と機能
1.2 港湾の歴史
1.3 みなとの語源
1.4 国民生活と港湾
第2章 港湾の種類
2.1 用途による分類
2.2 地勢による分類
2.3 建設方法による分類
2.4 法規上の分類
2.4.1 港湾法上の分類
2.4.2 漁港漁場整備法上の分類
2.4.3 港則法上の分類
2.4.4 関税法上の分類
2.4.5 検疫法上の分類
2.4.6 出入国管理及び難民認定法上の港湾
2.4.7 港湾運送事業法上の港湾
2.4.8 その他
2.5 コンテナに関連した港湾
2.5.1 ハブ港・フィーダー港
2.5.2 中枢国際港湾・中核国際港湾
2.5.3 スーパー中枢港湾
2.6 環境問題に関連する港湾
2.6.1 リサイクルポート
第3章 港湾と船舶
3.1 船舶の種類
3.1.1 商船
3.1.2 特殊船
3.2 船舶の要目
3.2.1 トン数
3.2.2 喫水
3.2.3 長さ
3.3 船舶の運動性能
3.3.1 保針性
3.3.2 旋回
3.3.3 停止
3.3.4 船体の沈下
3.3.5 出入港の限界
3.4 港湾に関係する船舶の経費
第4章 港湾と貨物
4.1 貨物の種類
4.1.1 液体、固体による分類
4.1.2 包装による分類
4.1.3 性状による分類
4.1.4 法規および運送上の分類
4.2 荷印
4.2.1 貨物を識別するための荷印
4.2.2 ケア・マーク
4.2.3 危険物のラベル
4.3 荷役
4.3.1 液体貨物の荷役
4.3.2 乾貨物の荷役
第5章 港湾に関係する官庁と企業
5.1 港湾建設局、工事事務所
5.2 港長
5.3 港湾管理者
5.4 税関
5.5 検疫所
5.6 植物防疫所
5.7 動物検疫所
5.8 入国管理事務所
5.9 地方運輸局
5.10 船舶代理店
5.11 港湾運送事業
5.12 水先人(パイロット)
5.13 曳船業
5.14 綱取り・放し業務
第6章 港湾施設
6.1 水域施設
6.1.1 航路
6.1.2 泊地
6.2 外郭施設
6.2.1 防波堤
6.3 係留施設
6.3.1 岸壁および物揚場
6.3.2 桟橋
6.3.3 デタッチド・ピア
6.3.4 ドルフィン
6.3.5 浮桟橋
6.3.6 係船浮標
6.4 荷捌き施設
6.4.1 貨物の揚積のための荷役機械
6.4.2 エプロン
6.4.3 上屋
6.5 埠頭
6.5.1 埠頭の様式
6.5.2 埠頭の種類と特徴
第7章 港湾に関する法令
7.1 港湾法
7.2 社会資本整備重点計画法
7.3 港湾整備促進法
7.4 特定港湾施設整備特別措置法
7.5 公有水面埋立法
7.6 港則法
第8章 港湾計画
8.1 港湾計画書および港湾計画資料
第9章 港湾工事
9.1 港湾工事作業船
9.2 埋立て
◆参考書籍◆
港運がわかる本 【3訂版】
最新 港湾運送事業法及び関係法令
現代日本経済と港湾
港湾荷役のQ&A
港湾管理論 【4訂版】
港湾の法理論と実際-行政法・財政法からのアプローチ-
国際化と港
国際貨物海上保険実務 【3訂版】
倉庫業及び港湾産業概論
新訂 倉庫業のABC
港運実務の解説 【6訂版】