船のおはなし。航海術のいろいろ 

船のおはなし。航海術のいろいろ 

こんにちは、石川です。
今週で三月も終わり、年度末はバタバタしている内にあっという間に過ぎ去りますね・・・。今日は大量の本を出荷していたので、ひさびさに筋肉痛が来そうです。

さて、今日のブログは船のおはなしをアップします。
海運入門書のベストセラー、『新訂 ビジュアルでわかる船と海運のはなし』より、今回は「船の位置の求め方」のおはなしです。

船位の測定

一口に航海術といってもその意図する範囲は非常に広いのですが、航海術の基本は「船の位置(船位)を求めること」と「船の目指す方向を求めること」、そして「船を正しく操ること」にあります。
古来、私たちの祖先は実に様々な方法でそれらを導き出してきました。例えば、本書の冒頭で紹介したミクロネシアの航海者たちは、海域ごと、季節ごと、時間帯ごとに水平線から出没する星の位置を記憶して頭の中にスターコンパス(星図)と海のイメージマップを描き、それを頼りに海を渡っていました(注2)。これは実に驚くべき技能ですが、航海計器なしで大洋を渡るにはこうした身体感覚に頼らざるをえなかったのでしょう。

近年の航海計器の発達は目覚しく、現在ではGPSで得た位置情報をディファレンシャルGPS局(DGPS局)からの情報で補正することによってごく簡単に高精度の船位が得られるようになりました。
しかし、洋上においては常にどのような事態が発生するかわからず、航海者はそうした不測の事態に備えてさまざまな方法で船位を得られるようにしておく必要があります。ここでは沿岸航法、天文航法、電波航法における船位測定法の中から代表的なものを幾つか選んで紹介してみます。

沿岸航法:交差方位法

交差方位法(Cross bearing)は、陸地の見える沿岸航海時によく使われる方法です。
山頂や島、灯台など海図上に記載されている物標を2個以上(通常は3つ)選んで、そのコンパス方位を測定します。そして、海図上でそれぞれの物標から方位の線を引くと、その線の交わる点が本船の位置ということになります。

3つの物標を選んで測定した場合、3本の線が1点で交わらず、小さな三角形を作ることがありますが、これを誤差三角形と呼びます。誤差三角形が小さい場合は、三角形の中心を船位としますが、浅瀬や暗礁などの危険物が近くにある場合は、三角形上で最も不利な場所を船位とするのが無難です。

沿岸航法:両測方位法

船が一定の針路を走っている時に、前方にある物標の方位を測定し、それから適当な時間を経た後に再び同じ物標の方位を測定した上で、海図上にそれぞれの方位線を引きます。
第一方位線上の任意のA点から針路方向に線を引き、2度の測定の間に船が走った航程だけ離れた点をBとします。A点とB点を結ぶ線を第一方位線と平行に移動させると、B点と第二方位線が重なった点が船位となります。両観測点間を流れる潮流の流向、流程がわかっている場合は、その分だけ移動させて船位を出します。この方法を両測方位法(Running fix)と呼びます。

沿岸航法:4点方位法

船が一定の針路を走っている時に、前方にある物標の方位が船首から4点(45度)に見えたときから(注5)、同じ物標が正横(船首から90度の方向)に見えるときまでに走った距離を測れば、この距離は本船から物標までの正横距離となり、船位を得ることができます。4点方位法(Four points)はとても簡便な方法なので、交差方位が取れない場合の正横距離決定用としてよく用いられます。

沿岸航法:水深連測法

連続して水深を測ることによって船位を求める方法です。トレーシング・ペーパーに緯度線と推定針路を記入し、測深によって得た水深及び底質、時刻を順を追って針路線上に記入していきます。紙片を緯度線と平行に保ちながら海図上を移動し、水深及び底質の一致する場所を概略の船位とします。

天文航法:位置の線航法

天文航法は天体観測によって船位を求める方法です。
六分儀(セクスタント)を用いて天体の高度を観測し、同時にクロノメーター(時辰儀)で読み取った時間により、天体の位置を航海暦から取り出せば、球面三角形の計算によって、その天体を観測した高度で見ることのできる地球上の位置の軌跡を導き出すことができます。この軌跡は、地球の中心と天体を結ぶ直線が地球の表面と交わる点を中心とする大きな圏になりますが、この圏のことを位置の圏、もしくは等高度の圏と称します。

方位の異なる2つの天体を観測して、2個の位置の圏を描けば、そこに生じる2つの交点のうちのいずれかが船位ということになり、推測位置に基づいてどちらか1つを船位として特定することができます。しかし、実際には図上に位置の圏を描くことは容易ではないので、推測位置付近のごく狭い範囲における位置の圏を天体の方位に直角に交わる直線と見なすことによって作図をします。この直線のことを位置の線と称します。

同時に3個の天体を観測して3本の位置の線を引けば、その交わりは三角形になることが多いのですが、その場合は三角形の中心を船位とします。また、昼間の太陽のように1つの天体しか観測できない場合は、時間をずらして2度にわたって天体高度の観測を行い、最初の観測で得た位置の線を2回目の観測時までに走った針路と距離だけ移動させ、それと2回目の観測で得た位置の線との交点を2回目の観測時の船位とします。

電波航法:ロラン航法

主従2局のロランC局が発するパルス電波が到着する時間の差が同じとなる地点を線で結んでいくと双曲線が描かれます。ロラン航法ではこの双曲線のことを位置の線と呼びます。位置の線が1本だけだと船位を決めることはできませんので、主局ともう1つ別の従局による位置の線を求め、それらの交わる点を船位とします。

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もっと知りたい方は、『ビジュアルでわかる船と海運のはなし』をチェックしてみて下さい!