犬の性格

今週も引き続き自分の話をします。
こんにちは、まっつんです。

実家の犬の話です。

父はずっと犬を飼ってきた人で、多くの時間を犬と過ごしてきました。諸々の事情で家族と離れている間も、犬は傍にいたくらいです。そのためなのかどうか、誰にも懐かない気性の荒い犬が父にだけはベタベタ、ということがよくあったと聞いています。

わたしが知る犬はその中の5匹ですが、わたしが成人してから飼った2匹については、その性格の違いに驚かされました。

最初に紹介するのは『バロ』。コーギーの雄です。2015年の年明けまで15年あまり生きましたが、わたしはかれの吠える声をほとんど聞いたことがありません。鼻を鳴らすことはもちろん、唸ることさえ稀でした。

コーギーの例に漏れず、非常に活発で散歩を好み、死ぬまで食い意地が衰えることはなく、若い頃は齧れるものはすべて齧り、人の踵に襲いかかるという一面はありました。しかしいわゆる『コーギースマイル』を向けてくれたことはありません。散歩に出ても、わたしが父からリードを受け取った途端、その場から一歩も動かなくなりました。ご褒美なしで正面からアイコンタクトを取れるようになったのは、最晩年になってから。抱っこはとうとう生涯できずじまいでした。

この寡黙な漢(と書いておとこと読みます)が忠誠を誓うのは、父だけ。母が抱いてもすぐに暴れて抜け出し、座る父の脇にぴったり身を寄せて伏せてしまいます。そこがかれの定位置なのです。父しかいないときにはお腹を見せて甘えたりもしていたようですが、証拠は残っていません。

殿に仕える武士のような犬でしたが、わたしは出来の悪い部下だと思われていたふしがあります。実家に泊まったわたしが夜中に起きると、バロは自分も起きてきて、用事が終わるまで近くで座って待っています。済ませたのを確認すると寝室の入り口まで送ってくれて、納得したような顔で自分の寝場所に戻るのでした。目を合わせてくれることはありませんでしたが、わたしの近くに座るときはお尻をくっつけてきました。夜中にひとり歩きさせるのは心配だが、安全な場所で背中を任せる程度は構わない、という認識だったようです。

晩年は大病をいくつも患ってずっと病院通いでした。でも、わたしのいる前では苦痛を表に出しませんでした。父の前でもそうだったようですが、父は些細な変化をすべて見抜き、あらゆる手を尽くして治療に奔走しました。しかし、最後まで衰えなかった食欲が失せたところで、父も覚悟したようです。父の腕の中で永眠したと聞きました。

この画像で、比較的明るい顔をしているかれの視線の先には、珍しく父ではなくてわたしがいます。最晩年に撮ったものです。

今飼っているのは、トイプードル×シュナウザーの雌『マロ』。2017年から飼い始め、現在2歳ちょっとです。

父の名づけは、大体『~ロン』という三文字以上であるだろう名前を途中の『ロ』で切ります。実家の犬たちは、だから必ず最初は名前を間違えられるのです。次があれば『メロ』あたりじゃないかと思います。『コロ』がいわゆる『コロ』ではなかったことに、気づいておくべきでした。

マロは非常に天真爛漫で、気に入らないことがあれば吠え、容易に唸り、嬉しいときは飛び跳ねます。年に3回しか帰省しないわたしにもすぐに懐き、わたしが実家にいるときの彼女の定位置はわたしの膝の上で、なおかつ腹を見せて転がっています。常に撫でられていないと不満なので、人のてのひらの下に頭を突っ込んできます。彼女は散歩にもおやつにも興味がなく、その場の人間の関心が自分に向いていることを幸福と感じているようです。リビングから家族の人数が減るといちいちショックを受け、部屋の中をうろうろします。

家に戻るとなったら『わたしを置いていくのね!裏切り者!』とでも言わんばかりに悲壮に鼻を鳴らし泣き喚きますが、母によれば5分もしないうちに忘れるそうです。バロが武士なら、マロは箱入りお嬢さんでしょうか。

この真逆というくらい性格の違う2匹に対して、父はまったく接し方を変えていません。2匹に共通しているのは、大人になってからは決して人を噛まなくなったことと、常に父を目で追っていることです。

見ていると、父は犬が痛みを訴えない限り好きな時に好きなように犬たちを撫で、抱き上げ、与えたいときにおやつ(素材から厳選して決まったショップで購入しているので、わたしは犬たちにお土産を買うことも許されていません)を与え、常に全身を触って状態を確認し、少しでも様子がおかしければ即信頼する獣医に診せています。バロを飼い始めた当初から、お金は全額犬たちに使うので子どもたちに残す金はない、と告げられています。

『全力で君臨する』ことで、父は犬たちから絶大な信頼を得ているようです。

この文章を書いていたら、マロに会いたくなってきました。今月の3連休のどこかで、顔を見に行こうかな。