JAL元パイロット小林宏之さんが語る、リスクマネジメントの極意②

JAL元パイロット小林宏之さんが語る、リスクマネジメントの極意②

こんにちは、石川です(^.^)
この寒さ、社内にいても末端が冷えてたまりません・・・。手先がどうにも冷えるので自分の首などで暖をとってますが、自分の熱を分け合ってもプラマイゼロな感じがしますね。

さてさて今日も、前回に引き続いて『航空安全とパイロットの危機管理(交通ブックス311)』より、リスクマネジメントについてのおはなしを。(①はこちら
“グレートキャプテン”と呼ばれる元機長、小林宏之さんが語る「危機管理のために必要な能力」を二つ紹介します。あわや航空事故!という場面をいくつも切り抜けてきた教訓です。

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自己コントロール

航空事故を間一髪のところで免れた逸話として、「ハドソン川の奇跡」と呼ばれる事例があります。

2009年1月15日、USエアウェイズ1549便は空港離陸直後、バードストライク(鳥衝突)によって、両エンジンとも停止に近い状態になりました。
推力をほとんど失い高度を維持できず、最寄りの空港に引き返すことが不可能に。管制官のアドバイスにより、川の対岸にあるテターボロ空港に一旦向かいかけましたが途中で無理だと判断したサレンバーガー機長は、ハドソン川に緊急着水することを決断します。対応していた管制官も、機長からの交信に耳を疑ったほどの「まさか」の決断でした。実際、この時の冷静な着水操作のおかげで無事にハドソン川に着水、一人の犠牲者も出なかったのです。

サレンバーガー機長の優れた点は、この緊急事態においてもいつもと変わらない冷静な声と口調で、自分自身をコントロールしたことにあります。
「ハドソン川の奇跡」からサレンバーガー機長は、「非常時には、腹の底からゆっくりとはっきりと発音するだけで、自分の気持ちが落ち着いて日頃実施している、訓練どおりのことができる」とアドバイスをしています。危機に際して、トップに求められるのは「組織をコントロールする前に、まず自分をコントロールすること」だということです。

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持続する、強い目的意識

危機管理の最大の目的は、「どんなことがあっても最悪の事態を避けること」です。
「悲観的に準備して楽観的に対応」の「楽観的に対応」には、‟Never Give Up“「絶対大丈夫だ、最後の最後まで諦めないぞ」「どこかに安全に着陸するぞ」という「強い目的意識」が含まれています。

飛行機は乗り物のなかで、事故率が最も低く安全な乗り物で、近年の進歩によりその安全性はより高まってきています。それでも、「どんなことがあっても、最後まで諦めずに安全に着陸するぞ」という強い目的意識が、尊い多くの人命を預かる機長に求められるのは、昔も今も変わりありません。

危機管理で大切なことの一つに、トラブルや危機的な状況に遭遇した際に、決して諦めずに、最後まで希望を失わずに、「絶対こうするのだ」という強い目的意識を持続しながら、冷静に対応することです。

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ちなみに、飛行機で使われている用語には、船から来ているものが多くあって、機長のキャプテン(Captain)も船長のキャプテンから来ています。
尊敬されるリーダー、キャプテンになるには、相応しい危機管理能力とキャプテンシップが必要ということですね!

もっと知りたい方はこの本。⇒ 『航空安全とパイロットの危機管理(交通ブックス311)