海運のおはなし。内航海運とモーダルシフト

海運のおはなし。内航海運とモーダルシフト

こんにちは、石川です。
花粉のピークは過ぎたように思われますが、未だくしゃみが止まらないのは私だけでしょうか。スギが終わった後も、ヒノキやブタクサ、シラカバなどなど原因となる植物はわんさかあるみたいですね。花粉症の原因は、なんと植物だけでも50~80種類があるとか。もう一年中掛かりっぱなしな気がしてきました。

さてさて今日は、『新訂 ビジュアルでわかる船と海運のはなし』より内航海運のおはなしを。
島国である日本の物流を支えている内航海運の現状と、昨今話題の「モーダルシフト」について説明します。

内航海運の現状

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四方を海で囲まれているだけではなく、小さな島々をたくさん持つ日本は、内航海運への依存度の高い国です。1980年代にトラック輸送のシェアが伸びたものの、今でも内航船による国内貨物輸送のシェア(輸送トンキロベース)は約40%です(トラック輸送は約55%)。
ちなみに、アメリカの国内輸送においては鉄道のシェアが高く、内航船のシェアは10%前後です。EU各国の国内輸送における内航船貨物輸送のシェアも日本ほど高くありませんが、EU域内のショートシー海運を内航海運と捉えるならば40%程度のシェアとなります。

内航海運の長所には、低コストで大量輸送が可能であるということと、同じ量の貨物を運ぶにあたって排出する二酸化炭素や窒素酸化物の量が、船はトラックに比べて圧倒的に少ないということがあります。

そこで、日本の国土交通省も交通渋滞の緩和と地球環境対策のために、トラック輸送に偏りすぎている国内輸送を是正し、内航海運と鉄道輸送の比率を上げていくという課題を掲げており、これをモーダルシフトと称しています。EUにおいても同様の動きがあり、域内輸送におけるトラック輸送をショートシー海運に切り替えていく施策が取られています。

石油製品、鉄鋼、セメント、化学薬品といった基礎産業素材は内航海運の大宗貨物であり、今後もそのことは変わらないと思われますが、モーダルシフトが目指すのは、ファッション製品や家電製品、日用雑貨、生産部品など、現在トラック輸送に偏っている貨物の一部を内航海運と鉄道輸送に移していくということです。しかし、こうした貨物は単に安く運べばよいというのではなく、輸送の速さや確実さ、あるいはリアルタイムでの貨物追跡などの機能なども求められますので、そうしたニーズに合わせて内航海運サービスのあり方自体を変えていく必要があります。

ちなみに、外航海運と内航海運の大きな違いは、前者が「海運自由の原則」を前提としており常に国際的な競争にさらされるのに対して、後者はカボタージュに基づき外国船を排除できるという点にあります。

また、外航船の場合はタックス・ヘブンであるパナマやリベリアなどに船籍を置き、税金や船員の資格、労働条件などでの便宜を得る便宜置籍船(FOC:Flag of convenience)がよく見られますが、1999年に船舶職員法(現在の船舶職員及び小型船舶操縦者法)が改正されたことにより、STCW条約(1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)批准国において、船員資格を持つ外国人船員を日本籍船の船員として受け入れる制度が施行されています。一方、外国人船員を内航船の要員として雇用することは、我が国の出入国管理及び難民認定法に抵触するため、認められていません。

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『新訂 ビジュアルでわかる船と海運のはなし』(2017年3月刊行)