暴風圏で鯨を捕る-南極の海にも温暖化- [978-4-425-94781-2] - 1,890円 : 専門書出版の成山堂書店。, 海事(船舶・海運・港湾)、交通(陸・海・空)、鉄道、物流、水産、気象、自衛官問題集関連の出版社です。
SEIZANDO-SHOTEN PUBLISHING CO.,LTD. 採用情報   よくある質問   お問い合わせ   リンク
SEIZANDO-SHOTEN PUBLISHING CO.,LTD.

暴風圏で鯨を捕る-南極の海にも温暖化-


カートに入れる:


著者名:
幣 洋明 著
ISBNコード:
978-4-425-94781-2
発行年月日:
2010-02-28
サイズ/頁数:
四六判 190頁
在庫状況:
在庫あり
価格(本体価格)
1,890円 (1,800円)

南氷洋捕鯨での体験を交えながら、実際の鯨の捕獲、船内の様子、調査捕鯨の実態、最近の捕鯨事情や地球温暖化がもたらす捕鯨への影響を綴る。

【内容】
 日本人は昔から海に慣れ親しみ、魚介類や海藻など海の生物を食糧として生活を営んできました。その中でも鯨は「鯨一頭捕れば、七郷が潤う」といわれたように、人々は海からの贈り物として感謝の念を持ち続けてきました。
 太古から継続されてきた捕鯨の中で、南氷洋捕鯨は当時、一番の花形漁業でした。捕鯨船団は、冷凍船、タンカー、キャッチャーボート、仲積船など十数隻の船で構成されており、乗組員の総数は約1,200人、小さな村に匹敵するくらいの人々が6か月にわたって海上勤務に励んでいました。
 本書は著者の幣氏が気象実務経験をもとに、26歳から5年間、気象係として南氷洋捕鯨船団に乗船した様子を、船団内の数々の出会いや体験を交えながら、鯨の捕獲、船内の様子、商業捕鯨の終焉、調査捕鯨の実態、最近の捕鯨事情や地球温暖化がもたらす捕鯨への影響を綴ったものです。捕鯨関係者はもちろん、鯨を食べて育った人たちにも興味深い1冊です。

◆著者からこの本を読まれる方へ(「はじめに」より)◆
 最近、全国各地にある水族かんが賑っている。大きなアクリル水槽の中を悠然と泳いでいるマグロやサメ、エイなど大型魚に人気があるようだが、それらの中には鯨はいない。
 それもそのはず、鯨は漢字で書くと魚篇に一兆の一万倍も大きいという意味をもつ京(ケイ)と書き、昔は勇魚(イサナ)とも呼ばれ、日本では縄文時代の遺跡から鯨の骨が発掘されている。
 日本人は昔から海に慣れ親しみ、魚介類や海草など海の生物を食糧としれ生活を営んできた。その中でも鯨は「鯨一頭捕れば七郷が潤う」といわれたように、人々は海からの贈り物として感謝の念を持ち続けてきた。現代でも鯨に関して、年配の方は戦後の食糧難を連想し、団塊の世代をはじめ中高年の人びとは学校給食の献立を思い出す人が多い。
 一方、若い人の間ではホエールウォッチングやイルカショーに人気があるとともに、鯨肉の栄養価は高タンパク質、低脂肪に加えて鉄分やDPA(ドコサペンタエン酸)などが豊富に含まれていることから、最近増え続けている生活習慣病の予防に効果があることが見直されている。  このように、太古から継続されてきた捕鯨の中で、南氷洋捕鯨は一番の花形漁業であった。捕鯨船団は母船、冷凍船、タンカー、キャッチャーボート、仲積船など十数隻の船で構成されており、乗組員の総数は約1200人、小さな村に匹敵するくぐらいの人々が6ヶ月に渡って海上勤務に励む。
 私は26歳から5年間、南氷洋捕鯨船団の気象係として出漁する機会に恵まれた。捕鯨船団は「鯨を捕る」という大目標とともに、出漁期間中は無事故第一を掲げ、厳しい服務規程を忠実に守っていても、時には予測できない(想定外の)事故が起こるものだ。それは、大型台風との遭遇であったり、捕鯨母船に大火災発生などのアクシデントであった。一方、氷山やオーロラ、白夜など南氷洋の自然との出会いはロマンと感動を与えてくれる。
 地球温暖化現象がこのまま継続すれば、21世紀の後半になると海水中に大量のCO2が溶け込む酸化現象によって特定のプランクトンにダメージを与える可能性があり、鯨や魚類などへの影響が心配される。
 しかし、それより前に異常気象にともなう穀物の減産や価格上昇によって深刻な食糧危機が訪れる恐れがあり、南氷洋などで回復途上にある鯨資源にスポットライトが当たる時期が案外早く訪れるかもしれない。
 本書は、私が乗船した母船と中心に南氷洋捕鯨船団内の数々の出会いや体験を交えながら、戦後捕鯨の復活から商業捕鯨と調査捕鯨の実態などドキュメント風に綴ってみた。

平成22年1月
著者

◆こんな方にオススメです!◆
捕鯨事業に携わった方、船上で捕鯨の経験がある方、捕鯨事業・歴史に興味のある方

◆目次◆

1 ドキュメント南氷洋
 第二日新丸、謎の炎上!
 修理工場から出火
 救助船の赤い灯
 佐世保ドッグで突貫工事
 火災は海神の祟りか!
 捕鯨船三隻、氷に閉じ込められる

2 あれが日本の最後の灯だよ
 捕鯨母船の巨大な雄姿
 風速四〇メートルの猛威

3 捕鯨砲命中から鯨体処理まで
 捕鯨解禁前夜
 初漁は大型ナガスクジラ
 船団長の捕鯨戦略
 気象通報は戦後ゼロ歳
 捕鯨砲、見事命中!

4 鯨肉の栄養価と戦後の捕鯨事情
 オーロラ会で捕鯨回想
 国民の飢えを緩和した小笠原捕鯨
 硬くてまずいマッコウクジラ肉
 官民挙げての捕鯨事業
 国際色豊かな出港式
 鯨油が史上最高値
 捕鯨操業の技術革新
 南氷洋の気象観測

5 船内生活と行事と人間模様
 顔合わせで団結
 船内のたのしみ「肩ふり」
 カストリ雑誌に人気
 船上のお祭「赤道祭」
 捕鯨母船の正月
 仲積船がとりもつ内地との絆
 子供から土の贈り物
 一番人気の医務室
 母船の食堂と海水風呂
 気象事務室と居室
 南氷洋の船内時間
 ソ連女性の声にトキメキ!

6 世界の海と天気の旅
 海路のつれづれ
 南極天気図
 暴風圏を突破せよ
 霧が睫毛に凍りつく
 南氷洋の自然
 汚染された東京湾
 温暖化で海と大気が動く!

7 最近の捕鯨事情
 鯨の胃袋から新鮮魚
 調査捕鯨とマンネリの捕鯨会議
 地球温暖化、捕鯨への影響は?

●著者が所属する出版OB会の会報に掲載されました

 今年のマスコミは、なぜか鯨に関する話題が多いようだ。それは南氷洋(南極海)で行なっていた日本の調査捕鯨に対するシーシェパードの妨害テロ行為であり、オーストラリアやニュージーランド政府による調査捕鯨の全面廃止勧告などである。
 日本は長年続けてきた調査捕鯨の結果、鯨資源は着実に回復に向かっているという科学的なデータを基に、IWC(国際捕鯨委員会)に商業捕鯨復活の提案を続けてきた。
 しかし、IWCの規定で提案された議題が承認されるためには、参加88カ国の四分の三の賛成が必要であることから、商業捕鯨の復活は至難のことと思われる。
 このように捕鯨を取り巻く情勢は非常に厳しく、もしかしたら二度と実現することがないかもしれない南氷洋捕鯨船団の華々しい活躍の実態を、活字として後世に残しておきたいという要望にかられて執筆した。
 本書では、私が合計7回出漁した捕鯨母船内における体験エピソード、戦後の食糧難時代に鯨肉を提供し国民の窮地を救った捕鯨事情の経緯などが主体となっている。
 ところで、昨今の海外旅行は、圧倒的に航空機を利用される方が多い。捕鯨船団は日本を出港して太平洋、インド洋を経て南氷洋に到達する。
 漁場に到達するまでの海の色や空(雲)の変化、さらに南氷洋で遭遇する氷山、白夜、オーロラなどを綴った海洋と宇宙の神秘の描写を、是非、船旅気分の感覚でご笑覧いただきたい。
 最後に地球温暖化にともなう影響が、海洋の酸性化や大気の異常気象に及ぼすであろう現象についても触れている。気温の上昇は南極や北極など高緯度の地方の方が大きい。
 時事通信(2010年3月7日)によると南極大陸のオーストラリア側にある「メルト氷河」の一部が分離して南氷洋に漂流をはじめ、その大きさは神奈川県の面積を上回る2500平方キロと報じている。

2010年3月25日
幣 洋明(気象研究家)

◆クジラに関してはこちらもご参考に◆
捕鯨に生きた
闘え!くじら人-捕鯨問題でわかる国際社会-
クジラを追って半世紀-新捕鯨時代への提言-
鯨と海のものがたり-地球最大の動物賛歌-
ベルソーブックス022 よくわかるクジラ論争-捕鯨の未来をひらく-
調査捕鯨母船 日新丸よみがえる-火災から生還,南極海へ-



COPYRIGHT (C) SEIZANDO-SHOTEN PUBLISHING CO.,LTD.