JAL元パイロット小林宏之さんが語る、リスクマネジメントの極意①

JAL元パイロット小林宏之さんが語る、リスクマネジメントの極意①

こんにちは、石川です。
12月も暮れだというのに、今朝は春みたいな気温でしたね。体調を崩しやすい時この時期、年末年始を楽しむためにも体調管理に気を付けたいものです。私もここらで休肝しておかないとと思っているものの、思っているだけです(笑)

さてさて、今月は『航空安全とパイロットの危機管理(交通ブックス311)』を刊行しました。著者は、日本航空でパイロットを務めた小林宏之さん。40 年間、病気や自己都合で一度もスケジュールを変更せずに安全運航を貫いてきた小林さんは“グレートキャプテン”の異名を持ち、機長を引退された現在もリスクマネジメントの講師としてあちこちで講演活動をされています。

パイロットとして安全運航をまっとうしてきた経験から、安全運航への取り組み姿勢や、そのための危機管理の考え方についてこの本でまとめています。
今日はその中から、「重要度の選定」についての小林さんの考え方をご紹介します。操縦席のみならず、普段のわたしたちのお仕事にも役立ちますね・・・。

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危機管理は重要度の選定が大切

危機管理は一言でいえば「大切なものを守るマネジメント」といえます。危機管理は元来、生命、組織、国の存亡に関わるマンジメントです。
航空機の運航においては、乗客・乗員の生命、安全に関わる重大な事態に陥ることを防ぐマネジメントといえます。

危機というものは、そんなに頻繁にあるものではありませんが、しかしいつ何時発生するとも限りません。
それほど大したことはなかろうと楽観的に構えている場合にも起こり得りますが、しかし常日頃から「何が大切か」を意識していれば、危機になる前の兆候のうちに対応策をとることが可能になります。
たとえ、当事者が「想定外」と受け取った事態に遭遇した場合にも、一番大切なもの以外は捨てることを決断し、実行できれば、まず最悪の事態免れることはできるのです。

「この業務では何が大切か」「今、何が一番大切か」という重要度の選択は、日々の仕事でも危機に陥らないためにもとても必要なことです。

筆者が機長昇格訓練に入って間もない頃、まだ重要度の選択が曖昧であった頃の失敗例に、次のようなことがありました。

成田空港のターミナルから出発して、滑走路に向かって誘導路を地上走行中、次に曲がるべき誘導路を確認しようとして自分の斜め左下に置いてあるチャートを3~4秒見ていたところ、教官の機長から「飛行機をなめるな!」と怒鳴られてしまいました。その時は、誘導路を確認するためにチャートを見たことくらいで、なぜそんなに厳しく叱られるのか、理解できませんでした。

上空では自動操縦で飛行しており、外界から操縦席内に目を移してチャートやマニュアルなどを見る余裕はありますが、地上走行はすべて手動で、しかも外界の周囲を目で確認しながら安全走行をすることになっています。地上走行では外を見ることが一番大切なことで、もし誘導路を確認する必要があるなら、コーパイロットの役割をしている教官にで確認してもらうか、いったん停止して、自分がチャートで確認すべきである、とういことが理解できたのは、それから2~3か月後になってからでした。

一般に我々日本人は几帳面、真面目、完璧主義の傾向があります。このことは物づくりや細かい仕事、正確性を要求される仕事には大切な性向ですが、リスクマネジメントに関してはあれもこれもという分けにはいきません。常に「今、何が一番大事か」という重要度を把握することがもっとも大切なのです。

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ふむふむ・・・常に「何が一番大切か」という重要度をおさえていてば、いざという場面でも冷静に対処できるのですね。
リスクマネジメントの考え方を学びたい、名機長のエピソードをもっと読みたい方に、『航空安全とパイロットの危機管理(交通ブックス311)』はとってもおすすめの一冊です。航空以外の仕事にも役立つ考え方が満載の本です。